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第二章 聖杯にまつわるお話

第312話

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 諸事情により遅れていた海のダンジョンプレオープン、いよいよ明日です!!
 水着よし、遊具よし、おやつにお昼、バーベキューセットよし!

 けどその前にまたトラブル発生、今度は双子王子が原因です!

「可愛いと思った」
「喜んでもふもふすると思った」

 我が家の座敷で正座をする二人の前には黒くてふんわり毛皮のわんわん。
 シャムスやとイネスが顔を見せた瞬間にお腹を見せて服従、ちなみに双頭、ケルベロスだろうか。

「フェンリル」
「ダンジョンで拾った亜種」
『黒に見せかけてちょっと紫よ』
「亜種ですからね、ここかここか」
「わふわふ」

 アー君が新しくダンジョンをオープンすると聞いてお祝いを求め留学先にあるダンジョンに突撃、そこで出会ったので連れてきたそうです。
 軽い。いいのだろうか。
 普通に大丈夫か、いつものことだし。

「この子よだれが凄いですね、なんて言って誘ったんですか?」
「三食昼寝付」
「お肉もつくよ」

 なお我が家で食べれるお肉のサンプルとして、干し肉を提供、匂いだけで着いていくと決めたとか。
 ダンジョンの魔物のはずなのに野性と警戒心はどこに……。

「干し肉はないけどドラゴンの里から届いたジャーキーがあるよ」
『おいちぃの』
「私も食べます」

 スッと姿勢を正してお座りをした双頭わんこ。
 知能は高いみたいだけどよだれが涼玉並みです。

 躾をするまでもなく序列が出来ているのでもうこの子はこれでいいや、新しいもふもふズの一員という扱いで後で紹介しよう。
 なんて考えていた僕は甘かった。

「きゅぅ~~ん」
「カカカ!!」

 お昼の冷やし中華を盛り付けていたら何やら座敷が騒がしい、ドリアンに後を任せて覗いたら双頭わんこがキーちゃんにめちゃめちゃ媚を売っていました。
 対するキーちゃんは警戒心強め、前足を高く上げ、威嚇をしている。

『ママー』
「あのわんこ、キーちゃんに一目惚れしました」
「とうとうキーちゃんに春が来た」
「今は威嚇してるけど、流れ的にそのうち絆されるよね」

 お昼を作っている間にいつも通りの事が起こっていたようだ。
 あとそこの双子、食事前にアイスを食べるんじゃありません。

「キーちゃんは番持ちだよ、雷ちゃんの息子」
「そう言えばそうだった」
「ハーレムを築けばいいと思う、ロマンだよロマン」

 大丈夫だろうか、あの子は独占欲強めで、キーちゃんに求婚するためにダンジョン通って進化するぐらい強火な性格しているんだよね。
 ライバルは手強いけど頑張る気があるならやってみてください、あとはキーちゃんにお任せです。
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