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第二章 聖杯にまつわるお話

第295話

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 アカーシャとアカーシャ親衛隊が我が家に現れた!
 目的はクラーケン一家が自己防衛のために育てた海藻類です!

「昆布やわかめは港街で手に入りますが、これはあちらで入手するものより味があっさりしていますね」
「水質の違いでしょうか」
「合いそうな料理は――」

 子供達とこっそり見に行ったら真剣な表情で生海藻を食べながら話し合いしてました。

「採取量は一日どれほどでしょうか」
「それはクラーケン次第かな、数はいてもまだ幼体だから労働より遊び時間が長いらしいからね」
「派遣の方に水棲の魔物は登録していないか?」
「サハギンがこの間登録に来ました」
「一体だけではどうにもならないな、神殿に行ってヨム様にご相談してみましょうか?」
「うん、一応相談してみようか」

 微笑みを浮かべながらアカーシャが情報を提示し、それを元に親衛隊が最善案を出そうと話を進める。
 彼らは基本的に商人だからね、アー君の親衛隊みたいに力業で解決しようとはしないから安心。

 もしアー君の親衛隊だったらアー君の望む量を納品させるため、ミニクラーケンの一匹や二匹、火あぶりにしながら脅しそうで怖い。
 どうしてうちの子の周りに集まるのって濃い人物ばかりなんだろう。

「この海藻、単品で売ってもいいですが、どうせならミックスしたものも売りましょう」
「いいですね、胡瓜とあとアカーシャ様が流通させたちくわと混ぜれば一品出来ます」

 梅干し少々とゴマを混ぜても美味しいですよ。
 さて、アカーシャは仕事中なのでこの辺で撤退、お昼の用意でもしようかな。

「かあちゃ、海藻サラダ食べたくなってきた」
『僕も』
「きっとアカーシャとアカーシャの親衛隊も食べていくだろうから、先回りして見本作っちゃおうか!」

 あと最近暑くなってきたので冷やし中華とか食べたい。

「俺あれ好き、ちくわの中に胡瓜いれたやつ!」
「ぼきゅも」
「私はマヨネーズつけて食べたいですねぇ」
「イネスから頼まれたから胡瓜持ってきたんよ!!」
「ありがとうです!」

 山盛りの胡瓜が入った大きなザルを頭に乗せたネヴォラが現れた。
 とてもいい胡瓜なので早速使わせてもらおう。

 一部、浅漬けにしてもいいですか?

「父ちゃんがめんつゆあったら欲しいって」
「ドリちゃんに言って大きなカメに移してもらうね」
「うん!」
「冷やし中華と海藻を使った料理色々、あともうちょっと欲しいかな」
『おにく』
「そう肉! 豚肉の生姜焼き!」

 じゃあそれで。
 シャムスにお願いしてスラちゃんをスーパースラちゃんモードにしてもらい、光速でお昼の用意をしてもらう傍ら、頑張るアカーシャを応援する意味でデザートに取り掛かります。
 ひんやり美味しいゼリー、これなら子供たちも作れるからね。

「ではお願いします」
『僕スイカ味』
「エビ……は流石に合わないです、うーーん」
「わたしソーダ! しゅわっと!」
「肉味、はさすがにないか、うぅぅむ」

 以外にイネスと涼玉が味に悩んでいます。
 僕はその間に用意されていた果物をスラちゃんにポイポイ渡し、フルーツミックスを作ってもらっています。
 追加で粉寒天を投入、もごもごして出来上がり。
 とても簡単ですね、自宅にスライムがいる方はぜひ作ってみてください。

「母様ごめん、僕らの分のお昼あるかな?」
「大丈夫、用意しておいたから!」
『あい!』
「みかん、そう、俺はミカン味にする」
「わたしはマンゴーにします、黄金マンゴーまだあったかなぁ」

 涼玉とイネスもゼリーの味が決まったようなので、このままお昼にしようかな。

「胡瓜……母様、この胡瓜は原価いくらぐらいかな?」
「ネヴォラが持ってきてくれた胡瓜だよ」
「父ちゃんの菜園でさっき採れた胡瓜! 値段はよくわかんない!」
「うん分かった。こちらで交渉する」

 親衛隊の人が静かだなーと思ったら、冷やし中華と各種サラダに衝撃を受けつつ、分析しながら食べてました。
 皆さん真面目だなぁ。

「っは! おかずにエビフライ作ってもらえば良かったです!」
「また夕食にね」

 イネスがこちらを期待した瞳で見てきたので、エビを狩ってくることを条件に夕食にエビフライを追加することになりました。
 えークラーケンさん、この後イネスとネヴォラが池に遊びに行くので準備お願いしまぁす。
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