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第二章 聖杯にまつわるお話
第235話
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女神の妄想による大規模スタンピード。
甚大な被害を被った国があれば、神の気まぐれで被害を最小限に留めた国もあった。
砂漠に出現した数多の魔物は神の前にひれ伏し、恭順の意を示すことで生き延び、帝国では人間と共存する魔物がその力をもって人間を守り切った。
その裏には邪神一家の活躍があったことを知る者は意外と少ない。
「カイのとこ行ったけど、カイが殲滅してて出番なかった」
「残念」
涼玉の踊りでたわわに実ったリンゴを食べながら、金ちゃんがブツブツと文句を言っている。
迫力満点で怖かったようで、次の場所には行かずに尻尾を巻いて逃げてきたそうです。
「戦う騎士団もカイが強化して人間辞めてた! 怖い! 俺吹っ飛ばされそうになった!」
「怖カッタ」
うんうんと頷く銀ちゃんは涼玉に焼いてもらったリンゴを食べている。
焼いて甘みが強くなったリンゴの方が好みらしい。
ならばとリンゴシャーベットを出したら、食べさせてと銀ちゃんが口を開けて思わず悶えました。
「母上」
「セティ! 終わったの? 怪我はない?」
「……」
やってきたセティが難しい顔で眉間を揉んでいる。
涼玉の踊りを見学している間に一体何があったのだろうか。
「防衛は問題ない、城壁に木の根が張り巡らされて強化されたからな。あの木の根は炎でも燃やせず、通常の武器では傷をつけることさえ敵わないだろう」
「わーすごーい! 涼玉の作戦大成功だね!」
『涼ちゃんすごーい!』
「どやぁぁ!!」
「ただ」
キャッキャと喜ぶ僕らの声をセティがぶった切った。
「魔物が城壁に突撃する前に侵攻が止まった」
『これにて一件落着』
「被害がなくて何よりだろ」
「まさか、こうなるのが分かってやったのか?」
『そうよ』
「予想以上に結果が出るの早かったけどな!」
ぐらっとセティの上半身が揺れて倒れかけたけど、辛うじて堪えたようだ。
なぜか心身に多大なダメージ受けてるね、大丈夫?
「声は聞こえているか」
『こえ?』
「かあちゃ何か聞こえる?」
「んー?」
なんだろう、風に揺れる葉の音以外だよね?
ぉーん……
風に運ばれて小さく小さく何かの声が耳に届いた。
「今、何か聞こえた気がする」
『わおーん?』
「じーちゃーーん! 声届けてぇー」
涼玉が虚空に向かってお願いを叫んだ瞬間、滅茶苦茶よく聞こえるようになった。
珱さんが孫に激甘。
「魔物の鳴き声、かな?」
『お歌歌ってるよ』
「かあちゃ無双!! 俺の作戦勝ち!!」
涼玉が天高く両手を突き出して勝利のガッツポーズをすると、とうとうセティが地面に崩れ落ちた。
「国を揺るがすスタンピードがこんな形で解決、だと……?」
「涼玉凄い、凄い、カッコイイ!!」
『今日のMVPよ!』
「ガハハハッ!!」
こうして砂漠のスタンピードは平和に終息しました。
魔物の合唱団も誕生して、僕はとても満足です!
甚大な被害を被った国があれば、神の気まぐれで被害を最小限に留めた国もあった。
砂漠に出現した数多の魔物は神の前にひれ伏し、恭順の意を示すことで生き延び、帝国では人間と共存する魔物がその力をもって人間を守り切った。
その裏には邪神一家の活躍があったことを知る者は意外と少ない。
「カイのとこ行ったけど、カイが殲滅してて出番なかった」
「残念」
涼玉の踊りでたわわに実ったリンゴを食べながら、金ちゃんがブツブツと文句を言っている。
迫力満点で怖かったようで、次の場所には行かずに尻尾を巻いて逃げてきたそうです。
「戦う騎士団もカイが強化して人間辞めてた! 怖い! 俺吹っ飛ばされそうになった!」
「怖カッタ」
うんうんと頷く銀ちゃんは涼玉に焼いてもらったリンゴを食べている。
焼いて甘みが強くなったリンゴの方が好みらしい。
ならばとリンゴシャーベットを出したら、食べさせてと銀ちゃんが口を開けて思わず悶えました。
「母上」
「セティ! 終わったの? 怪我はない?」
「……」
やってきたセティが難しい顔で眉間を揉んでいる。
涼玉の踊りを見学している間に一体何があったのだろうか。
「防衛は問題ない、城壁に木の根が張り巡らされて強化されたからな。あの木の根は炎でも燃やせず、通常の武器では傷をつけることさえ敵わないだろう」
「わーすごーい! 涼玉の作戦大成功だね!」
『涼ちゃんすごーい!』
「どやぁぁ!!」
「ただ」
キャッキャと喜ぶ僕らの声をセティがぶった切った。
「魔物が城壁に突撃する前に侵攻が止まった」
『これにて一件落着』
「被害がなくて何よりだろ」
「まさか、こうなるのが分かってやったのか?」
『そうよ』
「予想以上に結果が出るの早かったけどな!」
ぐらっとセティの上半身が揺れて倒れかけたけど、辛うじて堪えたようだ。
なぜか心身に多大なダメージ受けてるね、大丈夫?
「声は聞こえているか」
『こえ?』
「かあちゃ何か聞こえる?」
「んー?」
なんだろう、風に揺れる葉の音以外だよね?
ぉーん……
風に運ばれて小さく小さく何かの声が耳に届いた。
「今、何か聞こえた気がする」
『わおーん?』
「じーちゃーーん! 声届けてぇー」
涼玉が虚空に向かってお願いを叫んだ瞬間、滅茶苦茶よく聞こえるようになった。
珱さんが孫に激甘。
「魔物の鳴き声、かな?」
『お歌歌ってるよ』
「かあちゃ無双!! 俺の作戦勝ち!!」
涼玉が天高く両手を突き出して勝利のガッツポーズをすると、とうとうセティが地面に崩れ落ちた。
「国を揺るがすスタンピードがこんな形で解決、だと……?」
「涼玉凄い、凄い、カッコイイ!!」
『今日のMVPよ!』
「ガハハハッ!!」
こうして砂漠のスタンピードは平和に終息しました。
魔物の合唱団も誕生して、僕はとても満足です!
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