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第二章 聖杯にまつわるお話
第224話
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商談が終わったアカーシャ達が戻ってきて、こちらに来ようとした所を帝国の兵士に妨害されている。
正しくは目をハートにした男たちに囲まれてナンパされてる?
アカーシャを筆頭に美形集団だからなぁ。
敵を前に勇ましい姿を見せた護衛も、純粋な好意は無下にできないのかな。
どっちも頑張れー。
そんな風にのんびりと食事をしながら楽しんでいたら、周囲のトレントが大変なことになっていた。
「かあちゃ、トレントに新しい実がついた」
『ついちゃったー』
「わたしに任せるんよ、イネス!」
「はぁい」
肉に張り付いていたイネスとネヴォラが「新しい実」という単語が聞こえたのが光の速さで現れた。
耳いいなぁ。
「そぉれ!」
「みゃーーん」
ネヴォラがイネスをトレントに向かって思いっきり投げたのだけど……投げずとも、トレントに頭を下げてもらえば良かったんじゃないかな?
まぁ二人が楽しいならいいか。
「ふわふわです、ふわふわ!!」
「イネス帰ってこない」
無事に実に飛びついたイネス、ただし一人で楽しんでいて戻ってくる様子がありません。
小さな実を枝についたままパクパク食べて、感想だけは教えてくれているけどね。
「イーネスーー!!」
「美味しいですよーー!!」
イネス……ネヴォラが望んでいるのは感想じゃないよ。
『イネス、僕らにもわけてぇ』
「もうちょっと食べたら」
「がおー」
「もしかしてあの実、聖属性ついてない?」
イネスが執着するということはその可能性強いと思うんだ。
自宅でも黄金シリーズはなるべく一人で食べようとしているしね、おかげでストックが溜まらないとアー君がぼやいている時があるもの。
「ネヴォラ、ちょっと登って幾つか採取してきてくれない?」
「分かったー。もうイネスはしょーがないなー」
「みゃぁぁん」
上からイネスの幸せそうな鳴き声が聞こえてきた。
きっと近くに行ったら喉がゴロゴロしてるんだろうな、戻ってきて僕の膝で食べてもらいたい。
ネヴォラが風の魔法を使ってイネスがいるのとは別の枝に飛び乗り、身軽さを生かして早速実を採取してくれている。
イネスは枝を抱えるようにして実を食べてます、あれは当分戻らないだろう。
「採ってきた!」
『ありがとー』
「おお、何か甘い匂いするな」
「私にもくれよ」
「ふむ」
ネヴォラがテーブルの上に実を置くと、シャムスと涼玉だけじゃなく、女神様と皇帝まで興味を示して手を伸ばしてきた。
どれどれ僕も一粒。
大きくて2cmぐらいの実はふんわりとしたピンクや白、紫などの淡い色をしていて、指でつまむとふんわりした弾力が指に伝わってきた。
香る匂いも涼玉の言う通り甘くてとても美味しそう。
「……いや、これ、マシュマロじゃないか?」
「本当だ」
どうやら色によって味も違うようで、蒼い色はソーダ味だった。
緑は食べてないけどミントか何かかな?
「私の回遊庭園にマシュマロの木が生えちまったよ」
「子供たちが喜びそうだ」
うむ。と皇帝が頷く背後では、僕らの会話を聞きつけた帝国皇子らがトレントに群がっていた。
登ろうとして失敗し、ずり落ちる皇子に慌てたトレントが枝を下げてくれている。
「んまいなぁ、これ父ちゃんにお土産にしたい!」
「イツキ、ココアくれ。マシュマロ載せて飲む、いやホットワインにするか?」
『ココア!』
「俺も飲む」
「皇帝は?」
「執務があるから――」
「いいじゃねぇか一杯ぐらい、ホットワイン二つな!」
居酒屋のおっさんが一人紛れ込んでいるけど、気にせずにリクエスト通りココアとホットワインを出しました。
皇子はどうするのかな? と思ったら、マシュマロに夢中でこちらに気付いていない、落ち着いたら出してあげればいいか。
正しくは目をハートにした男たちに囲まれてナンパされてる?
