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第二章 聖杯にまつわるお話
第231話
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子供達に人気のイグちゃん。
蛇頭に人間の身体、14本の腕を持つ邪神。
下半身は闇を通して夢の世界に置いてあり、うっかり現世に出すと瘴気が溢れ出して大変なことになる。
以前イグちゃんが腰から下を闇から出した時は、溢れた瘴気が風に飛ばされ、近くにいた魔物が狂暴化したっけなぁ。
「俺の逆が生まれるとは、ほらほら泣くな、ミルクだぞー」
「神と邪神、混ぜるな危険」
僕のが辛うじて抱えられる大きなカゴの中を覗きながら、イグちゃんがミルクの入った瓶を振り、アー君と騎士様が頭痛をこらえている。
カゴの中には三つの頭を持つ蛇と、上半身が人間で腰から下が蛇の赤ん坊、右半身が蛇の鱗に覆われた赤ん坊が入っています。
この子達はアペプとセティの子供です、生まれるの早いねー。
まぁセバツーを押し倒したあの子ももうお腹の中にいないけどね、あの後起きたらもう生まれていてセバツーを追いかけて行って一騒動起こしたらしい。
今はヘラ母さんの下で花嫁修業中、逃げ切ったと思ったら自宅に先回りされていたセバツーの心境を思うと笑える。
妊娠期間から解放され、子守もなかったのでさっそくセティに呼び出されて砂漠に来ています。
「三つ首のこいつ、蛇なのに食事がミルク、人型の二人が肉食って普通は逆な気がする」
しかも三つ同時に飲ませないとぴーぴー鳴くため、食事を食べさせることが出来るのが今のところイグちゃんしかいないという現状。
仕事はあるらしいけれど、それは余った腕で片手間にやってるみたい、器用だよね。
「あーうー」
「いぐー」
「もう喋ってる。さすが俺の……甥っ子?」
『たぶん』
下半身が蛇の子はほぼ生の肉、蛇の鱗を持つ子は中までしっかり火が通ったのがお好みです。
火加減は涼玉がいるからどうにでもなるのがありがたい、
「食事をやるだけで一日終わりそう、腕が沢山あって良かったわ」
「ぴーーー」
「へいへい」
ここはアペプの部屋で簡単な料理が出来るキッチン付き、急な空腹や子供たちの食事に対応できるようにセティが騎士様にお願いして増設したらしいです。
しかも常時魔人が待機していて、このお肉もその魔人さんが焼いたもの。
「砂漠でもお肉って手に入るのかな?」
「ダンジョンがあるからな、セバスチャンが泣く泣く構造を弄って肉のドロップ率を上げたって」
『優秀な執事なの』
「セティの無茶ぶりにも慣れて、魔人と仲良く楽しく働いてるらしーぞ」
セティの前では古代の悪魔も形無しだね、魔人がセティに仕えているのは完全にセバスチャンに巻き込まれただけだけど。
ダンジョンを餌に人間を食べ放題していた悪魔も魔人も、まとめて謎能力の餌食になっているので裏切りの心配がないのは僕としても安心かな。
「ほら鶏肉の炙り焼き~」
「あぅー」
『豚さんの生姜焼きよ』
「あー」
カゴの中で口を開ける赤子に肉を与える幼児、僕は見守っているだけでやることがない。
手伝おうとはしたのだけど、シャムスと涼玉に「そこで見てて」と言われ、お茶を飲みながら見守っているところです。
それにしてもお兄ちゃん風を吹かせて一生懸命ご飯を食べさせる二人が可愛い、うちの子は赤ん坊時代が短いからああやってご飯食べさせる機会って実はあまりないからね。
むしろ弟達に食べさせてもらっている事の方が多い。
「俺らの一族また増えたな!」
「力弱イ」
「アペプの見舞い行ってくる! エヴァから果物預かってるんだ!」
「ラミア俺らも行こう、豆セットでアペプも回復するだろ!」
「はい父様」
シャムスと涼玉を眺めてのほほんとしていたら、邪神兄弟が現れて一気に賑やかになった。
生まれたての三つ子の邪神も嬉しそうにキャーキャー笑っている。
金ちゃんと銀ちゃんはイグちゃんの肩の上から眺め、白ちゃんは現れてすぐ隣の部屋に突撃して行き、ラミアちゃんと肩に乗っていた黒ちゃんもそれに続いた。
「アペプ寝てるー」
「俺も寝るー」
隣の部屋から楽しそうな声が聞こえてくる。
やがてラミアちゃんの子守唄が聞こえてきて、三つ子だけでなくうちの子もすやぁっと寝てしまいました。
「やっと寝た。イツキ休憩しよう」
「うん」
