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第二章 聖杯にまつわるお話
第266話 産婆する暇がなかった(byヘラ)
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調理場はドリちゃんのお城だし、ドリアンが忙しく動き回っているので料理教室には不向き。
なので本日はお庭で料理します。
人はそれをキャンプと呼ぶかもしれない、大丈夫、料理さえ完成させれば目的は達成されるから。
焚き火台にドリちゃんが改良に改良を重ねたキャンプ用キッチンテーブル、その他調理器具とお皿、食材もばっちり。
今日使用するのは涼玉の炎のため、どんなに料理下手だろうとも焼きすぎや煮込み過ぎが発生しないんだよね、だから女神様は安心して料理を楽しんでください。
白ちゃんのお嫁さんエヴァ君はお料理上手。
連日白ちゃんのために腕を振るっているので、本日は指導役としてヘラ母さんに声をかけられたそうです。
黒ちゃんのお嫁さんは才色兼備でバリバリのキャリアウーマン、ただし黒ちゃんのお世話とお仕事に特化している才女さん、実は料理が出来なかった。
学園では寮で食事が出たし、黒ちゃんと結婚してからも似たような感じで料理をしなくていい環境が続いていたので、発覚が遅れたみたい。
他にも料理と言えば肉に適当に塩を振って焼くだけなレイアさん、騎士様に負けず劣らず料理が黒焦げになる女神様など、地位が高いので普段料理する必要がないメンバーが集められた。
声をかけたのがヘラ母さんだったので、誰も逃げられなかったそうです。
本日のメニューはカレー、肉じゃが、野菜炒め。
ヘラ母さんの子供たちに野菜を食べさせようという意気込みが伝わるメニューですね。
「この炎凄いですね、肉がふわっとした状態で維持されて、固くならないです」
「砂糖ってこれかしら」
「あっ、こら、肉じゃがに塩の塊入れようとするんじゃないよ! スライムども塩を回収!」
エヴァ君が感動する横で黒ちゃんのお嫁さんが違う調味料を入れようとするテンプレをして、ヘラ母さんが大慌てで止めている。
大丈夫、黒ちゃんならお嫁さんが作ったものなら、塩の塊だろうと激辛だろうと美味しく食べてくれるはず。
「キャベツはどのくらいにちぎればいいんだ?」
「レイアさん、細かくちぎりすぎです、それじゃほぼみじん切り……」
「一品できたぞ、私って天才じゃねぇか?」
「女神様、生のひよこ豆をお皿に盛ったのは料理を作ったとは言いません」
ヘラ母さん……これ声かけたメンバーがひど過ぎる、制御出来てないよ。
「レシピ渡しただろう、ドリと打ち合わせして学園のちびっこでも理解できる内容なやつを!」
「隠し味、です」
「旦那を病気にしたいのかい」
目を逸らしつつ言い訳をする黒ちゃんのお嫁さんに、ヘラ母さんが眼光鋭く説教をしている。
黒ちゃんは状態異常耐性持っているので、病気にはならないと思う。なんて口を挟んではいけないよね。
「あらあらまぁまぁ、このカレーはお城で出されるものとはずいぶん違うわねぇ」
「……王妃様、お湯にカレールーを入れただけで、具が入っていません」
「お湯に入れれば出来上がりと聞いたのだけど、パパがたまに作ってくれるの」
「それは多分、冒険者向けの簡易料理だと思います」
ついでに言うと国王様がこっそりギルドに通ってるのが今ばれました。
あと自宅では「パパ」って呼ばれているのか……ラブラブですね。
「カターー!」
「ぎゃぁこのスケルトン、女神をハリセンで殴ったぞ!」
「女神様が手抜き料理ばかり作ろうとするから怒ってますね」
生前は家族を支える肝っ玉母さんだったらしいので、家族の健康には人一倍煩いタイプです。
あと使い魔として刀国に来て以来、初めて見る食材を前に、読み書きを必死に習得してレシピ本を読めるようになったりして、今じゃヘラ母さんと肩を並べる料理研究家なんですって。
生前より生き生きしてるってモヒカンが泣いてた。
「……ヘラ母さん」
「ん、なんだい?」
「お腹痛い」
多分この痛さは陣痛かなぁ?
「のんびりしてないで早く縁側に移動しな!」
「あっ、産まれた」
縁側に移動する暇もなく、立ったまま出産とか初めての経験かもしれない。
「……」
「なんかね、お腹が痛いなーって思ったらふわーってお腹の中から霧が出てきて、そのまま人の形になった」
「え、マジで? 確かに私が安産スキル与えたけど、スキルの範囲超えてるよね?」
生まれたばかりにしてはずっしり重いけど、ポンチョに付与されている筋力増強があるから平気。
「むーむー唸ってるけど、おっきい方かな」
「エヴァ、スケルトン、料理の指導頼む。イツキはこっちにおいで、とりあえず座りな」
「はぁい」
怒ったような顔をして、ふんふん鼻息も荒い。
体の一部が霧になったり戻ったり、力の加減が上手くいかないのかな?
