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第二章 聖杯にまつわるお話
第190話
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カレーじゃなく揚げ物を流したらどうだろうと第四皇子に相談したら、無言で首を振られた。
だめか。
「流すという前提は忘れましょう?」
「はい」
「大鍋はそっちに、鉄板はあっちだね、持ち込まれた野菜はスライムに渡しな、シャムス準備はいいかい!」
「あーい」
お子様に説教されてる横でヘラ母さんがバリバリ指示を飛ばしている。
僕と女神様は戦力外というほどでもないけど、手伝おうとする意気込みは汲んでもらえたので、エプロンをつけて庭の隅で待機中。
火が危ないとかではない、だってあれ涼玉の火だから。
ただ単にうろちょろすると邪魔だから隅に追いやられているだけ、準備が整って料理を始める段階になったら出番です。お子様と同列の扱いなのはこの際横に置いておく。
炎なら私に任せろと炎帝さんが出てこようとしたけど、火力が強すぎるとヘラ母さんに却下されて落ち込んでいた。
それよりも疲れが取れる温泉を用意しておく方が喜ばれると第四皇子にフォローされ、張り切って回遊式庭園の池を温泉にしてヘラ母さんに雷落とされてました。
今は屋敷の中に作られた大浴場の温度調整中です。
池にいる魚は全滅かと思ったけど、シャムスに応援された効果か、耐熱属性取得したので無事でした。
スタートから混乱したものの、リーダーがヘラ母さんなので料理はドンドン進んでいます。
あと料理の出張サポーターに帝国一の牧場にのし上がった牛魔王牧場の人たちも来てました。やたらでっかい人がいるなーと思ったら、人化した牛魔王その人だった。
進化を重ねて腕も四本、コロッケを作るスピードが神がかってますね。
本日のメニューはカレーと揚げ物。
カレーは白飯、パン、ナンのどれかで食べてもらう予定だけど、パンは城の調理場で作っている真っ最中、きっと今頃戦場だと思う。
ヘラ母さんのGOサインが出たので子供達と一緒に料理に取り掛かります。
僕らが作るのはサンドイッチ。
ナンはゴブリン部隊が前日から仕込んだ物を伸ばしては焼きの無限ループ、群れならではの鮮やかな連携プレーを見せています。
白飯はドリちゃんが大量に用意してくれたものがあるので、ドリアンに預かってもらっている。
女神様は無の表情でカレーをかき混ぜてます、イグちゃんもいつの間にか参加して一度に五つの鍋をかき混ぜている。
女神様拘りの回遊式庭園が大規模料理会場になっている。
まぁこういう使い方もあるってことで。
「揚げ物全部使うのですか?」
「カレーに添え物として食べたがる人もいるだろうから、半々ぐらいかな。串焼きの肉を使ってキャベツと一緒に挟んでも美味しいよ」
「はい」
「カツはからしを塗っても美味しいけど、子供にはちょっと辛いからね、別にして分かるようにしておこうね」
第四皇子の婚約者の子は肉を中心にパンに挟んでいる。
可愛らしい顔をしても男の子、好きな食べ物は肉だそうです。
「たくさん作ったはずだけどまだ作るのかな?」
「まだ足りないと思うぞ、相手は腹を空かした大人の団体だからな、一人で軽く俺らの十倍は食べる」
「……た、足りない」
「おう。さらに邪神様もいるからな、足りないとうっかり呪われる」
「ひぇ」
お手伝いしてくれている少年の会話を否定しきれない。
白ちゃんとか黒ちゃんはお嫁さんが人間だからまだ人間に優しいけれど、金ちゃんが意外と気軽に呪う、銀ちゃんも金ちゃんを不愉快にさせたとすぐ怒るから呪い効果も倍です。
解呪方法は聖水に飛び込めばいい、けれどここに聖水はないなぁ。
……いや、もしかしたら池が聖水になっているかもしれない。
ひぃひぃ言いながら料理を作り、お昼前には完成。
「イツキ、そろそろ腹空かした連中がやってくるから避難した方がいい、イツキは子供らと建物内で食べな」
「はぁい」
『あーい』
ヘロヘロになりながら子供達と建物内に移動、畳が敷かれた部屋に案内されてきゃぁきゃぁと騒ぎながら子供達が畳の上に倒れると、サーっとスライムが現れて一人一人に全身マッサージを施してくれた。
もちろん僕とシャムスもやってもらいました。あー、これ、寝れるー。