肩をぐるぐる回しながらイグちゃんが大きく息を吐く、僕らが来る前からずっとご飯あげてたもんねぇ。
何か甘いものを出してあげよう。
蛇頭に人間の身体、14本の腕を持つ邪神。
下半身は闇を通して夢の世界に置いてあり、うっかり現世に出すと瘴気が溢れ出して大変なことになる。
以前イグちゃんが腰から下を闇から出した時は、溢れた瘴気が風に飛ばされ、近くにいた魔物が狂暴化したっけなぁ。
「俺の逆が生まれるとは、ほらほら泣くな、ミルクだぞー」
「神と邪神、混ぜるな危険」
僕のが辛うじて抱えられる大きなカゴの中を覗きながら、イグちゃんがミルクの入った瓶を振り、アー君と騎士様が頭痛をこらえている。
カゴの中には三つの頭を持つ蛇と、上半身が人間で腰から下が蛇の赤ん坊、右半身が蛇の鱗に覆われた赤ん坊が入っています。
この子達はアペプとセティの子供です、生まれるの早いねー。
まぁセバツーを押し倒したあの子ももうお腹の中にいないけどね、あの後起きたらもう生まれていてセバツーを追いかけて行って一騒動起こしたらしい。
今はヘラ母さんの下で花嫁修業中、逃げ切ったと思ったら自宅に先回りされていたセバツーの心境を思うと笑える。
妊娠期間から解放され、子守もなかったのでさっそくセティに呼び出されて砂漠に来ています。
「三つ首のこいつ、蛇なのに食事がミルク、人型の二人が肉食って普通は逆な気がする」
しかも三つ同時に飲ませないとぴーぴー鳴くため、食事を食べさせることが出来るのが今のところイグちゃんしかいないという現状。
仕事はあるらしいけれど、それは余った腕で片手間にやってるみたい、器用だよね。
「あーうー」
「いぐー」
「もう喋ってる。さすが俺の……甥っ子?」
『たぶん』
下半身が蛇の子はほぼ生の肉、蛇の鱗を持つ子は中までしっかり火が通ったのがお好みです。
火加減は涼玉がいるからどうにでもなるのがありがたい、
「食事をやるだけで一日終わりそう、腕が沢山あって良かったわ」
「ぴーーー」
「へいへい」
ここはアペプの部屋で簡単な料理が出来るキッチン付き、急な空腹や子供たちの食事に対応できるようにセティが騎士様にお願いして増設したらしいです。
しかも常時魔人が待機していて、このお肉もその魔人さんが焼いたもの。
「砂漠でもお肉って手に入るのかな?」
「ダンジョンがあるからな、セバスチャンが泣く泣く構造を弄って肉のドロップ率を上げたって」
『優秀な執事なの』
「セティの無茶ぶりにも慣れて、魔人と仲良く楽しく働いてるらしーぞ」
セティの前では古代の悪魔も形無しだね、魔人がセティに仕えているのは完全にセバスチャンに巻き込まれただけだけど。
ダンジョンを餌に人間を食べ放題していた悪魔も魔人も、まとめて謎能力の餌食になっているので裏切りの心配がないのは僕としても安心かな。
「ほら鶏肉の炙り焼き~」
「あぅー」
『豚さんの生姜焼きよ』
「あー」
カゴの中で口を開ける赤子に肉を与える幼児、僕は見守っているだけでやることがない。
手伝おうとはしたのだけど、シャムスと涼玉に「そこで見てて」と言われ、お茶を飲みながら見守っているところです。
それにしてもお兄ちゃん風を吹かせて一生懸命ご飯を食べさせる二人が可愛い、うちの子は赤ん坊時代が短いからああやってご飯食べさせる機会って実はあまりないからね。
むしろ弟達に食べさせてもらっている事の方が多い。
「俺らの一族また増えたな!」
「力弱イ」
「アペプの見舞い行ってくる! エヴァから果物預かってるんだ!」
「ラミア俺らも行こう、豆セットでアペプも回復するだろ!」
「はい父様」
シャムスと涼玉を眺めてのほほんとしていたら、邪神兄弟が現れて一気に賑やかになった。
生まれたての三つ子の邪神も嬉しそうにキャーキャー笑っている。
金ちゃんと銀ちゃんはイグちゃんの肩の上から眺め、白ちゃんは現れてすぐ隣の部屋に突撃して行き、ラミアちゃんと肩に乗っていた黒ちゃんもそれに続いた。
「アペプ寝てるー」
「俺も寝るー」
隣の部屋から楽しそうな声が聞こえてくる。
やがてラミアちゃんの子守唄が聞こえてきて、三つ子だけでなくうちの子もすやぁっと寝てしまいました。
「やっと寝た。イツキ休憩しよう」
「うん」
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何か甘いものを出してあげよう。
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