「どのオムツ使う?」
「このピンクのレースがふんだんに使われたドレスっぽいのにしよう」
「ふんぐーー!!」
「凄い嫌がってるね、これにしようか」
「おんぎゃぁぁ!」
わぁ凄い音量、元気だねー。
自己主張も激しいし、こんなに元気な子は朱以来かもしれない。
なので本日はお庭で料理します。
人はそれをキャンプと呼ぶかもしれない、大丈夫、料理さえ完成させれば目的は達成されるから。
焚き火台にドリちゃんが改良に改良を重ねたキャンプ用キッチンテーブル、その他調理器具とお皿、食材もばっちり。
今日使用するのは涼玉の炎のため、どんなに料理下手だろうとも焼きすぎや煮込み過ぎが発生しないんだよね、だから女神様は安心して料理を楽しんでください。
白ちゃんのお嫁さんエヴァ君はお料理上手。
連日白ちゃんのために腕を振るっているので、本日は指導役としてヘラ母さんに声をかけられたそうです。
黒ちゃんのお嫁さんは才色兼備でバリバリのキャリアウーマン、ただし黒ちゃんのお世話とお仕事に特化している才女さん、実は料理が出来なかった。
学園では寮で食事が出たし、黒ちゃんと結婚してからも似たような感じで料理をしなくていい環境が続いていたので、発覚が遅れたみたい。
他にも料理と言えば肉に適当に塩を振って焼くだけなレイアさん、騎士様に負けず劣らず料理が黒焦げになる女神様など、地位が高いので普段料理する必要がないメンバーが集められた。
声をかけたのがヘラ母さんだったので、誰も逃げられなかったそうです。
本日のメニューはカレー、肉じゃが、野菜炒め。
ヘラ母さんの子供たちに野菜を食べさせようという意気込みが伝わるメニューですね。
「この炎凄いですね、肉がふわっとした状態で維持されて、固くならないです」
「砂糖ってこれかしら」
「あっ、こら、肉じゃがに塩の塊入れようとするんじゃないよ! スライムども塩を回収!」
エヴァ君が感動する横で黒ちゃんのお嫁さんが違う調味料を入れようとするテンプレをして、ヘラ母さんが大慌てで止めている。
大丈夫、黒ちゃんならお嫁さんが作ったものなら、塩の塊だろうと激辛だろうと美味しく食べてくれるはず。
「キャベツはどのくらいにちぎればいいんだ?」
「レイアさん、細かくちぎりすぎです、それじゃほぼみじん切り……」
「一品できたぞ、私って天才じゃねぇか?」
「女神様、生のひよこ豆をお皿に盛ったのは料理を作ったとは言いません」
ヘラ母さん……これ声かけたメンバーがひど過ぎる、制御出来てないよ。
「レシピ渡しただろう、ドリと打ち合わせして学園のちびっこでも理解できる内容なやつを!」
「隠し味、です」
「旦那を病気にしたいのかい」
目を逸らしつつ言い訳をする黒ちゃんのお嫁さんに、ヘラ母さんが眼光鋭く説教をしている。
黒ちゃんは状態異常耐性持っているので、病気にはならないと思う。なんて口を挟んではいけないよね。
「あらあらまぁまぁ、このカレーはお城で出されるものとはずいぶん違うわねぇ」
「……王妃様、お湯にカレールーを入れただけで、具が入っていません」
「お湯に入れれば出来上がりと聞いたのだけど、パパがたまに作ってくれるの」
「それは多分、冒険者向けの簡易料理だと思います」
ついでに言うと国王様がこっそりギルドに通ってるのが今ばれました。
あと自宅では「パパ」って呼ばれているのか……ラブラブですね。
「カターー!」
「ぎゃぁこのスケルトン、女神をハリセンで殴ったぞ!」
「女神様が手抜き料理ばかり作ろうとするから怒ってますね」
生前は家族を支える肝っ玉母さんだったらしいので、家族の健康には人一倍煩いタイプです。
あと使い魔として刀国に来て以来、初めて見る食材を前に、読み書きを必死に習得してレシピ本を読めるようになったりして、今じゃヘラ母さんと肩を並べる料理研究家なんですって。
生前より生き生きしてるってモヒカンが泣いてた。
「……ヘラ母さん」
「ん、なんだい?」
「お腹痛い」
多分この痛さは陣痛かなぁ?
「のんびりしてないで早く縁側に移動しな!」
「あっ、産まれた」
縁側に移動する暇もなく、立ったまま出産とか初めての経験かもしれない。
「……」
「なんかね、お腹が痛いなーって思ったらふわーってお腹の中から霧が出てきて、そのまま人の形になった」
「え、マジで? 確かに私が安産スキル与えたけど、スキルの範囲超えてるよね?」
生まれたばかりにしてはずっしり重いけど、ポンチョに付与されている筋力増強があるから平気。
「むーむー唸ってるけど、おっきい方かな」
「エヴァ、スケルトン、料理の指導頼む。イツキはこっちにおいで、とりあえず座りな」
「はぁい」
怒ったような顔をして、ふんふん鼻息も荒い。
体の一部が霧になったり戻ったり、力の加減が上手くいかないのかな?
「どのオムツ使う?」
「このピンクのレースがふんだんに使われたドレスっぽいのにしよう」
「ふんぐーー!!」
「凄い嫌がってるね、これにしようか」
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わぁ凄い音量、元気だねー。
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