静かだなーと思ったら一人残らずぐっすりですよ。
うん、僕も寝よう。
僕らの分は取り分けてあるし、安心して寝れ、る……。ぐー。
だめか。
「流すという前提は忘れましょう?」
「はい」
「大鍋はそっちに、鉄板はあっちだね、持ち込まれた野菜はスライムに渡しな、シャムス準備はいいかい!」
「あーい」
お子様に説教されてる横でヘラ母さんがバリバリ指示を飛ばしている。
僕と女神様は戦力外というほどでもないけど、手伝おうとする意気込みは汲んでもらえたので、エプロンをつけて庭の隅で待機中。
火が危ないとかではない、だってあれ涼玉の火だから。
ただ単にうろちょろすると邪魔だから隅に追いやられているだけ、準備が整って料理を始める段階になったら出番です。お子様と同列の扱いなのはこの際横に置いておく。
炎なら私に任せろと炎帝さんが出てこようとしたけど、火力が強すぎるとヘラ母さんに却下されて落ち込んでいた。
それよりも疲れが取れる温泉を用意しておく方が喜ばれると第四皇子にフォローされ、張り切って回遊式庭園の池を温泉にしてヘラ母さんに雷落とされてました。
今は屋敷の中に作られた大浴場の温度調整中です。
池にいる魚は全滅かと思ったけど、シャムスに応援された効果か、耐熱属性取得したので無事でした。
スタートから混乱したものの、リーダーがヘラ母さんなので料理はドンドン進んでいます。
あと料理の出張サポーターに帝国一の牧場にのし上がった牛魔王牧場の人たちも来てました。やたらでっかい人がいるなーと思ったら、人化した牛魔王その人だった。
進化を重ねて腕も四本、コロッケを作るスピードが神がかってますね。
本日のメニューはカレーと揚げ物。
カレーは白飯、パン、ナンのどれかで食べてもらう予定だけど、パンは城の調理場で作っている真っ最中、きっと今頃戦場だと思う。
ヘラ母さんのGOサインが出たので子供達と一緒に料理に取り掛かります。
僕らが作るのはサンドイッチ。
ナンはゴブリン部隊が前日から仕込んだ物を伸ばしては焼きの無限ループ、群れならではの鮮やかな連携プレーを見せています。
白飯はドリちゃんが大量に用意してくれたものがあるので、ドリアンに預かってもらっている。
女神様は無の表情でカレーをかき混ぜてます、イグちゃんもいつの間にか参加して一度に五つの鍋をかき混ぜている。
女神様拘りの回遊式庭園が大規模料理会場になっている。
まぁこういう使い方もあるってことで。
「揚げ物全部使うのですか?」
「カレーに添え物として食べたがる人もいるだろうから、半々ぐらいかな。串焼きの肉を使ってキャベツと一緒に挟んでも美味しいよ」
「はい」
「カツはからしを塗っても美味しいけど、子供にはちょっと辛いからね、別にして分かるようにしておこうね」
第四皇子の婚約者の子は肉を中心にパンに挟んでいる。
可愛らしい顔をしても男の子、好きな食べ物は肉だそうです。
「たくさん作ったはずだけどまだ作るのかな?」
「まだ足りないと思うぞ、相手は腹を空かした大人の団体だからな、一人で軽く俺らの十倍は食べる」
「……た、足りない」
「おう。さらに邪神様もいるからな、足りないとうっかり呪われる」
「ひぇ」
お手伝いしてくれている少年の会話を否定しきれない。
白ちゃんとか黒ちゃんはお嫁さんが人間だからまだ人間に優しいけれど、金ちゃんが意外と気軽に呪う、銀ちゃんも金ちゃんを不愉快にさせたとすぐ怒るから呪い効果も倍です。
解呪方法は聖水に飛び込めばいい、けれどここに聖水はないなぁ。
……いや、もしかしたら池が聖水になっているかもしれない。
ひぃひぃ言いながら料理を作り、お昼前には完成。
「イツキ、そろそろ腹空かした連中がやってくるから避難した方がいい、イツキは子供らと建物内で食べな」
「はぁい」
『あーい』
ヘロヘロになりながら子供達と建物内に移動、畳が敷かれた部屋に案内されてきゃぁきゃぁと騒ぎながら子供達が畳の上に倒れると、サーっとスライムが現れて一人一人に全身マッサージを施してくれた。
もちろん僕とシャムスもやってもらいました。あー、これ、寝れるー。
静かだなーと思ったら一人残らずぐっすりですよ。
うん、僕も寝よう。
僕らの分は取り分けてあるし、安心して寝れ、る……。ぐー。
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