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第二章 聖杯にまつわるお話
sideアー君
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えっちゃんとイグから魂の解析が終了したと連絡が入り、ママを除いた家族で集まる必要が出たので、白と黒の嫁に協力をお願いした。
「ママ、敷地内から出ないように」
「大丈夫だよアー君、ヘラ母さんや白ちゃん達のお嫁さんと一緒に料理するんだ」
「ほらほら手伝わない連中はさっさと出ていきな、ここから先は嫁の領分だよ」
ママが妊娠しているのにシャムスやもふもふズまで傍を離れるのは不自然すぎて、どうやって誤魔化そうかが一番の難問だったけれど、ばーばが自然な感じに追い出してくれた。
パパはとてもしょっぱい顔をしているけど、我慢して。
「刀雲、シャムスのおやつ持った?」
「大丈夫だ行ってくる」
「ちわー、料理教室やるってマジかよ、私狩り専門でいいか?」
「食べる専門でいいと思うんだ。息子達の方が料理上手だし」
グチグチいいながらレイア様と女神がやってきた。
あれ? ママの目を逸らすためだから少数で良かったのだけど、もしかしてガチ目の料理教室?
ま、まぁいいかばーばも協力ありがとう、安心して話し合いが出来る。
あと……野菜は少なめでお願い。
しょんぼりするパパの背を押して、向かう先は神薙神社の本殿。
家の近くで何があってもすぐ駆け付けられるからね、ただ利用料と称して神薙様にパパを貸し出す事になったけどね。
おやつを食べさせたり、膝枕をしてあげたり、髪をとかしたりと忙しく、話し合いには耳だけ参加している状態になってる。
「魔法陣を動かしていた人間にこれといった共通点はなしだったぜ、歩んできた人生も奴隷だったり貴族だったりバラバラだったしよ。ある日を境に人生が真っ暗に塗りつぶされて魔法陣の上に立ってた感じだな」
イグの説明にえっちゃんも影を動かして同意を示す。
「そうだなぁ、唯一の共通点といえば全員魔力が高かったってとこかな、魔法陣を動かすために集められた生贄だと考えるのが自然だろうな」
「ママが言語を理解できなかったって言ってたけど、あれは?」
「なんだっけ、一部の種族だけが使う言語、だっけ?」
「キキ」
えっちゃんが名前を挙げたのは、時に海に悪意を混ぜ、時に神殺しをするために森をダンジョンに変えたあの一族だった。
しつこい。
あの手この手で滅ぼそうとしてるのに、各地に散らばって隠れている奴らが案外しぶとく滅びない。
「引きずり出した記憶から言語を再現して父様に意味を聞いてみたんだよ、それでやっと何を呟いていたのか判明した」
その父様、うちのパパの膝の上にいる邪神様のことだよね?
「神薙、奴らは何て言ってたの?」
「んー『内からその者を喰い殺せ』だったかな」
サラッととんでもない爆弾を落とされた。
ママだから大丈夫だと高を括っていたけれど、大丈夫じゃないかもしれない。
「あっ、ママが出産した」
「はぁ!?」
話し合いに耳を傾けながらも、おやつとして用意されていた肉まんをひたすら食べていたヨムが神薙様に続く爆弾発言をした。
待って、もう話し合いどころじゃない。
「ママの無事を確認しないと」
「安産だよ、秒で産んだ」
「見てきたけど玉のような赤ん坊だった。立派なやつもついてた」
焦る俺に対して邪神兄弟が自由すぎる。
余ったおやつは全て邪神一家に押し付け、急いで家に帰った。
「みんなお帰り、見て、可愛いでしょ」
「陣痛が来たかと思ったらイツキの腕の中にこの子がいた」
新しい家族は家族の嫁に囲まれちやほやされていた。
とりあえずママの腹は食い破らなかったし、食い殺すことも出来なかったみたいで良かった。
「アー君、この子ね、体の一部が霧なんだよ」
「アルジュナ様、この御子はジャンル違いです」
ママと同時に女神が意味の分からない発言をした。
もう帰りたい、いやここ自宅だった。
「ママ、敷地内から出ないように」
「大丈夫だよアー君、ヘラ母さんや白ちゃん達のお嫁さんと一緒に料理するんだ」
「ほらほら手伝わない連中はさっさと出ていきな、ここから先は嫁の領分だよ」
ママが妊娠しているのにシャムスやもふもふズまで傍を離れるのは不自然すぎて、どうやって誤魔化そうかが一番の難問だったけれど、ばーばが自然な感じに追い出してくれた。
パパはとてもしょっぱい顔をしているけど、我慢して。
「刀雲、シャムスのおやつ持った?」
「大丈夫だ行ってくる」
「ちわー、料理教室やるってマジかよ、私狩り専門でいいか?」
「食べる専門でいいと思うんだ。息子達の方が料理上手だし」
グチグチいいながらレイア様と女神がやってきた。
あれ? ママの目を逸らすためだから少数で良かったのだけど、もしかしてガチ目の料理教室?
