神様のポイント稼ぎに利用された3

ゆめ

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第二章 聖杯にまつわるお話

第208話

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 鍋ダンジョンのボス部屋で子供達の合体技検証の見学をしていたら冒険者と知り合いになりました。
 リーダーはいまだ一人で戦っております。

「このカードを持って商業ギルドへ行くとよい、村で産業が上手くいった暁には涼玉様への奉納を忘れぬように」
「あ、ああ、ありがとうございます!」

 マールスがマネージャーのような事をやっているのですが。
 しかも商業ギルドと連携済み!?

「奉納は飯でもいいけど、盆踊りでもいいからな!」
『僕らも行くかも』
「豊穣祭りするには楽器が必要ですよね、ギルドの人に太鼓と笛お願いしておきます!」
「梅はお酒も作れるので、梅酒が出来上がったら教会に奉納するといいことありますよ」

 女神様辺りがはしゃぐと思う、愛が振りまかれて村の人口増えるかもしれない。
 とりあえず帰ったらドリちゃんにレシピもらって、アー君を通して渡せばいいかな?

「俺、冒険者辞めて村に帰る」
「じゃあ俺も着いてくよ」
「いっそ皆で行こうぜ、村専属の冒険者もありだろ!」
「リーダー説得しないとな、ちょっと説得大変かもしれないけど」

 そのセリフに仲間たちが「あっ」という表情でリーダーに視線を戻した。
 ゾンビの攻撃を受けて謎のドロドロまみれになってなお、真面目に戦闘しています。

「泣くかな」
「馬鹿を連呼されそうだな」
「拗ねるな、やべー」
「今からでもやる?」

 言いながらも立ち上がらず、シャムスらから貰ったおやつを大事に大事に食べているのですが。
 うん、これはリーダーが拗ねても仕方ない。

「でもさ、確かお前のかあちゃんって筋骨隆々の戦士だったよな?」
「ああ、森に入って魔物討伐しまくってたら飢饉乗り越えてたって」
「親父さんどんな人?」
「凄く細い。吹けば飛びそうで、飢饉前からすぐ死にそうな感じだった」

 何気にいらない情報が耳に入ってきました。
 それ教会で女神様に報告すれば村ごと救われるやつ。

「飢饉とか言っているけど、犠牲者いなかったし、何なら曾祖父の代まで元気なんだっけ?」
「両親どちらの祖父母、曾祖父母、全員ピンピンしてる。趣味は家庭菜園」
「いや、いつも思ってたんだけどさ、飢饉気のせいだったんじゃない?」
「雨は降らず、土地は痩せてたから気のせいではないと思う、ただ弱みに付け込もうとした悪徳商人をボコって財産搾り取ったり、優しくお願いして法外な値段で素材買い取ってもらったとは言ってた」

 冒険者のお母様が最強説。

「最終的にその商人、逃亡してスラムに逃げ込んだけど商業ギルドに捕まって、最低限の衣食住と引き換えにうちの村の専属商人になったって」
「俺、学がなくて良く分からないけど、最終的に商人がなんだか可哀想」
「恨みとか抱かれないのか、それ?」
「でも裁かれて奴隷落ちするよりは優しいのか?」
「そう言えば仕事が終わったら読もうと思ってた手紙があるんだ」
「読んで読んで」
「続報気になる」
『読んでぇ』
「かあちゃ、皆で弁当食べながら話聞こうぜ!」
「はいはい」

 リーダーはいいのだろうかと思いながら、おねだりに応えて持ってきたお弁当を広げると、うちの子と冒険者、両方から嬉しそうな悲鳴が上がった。
 マールスも冒険者分の木のコップを取り出し、果実水と温かいお茶どちらを飲むか聞いている。

「「いただきまーす!!」」
「お前らいい加減にしろよな!!」

 両手を合わせて挨拶をしたところでリーダーから苦情が入った。

『イネス、ぺかぁしてあげて』
「えっちゃん結界解除してー」
「キキ」
「っみゃ!」

 特大エビフライを銜えたイネスが尻尾軽く振ると、部屋が光に満たされてボスが討伐されました。

「は?」
「細かいことは置いといて、リーダーご飯にしよう!」
「悪党商人、イネス様に魅了されて全く別人になってるって」
「え、イネス様ってここでエビフライ食べてるイネス様?」
「今二本目食べてるイネス様?」
「かあちゃに封印されたあの技、そう言えば何人かに直撃してたな」
『世間狭いのね』
「三本目いただきます!」
「イネス、海老天丼あるからこっちも食べてね」

 小さなお口を開けてこちらを向いたので、スプーンですくってあーんしてあげました。

「サクサクの海老が最高です!」

 今食べさせたのは海老天に偽装したイカ天だけど気付いていないね、黙ってよ。

 他にも海老を割いて中に茄子を詰めたものや、海老の尻尾を付けてごまかした筍天ぷらなどもある。
 海老ばっかり食べるイネス対策にドリちゃんが考案しました。
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