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第二章 聖杯にまつわるお話
第153話
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縦横無尽に走り、岩の狼を翻弄するロデオ君。
その背中に乗る涼玉がはしゃいでいるので、森の実りが大変なことになっている。
「いたっ」
「いて、なにこれっ刺さった」
「待って、これ栗じゃん」
「こっちリンゴ、いってぇぇぇ」
「いたいいたいいたい、ケガで動けないから逃げられない」
「これが、噂の、涼玉様、こうかっ、いたっ」
怪我で動けない人多数、そして容赦なく頭上から落ちてくる季節感を無視した大量の果実や野菜。
なかなか酷いことになっております。
「ごぼうが顔すれすれに刺さったんだけど!?」
「将軍、ごぼうは土野菜じゃなかったんですかぁぁ」
「まぁそういうこともある」
「土からボコッじゃなく空から降ってくる場合は何野菜になりますか!」
「きゃー、石が落ちてきたーー、ってこれ里芋かよ!」
バトルも迫力あるけれど、それ以上に野菜の雨の被害が酷い。
「僕らには降ってこないね」
「えっちゃんが結界張ってくれてる」
「えっちゃんありがとー」
涼玉がイヤッハーと叫ぶたびに木々から落ちてくる重量級の野菜は、裏庭菜園顔負けの立派な大きさです。
振り落とされない涼玉を褒め称えればいいのか、野菜に埋もれつつある冒険者と騎士さん達を助ければいいのかちょっと迷いますね。
「おれ、やさいにころされる」
「もうすききらいしないからたすけて」
「二度とにんじんのこしません」
「料理長、すまない、料理を残した罰が当たったぜ」
なんか可哀想になってきた。
でもなぁあのテンションの涼玉って止められたっけ?
「アー君、涼玉止めて」
「無理かな!」
即答だった。
「マールス生きてる?」
「っは、申し訳なく」
「マールスが涼玉に置いていかれるなんて珍しいね」
「あの牛が意外と速くて、追いつけませんでした」
「涼玉用にあれこれ能力後付けされたからなー」
ロデオ中に近寄るとマールスでも容赦なく弾き飛ばそうとするので、離れた所で見守っていたのが今回仇となってしまったらしい。
大変だなぁとしみじみ思っていたら、何やら刀雲が落ちてきた野菜を一つ手に取り、小型のナイフで皮を剥いたと思ったら、アイテムボックスから出したお味噌をつけて騎士様に食べさせていた。
「新鮮な小かぶだね」
「持ち帰って漬物にでもするか」
「漬物くっさ」
「将軍! 野菜が漬物状になって落ちてくるようになりました!」
「……すまん」
人参は生のままだよなぁと思いながら拾い、刀雲に剥いてもらったら中身がピクルス漬けの味だった。
不思議ですね。
「ママ、一つ気付いたことがある」
騎士様の頭をテーブル代わりに、バリバリと胡瓜の浅漬けを食べながらアー君がこちらを見た。
「空から落ちてくる野菜、あの牛が暮らしている村で育ててる野菜だわ!」
「仕組みが謎だねー」
前に涼玉のロデオで作物が収穫された状態で積みあがったのが微妙なトラウマになり、被害を減らそうと協議した結果、根野菜ならあんな愉快なことにならないだろうと期待を込めて育て始めたらしい。
村人の期待を裏切るかのように空から降ってきてます。
しかも味付けが済んだ状態で。
涼玉の能力も謎能力に負けず劣らず愉快だよね。
その背中に乗る涼玉がはしゃいでいるので、森の実りが大変なことになっている。
「いたっ」
「いて、なにこれっ刺さった」
「待って、これ栗じゃん」
「こっちリンゴ、いってぇぇぇ」
「いたいいたいいたい、ケガで動けないから逃げられない」
「これが、噂の、涼玉様、こうかっ、いたっ」
怪我で動けない人多数、そして容赦なく頭上から落ちてくる季節感を無視した大量の果実や野菜。
なかなか酷いことになっております。
「ごぼうが顔すれすれに刺さったんだけど!?」
「将軍、ごぼうは土野菜じゃなかったんですかぁぁ」
「まぁそういうこともある」
「土からボコッじゃなく空から降ってくる場合は何野菜になりますか!」
「きゃー、石が落ちてきたーー、ってこれ里芋かよ!」
バトルも迫力あるけれど、それ以上に野菜の雨の被害が酷い。
「僕らには降ってこないね」
「えっちゃんが結界張ってくれてる」
「えっちゃんありがとー」
涼玉がイヤッハーと叫ぶたびに木々から落ちてくる重量級の野菜は、裏庭菜園顔負けの立派な大きさです。
振り落とされない涼玉を褒め称えればいいのか、野菜に埋もれつつある冒険者と騎士さん達を助ければいいのかちょっと迷いますね。
「おれ、やさいにころされる」
「もうすききらいしないからたすけて」
「二度とにんじんのこしません」
「料理長、すまない、料理を残した罰が当たったぜ」
なんか可哀想になってきた。
でもなぁあのテンションの涼玉って止められたっけ?
「アー君、涼玉止めて」
「無理かな!」
即答だった。
「マールス生きてる?」
「っは、申し訳なく」
「マールスが涼玉に置いていかれるなんて珍しいね」
「あの牛が意外と速くて、追いつけませんでした」
「涼玉用にあれこれ能力後付けされたからなー」
ロデオ中に近寄るとマールスでも容赦なく弾き飛ばそうとするので、離れた所で見守っていたのが今回仇となってしまったらしい。
大変だなぁとしみじみ思っていたら、何やら刀雲が落ちてきた野菜を一つ手に取り、小型のナイフで皮を剥いたと思ったら、アイテムボックスから出したお味噌をつけて騎士様に食べさせていた。
「新鮮な小かぶだね」
「持ち帰って漬物にでもするか」
「漬物くっさ」
「将軍! 野菜が漬物状になって落ちてくるようになりました!」
「……すまん」
人参は生のままだよなぁと思いながら拾い、刀雲に剥いてもらったら中身がピクルス漬けの味だった。
不思議ですね。
「ママ、一つ気付いたことがある」
騎士様の頭をテーブル代わりに、バリバリと胡瓜の浅漬けを食べながらアー君がこちらを見た。
「空から落ちてくる野菜、あの牛が暮らしている村で育ててる野菜だわ!」
「仕組みが謎だねー」
前に涼玉のロデオで作物が収穫された状態で積みあがったのが微妙なトラウマになり、被害を減らそうと協議した結果、根野菜ならあんな愉快なことにならないだろうと期待を込めて育て始めたらしい。
村人の期待を裏切るかのように空から降ってきてます。
しかも味付けが済んだ状態で。
涼玉の能力も謎能力に負けず劣らず愉快だよね。
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