243 / 923
第二章 聖杯にまつわるお話
第239話
しおりを挟む
黄金の牛に乗って次にやってきたのはスイーツのお店。
食事を提供する食堂や宿のような生活拠点と違い、ここは娯楽施設の一つ。
レンガ造りのちょっぴりおしゃれな外観、その実態は帝都でも見かけないショーウィンドウを採用した最新鋭のお店です。
ガラスも騎士様の手作りで神薙さんの一撃でも割れないって噂。
アー君、自分の領地だから堂々とやりたい放題してる。
選んだスイーツは持ち帰って食べてよし、店先にある椅子に座って食べてもよしということです。
黄金の牛が人化したと思ったら、早速いくつか購入してもぐもぐしている。視察はいいのだろうか。
「クレープ、パンケーキ、ロールケーキ、タルト、クッキー詰め合わせ……種類が多い」
「俺の知り合いが冒険者を引退して、珈琲専門店に弟子入りしたんですよ。それが羨ましくて菓子の研究してたらアルジュナ様からお声がかかりまして、こうして自分の店を持てました」
どうやら農村地帯で働く農民と運営資金は他国から提供させたけど、農民の方の生活を支える施設の責任者は刀国民に声をかけて集めたようです。
まぁ確かに、自分のやり方わかっている相手の方が使いやすいよね。
「これでも最初は異国の菓子を研究していたのですが、砂糖使い過ぎだったり、そもそも砂糖が高級品扱いで手に入らないとか色々ありまして」
「ああ、テンプレ」
異世界あるある。
調味料は高級品。
それに対し、刀国では調味料は一般流通していて価格もお手頃。
一応高級店で売っている調味料もあるけれど、あのお店はクロードさんが他国から来ている商人や貴族からお金をむしり取るために作ったお店で、中身自体はその辺の商店でも売ってるらしい。
悪魔かな?
「どんなに発展していると言われている国でも結局刀国ほどじゃなかったです。もう菓子を研究するのは他国じゃ無理だなって諦めて刀国に戻ったら、異国どころか異世界料理の本が普通に店頭に並んでいて……」
スイーツ店の店主が遠い目をしてお空を見ている。
ごめんなさい、その本を出したのは僕と僕の知り合いです。
「他国の商人もレシピ本を買って大儲けを狙ったのが幾人かいたらしいですが、そもそも本に載っている必要食材が刀国基準でしたからねぇ。王侯貴族ならギリ再現できるかどうかって内容でした」
うん、僕が出した時も刀国内で手に入る食材に置き換えてレシピ作ってもらったなぁ、ドリちゃんに。
その他の国じゃ再現難しいかもしれない、そもそも食べるのに精一杯なお国も多いしね。
黄金の牛が食べ終わった所で次に移動。
おじいちゃんが家の前で日向ぼっこしていたので、黄金の牛が話しかけたら斬りかかられた。
謎能力で強化されたダンジョンの巡回ボスだからかすり傷さえ負わなかったけど、びっくりした。
元剣聖で村の護衛として雇われたと土下座しながら語られました。腹掻っ捌かないでいいので顔上げてくれると嬉しいです。
他にもブルーベリー一点集中な人や、陶器研究に没頭する人など、中々濃い人材が揃いつつあるようです。
涼玉が定期的に来るから不作知らずだしね、作物関連の研究もし放題。
三食昼寝付き。
農具等の必需品は無償修理、母国では手に入らないようなスイーツ店で好きなものを購入して食べれるし、食堂では刀国でも人気の高い食事が無料。