ま、まぁいいかばーばも協力ありがとう、安心して話し合いが出来る。
あと……野菜は少なめでお願い。
しょんぼりするパパの背を押して、向かう先は神薙神社の本殿。
家の近くで何があってもすぐ駆け付けられるからね、ただ利用料と称して神薙様にパパを貸し出す事になったけどね。
おやつを食べさせたり、膝枕をしてあげたり、髪をとかしたりと忙しく、話し合いには耳だけ参加している状態になってる。
「魔法陣を動かしていた人間にこれといった共通点はなしだったぜ、歩んできた人生も奴隷だったり貴族だったりバラバラだったしよ。ある日を境に人生が真っ暗に塗りつぶされて魔法陣の上に立ってた感じだな」
イグの説明にえっちゃんも影を動かして同意を示す。
「そうだなぁ、唯一の共通点といえば全員魔力が高かったってとこかな、魔法陣を動かすために集められた生贄だと考えるのが自然だろうな」
「ママが言語を理解できなかったって言ってたけど、あれは?」
「なんだっけ、一部の種族だけが使う言語、だっけ?」
「キキ」
えっちゃんが名前を挙げたのは、時に海に悪意を混ぜ、時に神殺しをするために森をダンジョンに変えたあの一族だった。
しつこい。
あの手この手で滅ぼそうとしてるのに、各地に散らばって隠れている奴らが案外しぶとく滅びない。
「引きずり出した記憶から言語を再現して父様に意味を聞いてみたんだよ、それでやっと何を呟いていたのか判明した」
その父様、うちのパパの膝の上にいる邪神様のことだよね?
「神薙、奴らは何て言ってたの?」
「んー『内からその者を喰い殺せ』だったかな」
サラッととんでもない爆弾を落とされた。
ママだから大丈夫だと高を括っていたけれど、大丈夫じゃないかもしれない。
「あっ、ママが出産した」
「はぁ!?」
話し合いに耳を傾けながらも、おやつとして用意されていた肉まんをひたすら食べていたヨムが神薙様に続く爆弾発言をした。
待って、もう話し合いどころじゃない。
「ママの無事を確認しないと」
「安産だよ、秒で産んだ」
「見てきたけど玉のような赤ん坊だった。立派なやつもついてた」
焦る俺に対して邪神兄弟が自由すぎる。
余ったおやつは全て邪神一家に押し付け、急いで家に帰った。
「みんなお帰り、見て、可愛いでしょ」
「陣痛が来たかと思ったらイツキの腕の中にこの子がいた」
新しい家族は家族の嫁に囲まれちやほやされていた。
とりあえずママの腹は食い破らなかったし、食い殺すことも出来なかったみたいで良かった。
「アー君、この子ね、体の一部が霧なんだよ」
「アルジュナ様、この御子はジャンル違いです」
ママと同時に女神が意味の分からない発言をした。
もう帰りたい、いやここ自宅だった。
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