神様のポイント稼ぎに利用された3

ゆめ

文字の大きさ
上 下
266 / 926
第二章 聖杯にまつわるお話

第260話

しおりを挟む
 皇帝って暇なのだろうか、朝からずっと稲刈りして、お昼食べてまた稲刈りして、姿が見えないから帰ったのかと思ったら、離宮でピザを作っているらしい。
 ダンジョンに行ったり、子供達と遊んだり、結構充実した生活送ってますね。

「将軍、本日の収穫はいかがいたしましょうか」
「欲しい奴がいるなら持ち帰ってもいいぞ、不要分はその辺のスケルトンに預ければ片付けてくれる」
「カタタ」
「……フラフラしているのですが」
「俺たちよりも疲労してます!」
「イネスのせいだな、悪いがスケルトンの代わりにギルドに納品してやってくれ」
「承知!」
「昼飯食べ終わった奴から刈り再開な」
「「えええええ」」

 刀雲の言葉に一斉に悲鳴が上がったけど、涼しい顔でスルーする刀雲に暑苦しい男たちが涙ぐみながらすがりついております。
 わぁ我が家の家長がモテモテだ。

「ママー」
「イツキ!」

 散々走りまわり、お昼を食べて満足したらしいイネスとネヴォラがキラキラした表情で駆け寄ってきた。

「良い事しました! ちょっといいおやつ食べたいです!」
「何をしたの?」
「人命救助! イネスが女神にお願いされたから、二人で行ってきたんよ! イネスががーーって穴を掘って、わたしが転移で穴から人間出してやった!」
「それは立派な人命救助だね」
「だからね、だからね、ご褒美ください」

 おねだりしながら僕の胸に頭を擦り付けて甘えるイネス、あざとい! だが可愛い!
 何がいいかな!

 メニュー画面を開いておやつコーナーを開きます。
 クッキーシューの真ん中を割り、たっぷりの生クリームと大粒の苺。
 イネスもネヴォラも苺好きだからこれいいかもしれない、よぉしポチ。

『ママー』
「食べたいな」

 横にいるシャムスと涼玉もそれを見ているわけで、当然欲しがるよね。
 でもこれは二人がいい事したご褒美であり……うぅ。

「俺とシャムス兄、午前中悪戯もせずとてもいい子にしてたと思う」
『いい子だったの』
「確かに」

 はしゃぐと大変なことになるからね、ふわふわのケーキを食べながらシャムスや僕とのんびり過ごしていた。
 おかげで作物がはしゃぐ事もなく、主にトレントがふわふわした感じで周囲の空気が柔らかかった気がする。

『ママお願い』
「午後もいい子にする」
「イネスいいかな?」
「いいですよ! 皆で食べると美味しい!」
「ついでにもう一個おかわり!」

 子供達が笑顔でおやつを食べる優しい光景。
 それを遠目に怨嗟の篭った瞳で見つめる大人達。

 すみませんねぇ、うちの子たちばかりいい思いしてしまって。
 でもあまり恨みを向けていると、うちの家長の怒りを買っちゃいますよー。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

獣人将軍のヒモ

kouta
BL
巻き込まれて異世界移転した高校生が異世界でお金持ちの獣人に飼われて幸せになるお話 ※ムーンライトノベルにも投稿しています

【完結】ぎゅって抱っこして

かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。 でも、頼れる者は誰もいない。 自分で頑張らなきゃ。 本気なら何でもできるはず。 でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

飼われる側って案外良いらしい。

なつ
BL
20XX年。人間と人外は共存することとなった。そう、僕は朝のニュースで見て知った。 なんでも、向こうが地球の平和と引き換えに、僕達の中から選んで1匹につき1人、人間を飼うとかいう巫山戯た法を提案したようだけれど。 「まあ何も変わらない、はず…」 ちょっと視界に映る生き物の種類が増えるだけ。そう思ってた。 ほんとに。ほんとうに。 紫ヶ崎 那津(しがさき なつ)(22) ブラック企業で働く最下層の男。悪くない顔立ちをしているが、不摂生で見る影もない。 変化を嫌い、現状維持を好む。 タルア=ミース(347) 職業不詳の人外、Swis(スウィズ)。お金持ち。 最初は可愛いペットとしか見ていなかったものの…?

【短編】乙女ゲームの攻略対象者に転生した俺の、意外な結末。

桜月夜
BL
 前世で妹がハマってた乙女ゲームに転生したイリウスは、自分が前世の記憶を思い出したことを幼馴染みで専属騎士のディールに打ち明けた。そこから、なぜか婚約者に対する恋愛感情の有無を聞かれ……。  思い付いた話を一気に書いたので、不自然な箇所があるかもしれませんが、広い心でお読みください。

【完結】テルの異世界転換紀?!転がり落ちたら世界が変わっていた。

カヨワイさつき
BL
小学生の頃両親が蒸発、その後親戚中をたらいまわしにされ住むところも失った田辺輝(たなべ てる)は毎日切り詰めた生活をしていた。複数のバイトしていたある日、コスプレ?した男と出会った。 異世界ファンタジー、そしてちょっぴりすれ違いの恋愛。 ドワーフ族に助けられ家族として過ごす"テル"。本当の両親は……。 そして、コスプレと思っていた男性は……。

せっかく美少年に転生したのに女神の祝福がおかしい

拓海のり
BL
前世の記憶を取り戻した途端、海に放り込まれたレニー。【腐女神の祝福】は気になるけれど、裕福な商人の三男に転生したので、まったり気ままに異世界の醍醐味を満喫したいです。神様は出て来ません。ご都合主義、ゆるふわ設定。 途中までしか書いていないので、一話のみ三万字位の短編になります。 他サイトにも投稿しています。

【完】僕の弟と僕の護衛騎士は、赤い糸で繋がっている

たまとら
BL
赤い糸が見えるキリルは、自分には糸が無いのでやさぐれ気味です

転生したけど赤ちゃんの頃から運命に囲われてて鬱陶しい

翡翠飾
BL
普通に高校生として学校に通っていたはずだが、気が付いたら雨の中道端で動けなくなっていた。寒くて死にかけていたら、通りかかった馬車から降りてきた12歳くらいの美少年に拾われ、何やら大きい屋敷に連れていかれる。 それから温かいご飯食べさせてもらったり、お風呂に入れてもらったり、柔らかいベッドで寝かせてもらったり、撫でてもらったり、ボールとかもらったり、それを投げてもらったり───ん? 「え、俺何か、犬になってない?」 豹獣人の番大好き大公子(12)×ポメラニアン獣人転生者(1)の話。 ※どんどん年齢は上がっていきます。 ※設定が多く感じたのでオメガバースを無くしました。

処理中です...