この村に出仕している人達、母国に戻れるのだろうか。
食事を提供する食堂や宿のような生活拠点と違い、ここは娯楽施設の一つ。
レンガ造りのちょっぴりおしゃれな外観、その実態は帝都でも見かけないショーウィンドウを採用した最新鋭のお店です。
ガラスも騎士様の手作りで神薙さんの一撃でも割れないって噂。
アー君、自分の領地だから堂々とやりたい放題してる。
選んだスイーツは持ち帰って食べてよし、店先にある椅子に座って食べてもよしということです。
黄金の牛が人化したと思ったら、早速いくつか購入してもぐもぐしている。視察はいいのだろうか。
「クレープ、パンケーキ、ロールケーキ、タルト、クッキー詰め合わせ……種類が多い」
「俺の知り合いが冒険者を引退して、珈琲専門店に弟子入りしたんですよ。それが羨ましくて菓子の研究してたらアルジュナ様からお声がかかりまして、こうして自分の店を持てました」
どうやら農村地帯で働く農民と運営資金は他国から提供させたけど、農民の方の生活を支える施設の責任者は刀国民に声をかけて集めたようです。
まぁ確かに、自分のやり方わかっている相手の方が使いやすいよね。
「これでも最初は異国の菓子を研究していたのですが、砂糖使い過ぎだったり、そもそも砂糖が高級品扱いで手に入らないとか色々ありまして」
「ああ、テンプレ」
異世界あるある。
調味料は高級品。
それに対し、刀国では調味料は一般流通していて価格もお手頃。
一応高級店で売っている調味料もあるけれど、あのお店はクロードさんが他国から来ている商人や貴族からお金をむしり取るために作ったお店で、中身自体はその辺の商店でも売ってるらしい。
悪魔かな?
「どんなに発展していると言われている国でも結局刀国ほどじゃなかったです。もう菓子を研究するのは他国じゃ無理だなって諦めて刀国に戻ったら、異国どころか異世界料理の本が普通に店頭に並んでいて……」
スイーツ店の店主が遠い目をしてお空を見ている。
ごめんなさい、その本を出したのは僕と僕の知り合いです。
「他国の商人もレシピ本を買って大儲けを狙ったのが幾人かいたらしいですが、そもそも本に載っている必要食材が刀国基準でしたからねぇ。王侯貴族ならギリ再現できるかどうかって内容でした」
うん、僕が出した時も刀国内で手に入る食材に置き換えてレシピ作ってもらったなぁ、ドリちゃんに。
その他の国じゃ再現難しいかもしれない、そもそも食べるのに精一杯なお国も多いしね。
黄金の牛が食べ終わった所で次に移動。
おじいちゃんが家の前で日向ぼっこしていたので、黄金の牛が話しかけたら斬りかかられた。
謎能力で強化されたダンジョンの巡回ボスだからかすり傷さえ負わなかったけど、びっくりした。
元剣聖で村の護衛として雇われたと土下座しながら語られました。腹掻っ捌かないでいいので顔上げてくれると嬉しいです。
他にもブルーベリー一点集中な人や、陶器研究に没頭する人など、中々濃い人材が揃いつつあるようです。
涼玉が定期的に来るから不作知らずだしね、作物関連の研究もし放題。
三食昼寝付き。
農具等の必需品は無償修理、母国では手に入らないようなスイーツ店で好きなものを購入して食べれるし、食堂では刀国でも人気の高い食事が無料。
この村に出仕している人達、母国に戻れるのだろうか。
30
お気に入りに追加
149
あなたにおすすめの小説