アカーシャを筆頭に美形集団だからなぁ。
敵を前に勇ましい姿を見せた護衛も、純粋な好意は無下にできないのかな。
どっちも頑張れー。
そんな風にのんびりと食事をしながら楽しんでいたら、周囲のトレントが大変なことになっていた。
「かあちゃ、トレントに新しい実がついた」
『ついちゃったー』
「わたしに任せるんよ、イネス!」
「はぁい」
肉に張り付いていたイネスとネヴォラが「新しい実」という単語が聞こえたのが光の速さで現れた。
耳いいなぁ。
「そぉれ!」
「みゃーーん」
ネヴォラがイネスをトレントに向かって思いっきり投げたのだけど……投げずとも、トレントに頭を下げてもらえば良かったんじゃないかな?
まぁ二人が楽しいならいいか。
「ふわふわです、ふわふわ!!」
「イネス帰ってこない」
無事に実に飛びついたイネス、ただし一人で楽しんでいて戻ってくる様子がありません。
小さな実を枝についたままパクパク食べて、感想だけは教えてくれているけどね。
「イーネスーー!!」
「美味しいですよーー!!」
イネス……ネヴォラが望んでいるのは感想じゃないよ。
『イネス、僕らにもわけてぇ』
「もうちょっと食べたら」
「がおー」
「もしかしてあの実、聖属性ついてない?」
イネスが執着するということはその可能性強いと思うんだ。
自宅でも黄金シリーズはなるべく一人で食べようとしているしね、おかげでストックが溜まらないとアー君がぼやいている時があるもの。
「ネヴォラ、ちょっと登って幾つか採取してきてくれない?」
「分かったー。もうイネスはしょーがないなー」
「みゃぁぁん」
上からイネスの幸せそうな鳴き声が聞こえてきた。
きっと近くに行ったら喉がゴロゴロしてるんだろうな、戻ってきて僕の膝で食べてもらいたい。
ネヴォラが風の魔法を使ってイネスがいるのとは別の枝に飛び乗り、身軽さを生かして早速実を採取してくれている。
イネスは枝を抱えるようにして実を食べてます、あれは当分戻らないだろう。
「採ってきた!」
『ありがとー』
「おお、何か甘い匂いするな」
「私にもくれよ」
「ふむ」
ネヴォラがテーブルの上に実を置くと、シャムスと涼玉だけじゃなく、女神様と皇帝まで興味を示して手を伸ばしてきた。
どれどれ僕も一粒。
大きくて2cmぐらいの実はふんわりとしたピンクや白、紫などの淡い色をしていて、指でつまむとふんわりした弾力が指に伝わってきた。
香る匂いも涼玉の言う通り甘くてとても美味しそう。
「……いや、これ、マシュマロじゃないか?」
「本当だ」
どうやら色によって味も違うようで、蒼い色はソーダ味だった。
緑は食べてないけどミントか何かかな?
「私の回遊庭園にマシュマロの木が生えちまったよ」
「子供たちが喜びそうだ」
うむ。と皇帝が頷く背後では、僕らの会話を聞きつけた帝国皇子らがトレントに群がっていた。
登ろうとして失敗し、ずり落ちる皇子に慌てたトレントが枝を下げてくれている。
「んまいなぁ、これ父ちゃんにお土産にしたい!」
「イツキ、ココアくれ。マシュマロ載せて飲む、いやホットワインにするか?」
『ココア!』
「俺も飲む」
「皇帝は?」
「執務があるから――」
「いいじゃねぇか一杯ぐらい、ホットワイン二つな!」
居酒屋のおっさんが一人紛れ込んでいるけど、気にせずにリクエスト通りココアとホットワインを出しました。
皇子はどうするのかな? と思ったら、マシュマロに夢中でこちらに気付いていない、落ち着いたら出してあげればいいか。
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