神様のポイント稼ぎに利用された3

ゆめ

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第二章 聖杯にまつわるお話

第239話

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 黄金の牛に乗って次にやってきたのはスイーツのお店。
 食事を提供する食堂や宿のような生活拠点と違い、ここは娯楽施設の一つ。

 レンガ造りのちょっぴりおしゃれな外観、その実態は帝都でも見かけないショーウィンドウを採用した最新鋭のお店です。
 ガラスも騎士様の手作りで神薙さんの一撃でも割れないって噂。

 アー君、自分の領地だから堂々とやりたい放題してる。

 選んだスイーツは持ち帰って食べてよし、店先にある椅子に座って食べてもよしということです。
 黄金の牛が人化したと思ったら、早速いくつか購入してもぐもぐしている。視察はいいのだろうか。

「クレープ、パンケーキ、ロールケーキ、タルト、クッキー詰め合わせ……種類が多い」
「俺の知り合いが冒険者を引退して、珈琲専門店に弟子入りしたんですよ。それが羨ましくて菓子の研究してたらアルジュナ様からお声がかかりまして、こうして自分の店を持てました」

 どうやら農村地帯で働く農民と運営資金は他国から提供させたけど、農民の方の生活を支える施設の責任者は刀国民に声をかけて集めたようです。
 まぁ確かに、自分のやり方わかっている相手の方が使いやすいよね。

「これでも最初は異国の菓子を研究していたのですが、砂糖使い過ぎだったり、そもそも砂糖が高級品扱いで手に入らないとか色々ありまして」
「ああ、テンプレ」

 異世界あるある。
 調味料は高級品。

 それに対し、刀国では調味料は一般流通していて価格もお手頃。
 一応高級店で売っている調味料もあるけれど、あのお店はクロードさんが他国から来ている商人や貴族からお金をむしり取るために作ったお店で、中身自体はその辺の商店でも売ってるらしい。
 悪魔かな?

「どんなに発展していると言われている国でも結局刀国ほどじゃなかったです。もう菓子を研究するのは他国じゃ無理だなって諦めて刀国に戻ったら、異国どころか異世界料理の本が普通に店頭に並んでいて……」

 スイーツ店の店主が遠い目をしてお空を見ている。
 ごめんなさい、その本を出したのは僕と僕の知り合いです。

「他国の商人もレシピ本を買って大儲けを狙ったのが幾人かいたらしいですが、そもそも本に載っている必要食材が刀国基準でしたからねぇ。王侯貴族ならギリ再現できるかどうかって内容でした」

 うん、僕が出した時も刀国内で手に入る食材に置き換えてレシピ作ってもらったなぁ、ドリちゃんに。
 その他の国じゃ再現難しいかもしれない、そもそも食べるのに精一杯なお国も多いしね。

 黄金の牛が食べ終わった所で次に移動。

 おじいちゃんが家の前で日向ぼっこしていたので、黄金の牛が話しかけたら斬りかかられた。
 謎能力で強化されたダンジョンの巡回ボスだからかすり傷さえ負わなかったけど、びっくりした。
 元剣聖で村の護衛として雇われたと土下座しながら語られました。腹掻っ捌かないでいいので顔上げてくれると嬉しいです。

 他にもブルーベリー一点集中な人や、陶器研究に没頭する人など、中々濃い人材が揃いつつあるようです。
 涼玉が定期的に来るから不作知らずだしね、作物関連の研究もし放題。

 三食昼寝付き。
 農具等の必需品は無償修理、母国では手に入らないようなスイーツ店で好きなものを購入して食べれるし、食堂では刀国でも人気の高い食事が無料。
 この村に出仕している人達、母国に戻れるのだろうか。
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