神様のポイント稼ぎに利用された3

ゆめ

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第二章 聖杯にまつわるお話

第242話

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 さて農村視察二日目です。
 黄金の牛はすでにいない、来てすぐに食堂に向かいました。

 何しに来たんだあの牛。

 子供達は昨日のメンバーに加え、獣人団と朱、青嵐も来ています。
 もちろんここにはおらず、涼玉達と一緒に村の外に行ってしまいました。

 僕寂しい。

 何てそんな事はない、なぜなら今日は――

「ママ、あっちで揉め事起きてるから行くけど、ママはどうする?」
「一緒に行く!」

 アー君が一緒なのです!
 授業を休めないなら授業の一環でくればいいじゃないの精神、嫌いじゃないよ。

 最も彼らも使い魔たちと村の外に行っちゃったけどね。
 建前的には「使い魔が指示に従うか」とか何かそんな感じらしいです、ざっくりしてる。

 怒鳴り声の方へ近付いて行ったら、冒険者らしき人達が何やら言い争いをしていた。
 大丈夫? アー君が来たよ。
 少し離れた所にはひょろっとした感じのポーターっていうのかな、そんな感じの男性が俯いて立っていた。

 争いが起きているにも関わらず、アー君が珍しく止めようともせずに傍観している。

「だから、アイツの実力じゃもう俺らとは釣り合わないって言ったんだ!」
「そんなこと分かってる! でもっ!」
「そうですよ、ずっと一緒にやってきたじゃないですか!」

 えっ、これ追放もの?
 わざわざここで?

「よって、俺はこのパーティーの拡大と、新人募集を提案する!!」

 言い争いの中心にいたリーダーっぽい人が大声で宣言した。
 俯いていた人がパッと顔を上げて潤んだ瞳でリーダーを見ている。

「それって」
「確かに俺らの実力には劣るかもしれない、だがアイツには長年俺らとやってきた経験と技術がある」
「うん」
「ならばその技術を使って後進の育成をすればいい」
「リーダー、でも、許されるのかな?」
「よろしいでしょうかアルジュナ様!」
「いいよー」

 とても軽い感じで新人育成が了承されたようです。

「クラン設立とかロマンだなぁ。あまり例がないことだけど、とりあえずギルドで申請してくれ」
「分かりました!」
「「はい!!」」

 元気よく返事をしたメンバーが、ポーター君に群がって頭を撫でまわしたり涙目で肩を叩いて喜んでいる。
 実力は届かなくてもとても愛されているのが分かってほっこりするね。

 ……リーダーだけお尻撫でまわしてセクハラっぽいんだけど、あれはいいのだろうか。

「どうせクランやるならこの村に腰を据えてみないか? 宿舎も空いているから今なら安くするぞ」
「え、金取るんですか!?」
「当たり前だろう」
「リーダー、いいじゃない、ここから初めてみよう!」
「宿舎を借りられれば、俺たち、帰る場所が出来ますよ」
「分かった。分かった。その代わりお前らちゃんと稼げよ!」

 村に定住することを決めたパーティーに、アー君がにんまりと笑った。
 冒険者が常駐するのは防犯面でもアー君に得しかないからね、とても嬉しそうです。
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