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第二章 聖杯にまつわるお話

第320話

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 場所は決まった所でひとまず終了。
 アー君の夏休みはいつもより忙しい。

 遺跡の見学は明日。
 アー君が課題をこなしに行っている間に僕らは一休憩、終わったら新しい街に植える植物の候補を選ぶ予定。

「なんて言ったそばからこれですよ」
『ぴゃー』

 お昼寝中の涼玉を一人残し、シャムスと一緒に召喚されてしまった。
 マールスと霧ちゃんは僕らがお昼寝中におやつを作ると言っていたけど、いつ気付くだろうか。
 霧ちゃんは僕はともかくシャムスがさらわれたと知って激怒するんじゃないかな、普通はどこに連れていかれたか分からないから後手に後手にと回るけど、僕らってほら、夢の世界で繋がってるから。

 ちなみに今回の召喚先は服装から推測するに砂漠関連と見た。
 だって着ている服がカイちゃんに地図を渡した人にちょっと似てる感じ、顔の凹凸とか濃さとか良く分からないんだよね、日常に人知を超えた美形がいるので顔認識能力が麻痺気味です。

「シャムス眠くない? 大丈夫?」
「へぇき」

 巨大な地下遺跡か何かだろうか、ちょっとロマンを感じる。
 その中央にある巨大な魔法陣の中にいる僕とシャムス、相手側が何か言っている気がするのだけど、魔法陣が発動したままでごうんごうん言ってて実は声が届きません。
 ごめんなさいね?

 さてここで問題です。
 誰に助けを求めても死人は出ます、怒りからなぶり殺しにせずスパッとやってくれるのは誰だろうか。

 カイちゃんはダメかな、アー君がビビるぐらい変貌するらしいので最終手段で。
 ハイダル君は砂漠の王様だけどただの人間だからね、あと子育て中だからこれも却下。
 霧ちゃんは呼ばなくても来る。
 アー君はどうなるだろう、あっこの時間は課題地獄にいるから止めておこう。

 うーん意外と困るね、僕の知り合い過激派ばかり。

 スパッと関連でエンラはどうだろう、死神だし。
 ……ゲームの新作が出ておらず、アップデートもされてなければ来てくれるだろうけど、望みがとても薄い。

 出来ればこの地下遺跡を丸っと利用したいかなぁって、だから建物を破壊せずに僕らを救出してほしい。
 だって地下遺跡だよ、響きがすでにロマンの塊。

 なんてロマンに思いを馳せていたら、なにやら痺れを切らした太っちょが一人、魔法陣に足を踏み入れようとして見えない壁に弾かれていました。
 すみません、たぶんこの魔法陣はえっちゃんと僕の謎能力に乗っ取られています。
 じゃなきゃ役目を終えたのにいつまでも稼働し続ける訳がない。

「やっぱりここは魔物にわーって来てもらって、人間を排除してもらうのが一番かな?」
「いぇーい」

 シャムスの賛同も得たので魔物を呼ぼうと思います、ただ謎能力って制御できるものじゃないんだよね。
 うーんどうしようかなぁ。

『ママー肉球どーぞ』

 なんという事でしょう、シャムスが子犬に変化してわんこ肉球を差し出してくれています。
 小さなわんこの手を取り、ぷにり、子犬なのでまだまだ柔らかい、百年先まで柔らかいままでいてほしい。

 肉球をもみもみしながら砂漠の魔物にどう助けに来てもらうか考えを巡らせていたら、入り口付近から悲鳴が上がってゴーレムが入ってきました。
 なるほど、そうきたか。
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