214 / 926
第二章 聖杯にまつわるお話
第210話
しおりを挟む
あの後、止まらないママさんを止めたのは我が家で一番声の大きいマールスだった。
涼玉に褒められてテレテレしている横で最初に動いたのはアー君、事情を説明するから場所を貸してほしいと申し出たら集会所に案内されました。
「バルデス、よく無事に帰ってきたね」
粗茶ですが。と僕らにお茶を運んでくれたのは、僕から健康と栄養を吸い取って縦に伸ばし、顔色を悪くした感じの人だった。
「とうちゃん、体は大丈夫?」
「この通り元気だよ」
お兄さんのお父様でしたか、なるほど、虚弱だと僕でも分かる。
力こぶを作ったつもりだったんだろうけど、腕を曲げた時点でフラフラしていました。
「うむ、家で寝ていないとダメだろう」
「お客様が来ているのにそれは出来ないよ」
「ちゃんと休まないと夜もたないだろう、手加減はしないぞ!」
「してほしいなぁ」
理由は間違っていたけど、お母さんのせいなのは間違ってなかった。
休ませてあげて、お願いだから。
最近は騎士様ですら休息日入れることを覚えてくれたんですよ、見習おう?
「そう言った話は家でやって、お願いだから!」
「遺伝かよ、こわい」
「え、リーダー静かだと思ったら何があったの?」
「僕とダーリンは別部屋だけど、もしかして二人に食べられちゃった?」
「おいしゅうございました」
今、冒険者のお兄さんたちからいらない情報が入った気がする。
あの、本当にそういうのは家でやろう?
(馬鹿だなぁイツキ、その程度の下ネタはただの日常トークだっての!!)
女神様が突如脳内に語り掛けてきた。
これは神託などでは決してありません、ただの女神様の主張です。
「商人はいるか?」
「すぐに来ると思います、逃げ出した後、この村専属の商人として戻って来た時から人格が変わったようで、ずっと頭に文字の入った布を巻いておりますな!!」
「かあちゃん文字読めるだろ」
「さすがに古代文字は読めん!」
「はわわわわ」
筋肉ママさんが断言した所で変な声が響いた。
声がした方に一斉に視線が向けられ、そこにいたのは頭に鉢巻を巻き、黄金の法被を着ているおじさん。
『噂の商人さんだ』
「にいちゃ、あれ何て書いてあるんだ?」
「あれか、あれは『イネス様命』って書いてあるんだ。魅了が高すぎて人格破壊されてな、あの鉢巻と法被でほんのちょっぴり魅了を抑えてるはず」
「人の役に立ってて偉いですねー」
「ほあぁぁ、イネス様から直接お言葉頂いちゃった!! これが尊死!」
王子バージョンのラーシャとはまた違った気持ち悪さがある。
ちなみに法被の背中にはウィンクしているイネスが刺繍されていました。元スラムのボスお手製らしい。
「これからも村を助けるんですよ、そしたらいつか僕の祝福をあげますからねー」
「ははーー!! 全身全霊で支援させていただきます!!」
五体投地して喜ぶ商人のおじさん、イネスったらいつの間に小悪魔的な技を身に着けたんだろうか。
涼玉に褒められてテレテレしている横で最初に動いたのはアー君、事情を説明するから場所を貸してほしいと申し出たら集会所に案内されました。
「バルデス、よく無事に帰ってきたね」
粗茶ですが。と僕らにお茶を運んでくれたのは、僕から健康と栄養を吸い取って縦に伸ばし、顔色を悪くした感じの人だった。
「とうちゃん、体は大丈夫?」
「この通り元気だよ」
お兄さんのお父様でしたか、なるほど、虚弱だと僕でも分かる。
力こぶを作ったつもりだったんだろうけど、腕を曲げた時点でフラフラしていました。
「うむ、家で寝ていないとダメだろう」
「お客様が来ているのにそれは出来ないよ」
「ちゃんと休まないと夜もたないだろう、手加減はしないぞ!」
「してほしいなぁ」
理由は間違っていたけど、お母さんのせいなのは間違ってなかった。
休ませてあげて、お願いだから。
最近は騎士様ですら休息日入れることを覚えてくれたんですよ、見習おう?
「そう言った話は家でやって、お願いだから!」
「遺伝かよ、こわい」
「え、リーダー静かだと思ったら何があったの?」
「僕とダーリンは別部屋だけど、もしかして二人に食べられちゃった?」
「おいしゅうございました」
今、冒険者のお兄さんたちからいらない情報が入った気がする。
あの、本当にそういうのは家でやろう?
(馬鹿だなぁイツキ、その程度の下ネタはただの日常トークだっての!!)
女神様が突如脳内に語り掛けてきた。
これは神託などでは決してありません、ただの女神様の主張です。
「商人はいるか?」
「すぐに来ると思います、逃げ出した後、この村専属の商人として戻って来た時から人格が変わったようで、ずっと頭に文字の入った布を巻いておりますな!!」
「かあちゃん文字読めるだろ」
「さすがに古代文字は読めん!」
「はわわわわ」
筋肉ママさんが断言した所で変な声が響いた。
声がした方に一斉に視線が向けられ、そこにいたのは頭に鉢巻を巻き、黄金の法被を着ているおじさん。
『噂の商人さんだ』
「にいちゃ、あれ何て書いてあるんだ?」
「あれか、あれは『イネス様命』って書いてあるんだ。魅了が高すぎて人格破壊されてな、あの鉢巻と法被でほんのちょっぴり魅了を抑えてるはず」
「人の役に立ってて偉いですねー」
「ほあぁぁ、イネス様から直接お言葉頂いちゃった!! これが尊死!」
王子バージョンのラーシャとはまた違った気持ち悪さがある。
ちなみに法被の背中にはウィンクしているイネスが刺繍されていました。元スラムのボスお手製らしい。
「これからも村を助けるんですよ、そしたらいつか僕の祝福をあげますからねー」
「ははーー!! 全身全霊で支援させていただきます!!」
五体投地して喜ぶ商人のおじさん、イネスったらいつの間に小悪魔的な技を身に着けたんだろうか。
30
お気に入りに追加
150
あなたにおすすめの小説


