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第二章 聖杯にまつわるお話

第263話

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 とりあえずママは安静にしててと言われ、クッションコーナーでのんびりしたり、シャムス達とボードゲームをして遊んでいたらあっという間に一日が終わりました。
 その後、帰宅したアー君や騎士様に診察され、夕食の時間が家族会議の時間にもなりました。

「鉄板焼き、今日に限ってなんで?」

 会議開始とアー君が宣言すると同時に庭と座敷でジュージューといい音が鳴り始めた。
 子供達は各々フォークとお皿を持ってばらけ、話し合いをする雰囲気も静けさもどこにもありません。

「おやつに焼きおにぎり出したら一個じゃ足りないって言われて、夕食で好きなだけ食べていいよって約束してしまったんです」
「俺、六個ぐらい食える!」
「私が作れれば良いのですが、触ったら手が焼けてしまうので無理でした」

 黄金の米はイネスの光が直撃した部分のため、多少耐性がある程度では触ることすらアウトらしい。
 神薙さんはピリ辛とか言いながら普通に食べているけどね、邪神の格の違いとかなんだろうな。

「会議じゃなくて食事開始になってるよアー君」
「俺お好み焼きと焼きそば! パパそっちのカルビ取っておいて!」
「あ、はい」

 視界の隅で神薙さんが猪の丸焼きを食べている。
 最初はパンに挟んで食べたがっていたけれど、さすがに無理があったので諦めてもらえました。

「伊勢海老丸焼きー」
「ホタテ! サザエ!」
『僕たこ焼き』
「串焼きがいい感じ!」

 なぜ会議と食事を同列にやろうとしたのだろうか、スタートから失敗しているよ。
 脳内会話しているかと思ったけど、そんな気配もなく、食べるのに夢中だよね。

 刀雲の横で大人しく座りつつ、カニの足をほぐしたり、お好み焼きを焼いています。
 これらは僕らの口には入りません。

『あーん』
「はいあーん」

 こんな感じで子供達のお腹に入ります。

『たこ焼きの中身がイカなの、これたこ焼き?』
「黄金の焼きおにぎり食ったら炎が黄金になった。かっちょええ?」
「カッコイイ、だから次はオーク焼いて」
「おう!」
「神薙さん、肉以外も食べてくださいね」
「うん」

 神薙さんの暴走を防ぐため、本日は巨大な魔物の丸焼きを多数用意してあります。
 もちろん焼いてない魔物のリクエストもあるけど、その場合は涼玉が焼いてくれるので問題ない。

 騎士様の炎で焼いてもいいのだけど、涼玉ほどいい感じに焼けないんだよね。
 火力の差というか適正の差なのかは微妙、でも涼玉の炎の方が確実に料理向き。

「俺の前の鉄板、お好み焼きに占領された」
「パパはどうせお酒中心だろ、焦げないよう見張ってて!」
「はい」

 騎士様弱っ!
 アー君の勢いに負けっぱなしですね!
 そして言われた通りお酒を飲みながらお好み焼きの番をしている……神様の、上司?

「にいちゃステーキ焼けたって!」
「よし取りに行くぞ!」
「シャムスこのタコライス美味しいですよ」
『ありがとー』

 騎士様の横では刀雲がひたすら餃子を焼く機械と化している。
 パパって大変ですね。

 結局、話し合いは食後のデザートのアイスを食べながらになりました。
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