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第二章 聖杯にまつわるお話

第217話

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 帝国の流通に新たな香辛料と梅が登場した事で、食事事情は一気に変わった――なんて事は一切なかった。

「なんでだろう?」
「女神が料理出来ないから」

 僕の疑問にアー君が即答してくれた。

『美味しい物食べたい時は家に来ればいいと思ってるの』
「最近は皇帝の腕も上がったから来る率下がったけどな!」

 涼玉のこれはフォローになっているのだろうか。

「つまりまぁ、女神の料理への意識が低いだろ」
「うん」
「そして女神は帝国というか異世界の料理は遅れているという思いが強い、ラノベが原因で」
『文化が遅れてないと無双出来ないからねー』
「帝国で美味い物を普通に食うためにはまず女神の意識改革をする必要があるってことだな!」
「なるほど、女神様の妄想が一番の弊害!!」

 それどうにもならないやつ!

「あとこっちに帰ってくれば普通に美味い物を食えるし、帝国でも女神の目が届く範囲なら辛うじて改善の兆しが見られたり衰退したり」
『趣味への情熱が強すぎて他が雑』
「俺らが関わるとちょっとだけ維持できるけど、維持するには人間が努力しないとダメなんだって!」
「でも刀国は順調に発展してるよね?」

 たこ焼きが未知の硬さだったけど、今じゃアー君達のおかげで僕でも食べれるたこ焼きが屋台で売っている。
 硬いままのたこ焼きも根強いファンがいるから残っているけどね。

「この国には神薙様が封じられているからな、下手なものを捧げられて暴走されたら女神の責任だ。そんな事が起こらないようにギレンを通じて地球の知識を持ち込み、国民に美味い物を作らせているんだ」

 女神様も地球に遊びに行っているよね?
 なぜわざわざギレンにやらせているんだろう?
 ……BL関係で脳が埋め尽くされるからとか? いやいやまさか、と否定しようとして否定しきれなかった。

『国全体が封じの要なのよ』
「今はかあちゃも封じの要の一部だけどな!」
「そうなの!?」
「ママと謎能力のお陰で世界を飲み込む最凶の邪神が平和的に封じられてるのは本当」

 この世界だけでなく、外の世界のためにも僕だけは闇落ちしちゃいけないんだって。
 闇落ちか、ちょっとカッコイイな、どうにか一度体験出来ないだろうか。

「ママが闇落ち……まぁ無理か」
『無理よ』
「俺ら全員でちゅっちゅすれば解決」

 言葉に出す前に全否定されました。

「何より闇落ちするにもママは教育に悪いことは見れないし、聞き取れないだろ」
『心に負担かからない仕様よね』
「騎士様ちょう過保護だからな!」

 この過保護スキルは果たして本当に便利なのだろうか。
 だって強制召喚とかされた先で言葉が聞き取れないから事情分からないままなことが多いんだよね、おかげでスルー力だけは一人前です。

「せっかくの異世界だからもうちょっと冒険したい」
「ダンジョンで我慢して、森だと効果が未知数すぎて手に負えない」
『ロデオ』
「じゃあ明日の予定それで」

 今、明日の予定決まったようです。
 アー君が悲鳴上げてるけど森じゃなければいいみたいだし、大丈夫。
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