うるせぇ!僕はスライム牧場を作るんで邪魔すんな!!
かかし
BL
強い召喚士であることが求められる国、ディスコミニア。
その国のとある侯爵の次男として生まれたミルコは他に類を見ない優れた素質は持っていたものの、どうしようもない事情により落ちこぼれや恥だと思われる存在に。
両親や兄弟の愛情を三歳の頃に失い、やがて十歳になって三ヶ月経ったある日。
自分の誕生日はスルーして兄弟の誕生を幸せそうに祝う姿に、心の中にあった僅かな期待がぽっきりと折れてしまう。
自分の価値を再認識したミルコは、悲しい決意を胸に抱く。
相棒のスライムと共に、名も存在も家族も捨てて生きていこうと…
のんびり新連載。
気まぐれ更新です。
BがLするまでかなり時間が掛かる予定ですので注意!
人外CPにはなりません
ストックなくなるまでは07:10に公開
3/10 コピペミスで1話飛ばしていたことが判明しました!申し訳ございません!!

転生したら魔王の息子だった。しかも出来損ないの方の…
月乃
BL
あぁ、やっとあの地獄から抜け出せた…
転生したと気づいてそう思った。
今世は周りの人も優しく友達もできた。
それもこれも弟があの日動いてくれたからだ。
前世と違ってとても優しく、俺のことを大切にしてくれる弟。
前世と違って…?いいや、前世はひとりぼっちだった。仲良くなれたと思ったらいつの間にかいなくなってしまった。俺に近づいたら消える、そんな噂がたって近づいてくる人は誰もいなかった。
しかも、両親は高校生の頃に亡くなっていた。
俺はこの幸せをなくならせたくない。
そう思っていた…
国を救った英雄と一つ屋根の下とか聞いてない!
古森きり
BL
第8回BL小説大賞、奨励賞ありがとうございます!
7/15よりレンタル切り替えとなります。
紙書籍版もよろしくお願いします!
妾の子であり、『Ω型』として生まれてきて風当たりが強く、居心地の悪い思いをして生きてきた第五王子のシオン。
成人年齢である十八歳の誕生日に王位継承権を破棄して、王都で念願の冒険者酒場宿を開店させた!
これからはお城に呼び出されていびられる事もない、幸せな生活が待っている……はずだった。
「なんで国の英雄と一緒に酒場宿をやらなきゃいけないの!」
「それはもちろん『Ω型』のシオン様お一人で生活出来るはずもない、と国王陛下よりお世話を仰せつかったからです」
「んもおおおっ!」
どうなる、俺の一人暮らし!
いや、従業員もいるから元々一人暮らしじゃないけど!
※読み直しナッシング書き溜め。
※飛び飛びで書いてるから矛盾点とか出ても見逃して欲しい。

兄たちが弟を可愛がりすぎです
クロユキ
BL
俺が風邪で寝ていた目が覚めたら異世界!?
メイド、王子って、俺も王子!?
おっと、俺の自己紹介忘れてた!俺の、名前は坂田春人高校二年、別世界にウィル王子の身体に入っていたんだ!兄王子に振り回されて、俺大丈夫か?!
涙脆く可愛い系に弱い春人の兄王子達に振り回され護衛騎士に迫って慌てていっもハラハラドキドキたまにはバカな事を言ったりとしている主人公春人の話を楽しんでくれたら嬉しいです。
1日の話しが長い物語です。
誤字脱字には気をつけてはいますが、余り気にしないよ~と言う方がいましたら嬉しいです。
市川先生の大人の補習授業
夢咲まゆ
BL
笹野夏樹は運動全般が大嫌い。ついでに、体育教師の市川慶喜のことも嫌いだった。
ある日、体育の成績がふるわないからと、市川に放課後の補習に出るよう言われてしまう。
「苦手なことから逃げるな」と挑発された夏樹は、嫌いな教師のマンツーマンレッスンを受ける羽目になるのだが……。
◎美麗表紙イラスト:ずーちゃ(@zuchaBC)
※「*」がついている回は性描写が含まれております。

異世界転生してハーレム作れる能力を手に入れたのに男しかいない世界だった
藤いろ
BL
好きなキャラが男の娘でショック死した主人公。転生の時に貰った能力は皆が自分を愛し何でも言う事を喜んで聞く「ハーレム」。しかし転生した異世界は男しかいない世界だった。
毎週水曜に更新予定です。
宜しければご感想など頂けたら参考にも励みにもなりますのでよろしくお願いいたします。

囚われた元王は逃げ出せない
スノウ
BL
異世界からひょっこり召喚されてまさか国王!?でも人柄が良く周りに助けられながら10年もの間、国王に準じていた
そうあの日までは
忠誠を誓ったはずの仲間に王位を剥奪され次々と手篭めに
なんで俺にこんな事を
「国王でないならもう俺のものだ」
「僕をあなたの側にずっといさせて」
「君のいない人生は生きられない」
「私の国の王妃にならないか」
いやいや、みんな何いってんの?

せっかく美少年に転生したのに女神の祝福がおかしい
拓海のり
BL
前世の記憶を取り戻した途端、海に放り込まれたレニー。【腐女神の祝福】は気になるけれど、裕福な商人の三男に転生したので、まったり気ままに異世界の醍醐味を満喫したいです。神様は出て来ません。ご都合主義、ゆるふわ設定。
途中までしか書いていないので、一話のみ三万字位の短編になります。
他サイトにも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる