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第二章 聖杯にまつわるお話

第145話

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 アー君の授業に参加した数日後、約束通り授業を受けている姿を見る日がやってまいりました!
 でもなぜか郊外、初級ダンジョン前。

「僕騙されてない?」
「ないない、これも授業の一環」

 アー君に苦情を述べている横では先生による本日の授業内容のおさらい。

「こちらの初級ダンジョンは皆さんも知っての通り、冒険者の生存率を上げるために作られた施設です。では出現モンスターの種類は?」
「はい! ネヴォラ!」
「あの子はモンスターではなく、巡回ボスですね。ボコボコにされるので、二度とその呼び方をしてはいけませんよ」
「はぁい」

 先生遅い、その会話は教室で終わらせておかないと……入口でネヴォラがシャドーボクシングしてます。
 しかも相手は生徒より年下だから、どこかのショタ守護神の助けは得られないですよ。

「僕、ダンジョンに初めて来たけど屋台多いね」
「数年前はただの草原だったらしいな」
「出羽亀トレント増えてない?」
「麦羊の群れがこっちを見てて怖い」
「あれ新作串焼きじゃない?」
「先生、串焼き買ってきてもいいですか?」
「授業が終わってからにしなさい」

 慣れた様子で好き勝手いう生徒をあしらう先生、やっぱりアー君の担任の先生やっているだけあってスルー力がやたらと高い。
 こっそりと列から離れ、屋台に足を向けようとした生徒を触手で捕獲し、列に戻しているのは先日の授業で使い魔になったスライム、上空から烏が生徒の行動を監視しスライムに伝えているようだ。連携が素晴らしい。

「今日の授業内容は――」
「ひゅー美人さんじゃーん」
「ガキなんて放っておいて俺らと遊ぼうぜ」
「遊びません、子供達に悪影響なので離れてください」
「は~い」

 ナンパな冒険者は凄い素直だった。
 えっ、そこはスライムや烏が先生を助けて無双する所じゃないの?

「はい、という訳でこちらの軽い感じの二人が本日の護衛です」
「護衛かよ!」

 ツッコミを入れたのはアー君を含む生徒全員だった。

「こう見えてCランクな斥候ピョートル・ユーギン、彼氏募集中です!」
「目指せBランク、Cランクから抜け出せないモナステリオ、この依頼に失敗したらランク落ちします」
「せんせー、本当に大丈夫なんですかー?」
「大丈夫なんですか?」

 不安そうな瞳がアー君に集中する。
 頭が痛そうに眉間を揉みながら、盛大な溜息をついています。

「ランク落ち目前の理由は初級ダンジョンクリア出来ないからだな、異常な確率でネヴォラに襲撃されるんだよその二人、でも斥候の腕は確かだ」
「仕事斡旋ありがとうございます!!」
「あの……すでにネヴォラが入口にいる俺はどうしたら」

 しかもゴブリンから借りたのか、こん棒を振り回して殺る気満々ですよ。

「確かにあれじゃ授業にならないか、ママちょっとネヴォラと遊んでて」
「分かった」
「ネヴォラ」
「イツキも一緒にナンパ野郎を退治すんの?」
『人妻好きだから注意よ』
「Eランクまで落としてやるぜ」

 ネヴォラに声をかけるために近寄ったら、ネヴォラの後ろに我が家の幼児が勢ぞろいしてました。
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