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第二章 聖杯にまつわるお話
第319話
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砂漠に街を作るにあたり、まず場所選びから始めることになりました。
アー君の課題だからね、選ぶのもアー君がいないと始まらない。
「そういう訳で手頃な場所の紹介をお願いします」
「世話になっているからね、もちろんいいよ」
やることが多すぎて自分で探す時間がもったいないと、土地の紹介をしてもらうために皆でカイちゃんの宮殿を訪れました。
先触れなしの突撃訪問、僕ら以外だったら極刑ものですね。
「誰か、地図を」
カイちゃんが部屋の隅に控えていた人に声をかけると、一礼して部屋を下がり、巻物を手にすぐ戻ってきた。
「このドラゴンのような形をしているのがこの砂漠の国の領土です」
「なぁカイ、この国って名前なかったっけ?」
『ママのせいかなー?』
「かあちゃがずっと砂漠の国って言ってたからな」
僕の知らないところでレモン国現象が起こっていた。
何とか無罪を勝ち取れないものだろうか。
「いいのです、もう諦めました」
そう呟くカイちゃんの瞳からハイライトが消えていました。
国名覚えるの苦手でごめん。
「この上のドラゴンの頭部の部分が私たちがいる宮殿がある首都になります。背骨にあたるこちらは人が踏み入ることを許されない砂漠の魔境、喉の部分に僅かに緑があり、中央を飛ばしてこの尻尾の部分にはイグが悪ノリして作った町があります」
「ああ、マフィアをイメージしたあそこか」
『邪神のための貢ぎ物生産地』
「緑より瘴気が濃そう」
背骨の部分といって示されたのは、頭の角っぽい部分から尻尾の先まで、砂漠の約半分以上だった。
魔境となったのは、数代前の砂漠の皇帝が忠臣だと信じていた者達にそこで惨殺され、怨念が魔物を狂わせて特大のスタンピードが発生、人の暮らす町も自然も何もかも破壊しつくした禁忌の地だから。
自然形態が狂ってしまい、朝も晩も関係なく常に極寒、この世界から失われたはずの雪に覆われているらしい。
砂漠の地の半分が実は呪われているとか、異世界の砂漠は予想以上に危険地帯。
でもイネスがぺかぺかしたら解決しそうな気がするよね、今日はネヴォラと遊ぶといっていないけど。
「皇帝の怨念による呪いが他国に移ることを危険視した女神により、砂漠の国の大地は他国へ続く大陸から切り離されました」
「なるほど、最初からドラゴンの形だったわけじゃなく、強引な天地変動を起こした結果、それっぽい形になったのか」
『ほわー』
「これだけ広範囲を呪うとか魔力が相当高い皇帝だったんだろうなぁ、こえぇぇ」
次にカイちゃんが示したのは先ほどは飛ばしたお腹の辺り。
「この辺は小さな町や点在したり、国を名乗る部族がいたのですが、色々あって今はいません」
『カイがブチ切れた時に消滅させたからな』
『ばーんしたのね』
『にいちゃのトラウマ事件かぁ』
「今あるのは他国に向かう港があるセティの街だけです」
難民が押し寄せて居座ろうとしたこともあったけれど、セティが相手では同情も買えずに砂漠のど真ん中に放り出されたそうです。
さすが無慈悲。
「暮らす村も町も失い、民のほとんどは流民として移動しながら生活していますね。まぁ自業自得でしょう」
「あ、はい」
『贖罪の旅よ』
「遺跡とか多そうだな、にいちゃどの辺にする?」
「うーんそうだなぁ、この魔境に近い場所に川が通っているみたいだけど、この辺に崖を利用した遺跡っぽい街を作ってみたい」
『ロマン』
「春日も誘おう、きっとノリノリ」
人は住めぬ禁忌の地。
でも大丈夫、街を作るの神様の上司のご子息だから。
呪いが襲ってきたら返り討ちですよ。
アー君の課題だからね、選ぶのもアー君がいないと始まらない。
「そういう訳で手頃な場所の紹介をお願いします」
「世話になっているからね、もちろんいいよ」
やることが多すぎて自分で探す時間がもったいないと、土地の紹介をしてもらうために皆でカイちゃんの宮殿を訪れました。
先触れなしの突撃訪問、僕ら以外だったら極刑ものですね。
「誰か、地図を」
カイちゃんが部屋の隅に控えていた人に声をかけると、一礼して部屋を下がり、巻物を手にすぐ戻ってきた。
「このドラゴンのような形をしているのがこの砂漠の国の領土です」
「なぁカイ、この国って名前なかったっけ?」
『ママのせいかなー?』
「かあちゃがずっと砂漠の国って言ってたからな」
僕の知らないところでレモン国現象が起こっていた。
何とか無罪を勝ち取れないものだろうか。
「いいのです、もう諦めました」
そう呟くカイちゃんの瞳からハイライトが消えていました。
国名覚えるの苦手でごめん。
「この上のドラゴンの頭部の部分が私たちがいる宮殿がある首都になります。背骨にあたるこちらは人が踏み入ることを許されない砂漠の魔境、喉の部分に僅かに緑があり、中央を飛ばしてこの尻尾の部分にはイグが悪ノリして作った町があります」
「ああ、マフィアをイメージしたあそこか」
『邪神のための貢ぎ物生産地』
「緑より瘴気が濃そう」
背骨の部分といって示されたのは、頭の角っぽい部分から尻尾の先まで、砂漠の約半分以上だった。
魔境となったのは、数代前の砂漠の皇帝が忠臣だと信じていた者達にそこで惨殺され、怨念が魔物を狂わせて特大のスタンピードが発生、人の暮らす町も自然も何もかも破壊しつくした禁忌の地だから。
自然形態が狂ってしまい、朝も晩も関係なく常に極寒、この世界から失われたはずの雪に覆われているらしい。
砂漠の地の半分が実は呪われているとか、異世界の砂漠は予想以上に危険地帯。
でもイネスがぺかぺかしたら解決しそうな気がするよね、今日はネヴォラと遊ぶといっていないけど。
「皇帝の怨念による呪いが他国に移ることを危険視した女神により、砂漠の国の大地は他国へ続く大陸から切り離されました」
「なるほど、最初からドラゴンの形だったわけじゃなく、強引な天地変動を起こした結果、それっぽい形になったのか」
『ほわー』
「これだけ広範囲を呪うとか魔力が相当高い皇帝だったんだろうなぁ、こえぇぇ」
次にカイちゃんが示したのは先ほどは飛ばしたお腹の辺り。
「この辺は小さな町や点在したり、国を名乗る部族がいたのですが、色々あって今はいません」
『カイがブチ切れた時に消滅させたからな』
『ばーんしたのね』
『にいちゃのトラウマ事件かぁ』
「今あるのは他国に向かう港があるセティの街だけです」
難民が押し寄せて居座ろうとしたこともあったけれど、セティが相手では同情も買えずに砂漠のど真ん中に放り出されたそうです。
さすが無慈悲。
「暮らす村も町も失い、民のほとんどは流民として移動しながら生活していますね。まぁ自業自得でしょう」
「あ、はい」
『贖罪の旅よ』
「遺跡とか多そうだな、にいちゃどの辺にする?」
「うーんそうだなぁ、この魔境に近い場所に川が通っているみたいだけど、この辺に崖を利用した遺跡っぽい街を作ってみたい」
『ロマン』
「春日も誘おう、きっとノリノリ」
人は住めぬ禁忌の地。
でも大丈夫、街を作るの神様の上司のご子息だから。
呪いが襲ってきたら返り討ちですよ。
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