【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

飼われる側って案外良いらしい。
なつ
BL
20XX年。人間と人外は共存することとなった。そう、僕は朝のニュースで見て知った。
なんでも、向こうが地球の平和と引き換えに、僕達の中から選んで1匹につき1人、人間を飼うとかいう巫山戯た法を提案したようだけれど。
「まあ何も変わらない、はず…」
ちょっと視界に映る生き物の種類が増えるだけ。そう思ってた。
ほんとに。ほんとうに。
紫ヶ崎 那津(しがさき なつ)(22)
ブラック企業で働く最下層の男。悪くない顔立ちをしているが、不摂生で見る影もない。
変化を嫌い、現状維持を好む。
タルア=ミース(347)
職業不詳の人外、Swis(スウィズ)。お金持ち。
最初は可愛いペットとしか見ていなかったものの…?
【短編】乙女ゲームの攻略対象者に転生した俺の、意外な結末。
桜月夜
BL
前世で妹がハマってた乙女ゲームに転生したイリウスは、自分が前世の記憶を思い出したことを幼馴染みで専属騎士のディールに打ち明けた。そこから、なぜか婚約者に対する恋愛感情の有無を聞かれ……。
思い付いた話を一気に書いたので、不自然な箇所があるかもしれませんが、広い心でお読みください。

皇帝陛下の精子検査
雲丹はち
BL
弱冠25歳にして帝国全土の統一を果たした若き皇帝マクシミリアン。
しかし彼は政務に追われ、いまだ妃すら迎えられていなかった。
このままでは世継ぎが産まれるかどうかも分からない。
焦れた官僚たちに迫られ、マクシミリアンは世にも屈辱的な『検査』を受けさせられることに――!?

主人公のライバルポジにいるようなので、主人公のカッコ可愛さを特等席で愛でたいと思います。
小鷹けい
BL
以前、なろうサイトさまに途中まであげて、結局書きかけのまま放置していたものになります(アカウントごと削除済み)タイトルさえもうろ覚え。
そのうち続きを書くぞ、の意気込みついでに数話分投稿させていただきます。
先輩×後輩
攻略キャラ×当て馬キャラ
総受けではありません。
嫌われ→からの溺愛。こちらも面倒くさい拗らせ攻めです。
ある日、目が覚めたら大好きだったBLゲームの当て馬キャラになっていた。死んだ覚えはないが、そのキャラクターとして生きてきた期間の記憶もある。
だけど、ここでひとつ問題が……。『おれ』の推し、『僕』が今まで嫌がらせし続けてきた、このゲームの主人公キャラなんだよね……。
え、イジめなきゃダメなの??死ぬほど嫌なんだけど。絶対嫌でしょ……。
でも、主人公が攻略キャラとBLしてるところはなんとしても見たい!!ひっそりと。なんなら近くで見たい!!
……って、なったライバルポジとして生きることになった『おれ(僕)』が、主人公と仲良くしつつ、攻略キャラを巻き込んでひっそり推し活する……みたいな話です。
本来なら当て馬キャラとして冷たくあしらわれ、手酷くフラれるはずの『ハルカ先輩』から、バグなのかなんなのか徐々に距離を詰めてこられて戸惑いまくる当て馬の話。
こちらは、ゆるゆる不定期更新になります。
転生したけど赤ちゃんの頃から運命に囲われてて鬱陶しい
翡翠飾
BL
普通に高校生として学校に通っていたはずだが、気が付いたら雨の中道端で動けなくなっていた。寒くて死にかけていたら、通りかかった馬車から降りてきた12歳くらいの美少年に拾われ、何やら大きい屋敷に連れていかれる。
それから温かいご飯食べさせてもらったり、お風呂に入れてもらったり、柔らかいベッドで寝かせてもらったり、撫でてもらったり、ボールとかもらったり、それを投げてもらったり───ん?
「え、俺何か、犬になってない?」
豹獣人の番大好き大公子(12)×ポメラニアン獣人転生者(1)の話。
※どんどん年齢は上がっていきます。
※設定が多く感じたのでオメガバースを無くしました。

【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】
彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』
高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。
その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。
そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる