神様のポイント稼ぎに利用された3

ゆめ

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第二章 聖杯にまつわるお話

第272話

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 世界の終末さえも生き残れる絶対防御を誇るポンチョを着ていようが、豆ほどの小さな影さえあればどこにでも行き来できるえっちゃんがいようが、ふわっとした感じが最強の効果をもたらす謎能力を持っていようが逃れなれないものがある。
 それは――強制召喚。

 本日も足元に魔法陣が出現したと思ったらこの通り、見知らぬ王座の前に召喚されました。
 今回は肥え太った典型的な醜さを持つ王族が相手のようです、これは女神様やアー君がよく言っている「ダメな方の召喚」だ。

「最近多いね」
「キキ」

 なんだろう、女神様が気に入るような新連載でも始まったのかな?
 そうだとしたらとても迷惑なんだけど。

 今日は朝食後にうたた寝をしたら後、シャムスと霧の訓練をする予定だったのに……おのれ。
 しかも聖女召喚、僕は男だけどその辺はいいのかな。

 えーなになに、聖なる力で国を魔物から守ってほしい?
 旅の支援はするから魔王を討伐してほしい?
 旅のついでに村や町を巡って問題を解決してほしい?

 あの、聖女と勇者の役割混ざってません?

 僕は魔物の味方です。
 人間を襲う魔物が討伐対象になるのは仕方ない、でも僕にかかれば皆可愛い癒し系ですよ。
 魔王討伐?
 あの人を倒そうと思ったら、まず奥さんから倒さなきゃならない気がします、人類には無理だと思う。
 あと自分の国の問題は自分達で解決してください、召喚した相手に強制しないで。

 いや待てよ……。
 魔王討伐、それってつまり魔王様の所まで旅するんだよね、何それ面白そう。
 異世界体験するチャンスじゃない?
 今なら妊娠もしてないし、ちょっとぐらいなら、ね?

 なんて僕があれこれ考えている間に勝手に話は進み、紹介された戦士、魔法使いとともに送り出された。
 お城を出るまでは馬車で、門を出たところで馬車の外にポイっとされ、馬車はさっさと帰ってしまいました。

「え、資金は!? 装備は!?」

 まさか無一文かと思ったら、最低限の装備とお金が入った袋は渡されたらしい。
 どう見てもお百姓さんにしか見えない戦士、使える魔法は初級レベルな魔法使い、能力不明の僕。
 え、国を救えとか本気?

 とりあえず城門が見えない場所まで移動し、渡されたお金を確認したら全部銀貨だった。
 ここはせめて金貨じゃない?
 あれか、誰か途中で中抜きした?
 戦士の装備は訓練所で支給された使い古し、魔法使いの杖はヒノキの棒、僕は……何も渡されていない。

 ギルティ、カイちゃんにチクったろ。

 召喚しておいてこの仕打ちは何がしたいかよく分からないけど、この装備と資金で旅は無謀だとよくわかる。
 戦士の人が訓練所で聞いた話を元にギルドに向かうことが決定――

「ちょっ、え、なんでこんな所に!?」
「?」

 複数の悲鳴に視線を向けたら、数人の冒険者が僕を見て顔を引きつらせていた。
 冒険が始まる前に終わった予感がする。
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