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第二章 聖杯にまつわるお話
第139話
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アー君が書類を前に頭を抱え、撃沈している。
つついてみたけれど反応がない、どうやら屍のようだ。
「シャムス、甘いもの作ろうか」
「けぇき」
「ホールとタルトどっちがいいですか」
「りょーほ」
僕とシャムスのやり取りに日向でゴロゴロしていたイネスと涼玉が飛び起き、一緒にお昼寝をしていた俺様邪神をたたき起こしている。
「ケーキと言えば果物!」
「採取クエだ! 採取クエ!」
「ね、ねむい」
「マールス、アペプ持って!」
「はい」
俺様邪神の背中をベッドにしていた金ちゃん、銀ちゃんも巻き添えを食って一緒に連れていかれた。
「イツキいるー? って、うわぁアルジュナ様が死んでる」
しかも指でテーブルに「かろうし」ってダイイングメッセージが追加されてるね、しかも平仮名で。
よく見たら薄目を開いてチラチラこちらを見ていますね、やだ可愛い。
「お仕事お疲れ様」
頭をなでなでしながら声をかけたら、口元がにんまりと動きかけてぐっと力が入った。
どうやら死んだふりは続けていたいらしい、でもねアー君、ケーキのデコレーションして遊ぶから実はアー君が邪魔なんだ。起きよう。
「アルジュナ様、こちらでお休みください」
「おのれぇぇ」
涼玉最優先のマールスがアー君を持ち上げ、クッションコーナーへと移動させた。
ふかふかのクッションに埋もれながら恨み言を言っているけれど、全てクッションに吸い込まれてるね。
「ままぁ~」
甘える声が聞こえてきたのでシャムスと一緒に移動、クッションのそばに正座をするともぞもぞと体勢を変えて膝に頭を乗せた。
「アー君、いい子、いい子、おつかれぇ」
「シャムス、優しいっ!」
その頭をシャムスが手を伸ばしてなでなで、あー眼福だわぁ。
僕がほわほわした事でアー君の精神力が順調に回復、イネス達が果物を持ってくる頃にはケーキ作りに参加出来るぐらい元気になっていた。
そして現在、ケーキをデコレーションしながら激務内容を愚痴ってくれた。
「ギルドとかそういった仕事関連なら親衛隊が手伝ってくれるけど、これはダメなんだ。ママ関連の報告書作りだから」
過労死しかけてたの僕のせいだった。
正しくは僕を召喚した人たちのせいか。
「騎士様にお願いしたら?」
「ちょっと前に俺ら中級ダンジョンのタイムアタックに挑戦して、ドロップ品の鑑定とまとめに忙殺されてる」
「ソロとチームの両方でやったからドロップ品いっぱいです!」
「普段の倍以上だったよな」
『騎士様のおめめ死んでました』
それでここ連日帰宅してなかったのか、下手に睡眠も食事も必要ないと悲惨ですね。
「じゃあ騎士様用に一個作って差し入れにしようか」
『あい』
「シャムスの作ったケーキは俺が食いたい!」
『あぷぷはまた今度、騎士様にあげるの』
「っく、可愛い」
俺様邪神、シャムスに名前を呼ばれるだけでも幸せみたいです、例え間違った呼び名でも。
「この生クリームに顔を突っ込みたい」
「コロサレル」
金ちゃんはクリームたっぷりロールケーキを眺めながらほぅっと溜息をつき、銀ちゃんは命が危ないから絶対にダメだと止めている。
「はぁ~、この黒幕が見えない感じが凄い嫌、夢の世界みたいにぎゅっと集められたら楽なのに」
「ママを執拗に狙っているのが許せないです! けっちょんけっちょんにしてやりたいです!」
「普通にかあちゃじゃなかったら詰んでるよな、どっちも無傷で生還しているのがすげぇ」
『お土産付きなの』
「おかわり」
会話しながら作っていたから注意力が散漫だったとしか言えない。
響いた恐怖の一言に恐る恐るそちらを見れば口元を拭う神薙さん、作ったはずのケーキはどこにもなく、残っているのはデコレーション中の手元にあるケーキだけ。
食べ、られた?
当然、騎士様への差し入れ分も邪神様の胃に消えたようです。
つついてみたけれど反応がない、どうやら屍のようだ。
「シャムス、甘いもの作ろうか」
「けぇき」
「ホールとタルトどっちがいいですか」
「りょーほ」
僕とシャムスのやり取りに日向でゴロゴロしていたイネスと涼玉が飛び起き、一緒にお昼寝をしていた俺様邪神をたたき起こしている。
「ケーキと言えば果物!」
「採取クエだ! 採取クエ!」
「ね、ねむい」
「マールス、アペプ持って!」
「はい」
俺様邪神の背中をベッドにしていた金ちゃん、銀ちゃんも巻き添えを食って一緒に連れていかれた。
「イツキいるー? って、うわぁアルジュナ様が死んでる」
しかも指でテーブルに「かろうし」ってダイイングメッセージが追加されてるね、しかも平仮名で。
よく見たら薄目を開いてチラチラこちらを見ていますね、やだ可愛い。
「お仕事お疲れ様」
頭をなでなでしながら声をかけたら、口元がにんまりと動きかけてぐっと力が入った。
どうやら死んだふりは続けていたいらしい、でもねアー君、ケーキのデコレーションして遊ぶから実はアー君が邪魔なんだ。起きよう。
「アルジュナ様、こちらでお休みください」
「おのれぇぇ」
涼玉最優先のマールスがアー君を持ち上げ、クッションコーナーへと移動させた。
ふかふかのクッションに埋もれながら恨み言を言っているけれど、全てクッションに吸い込まれてるね。
「ままぁ~」
甘える声が聞こえてきたのでシャムスと一緒に移動、クッションのそばに正座をするともぞもぞと体勢を変えて膝に頭を乗せた。
「アー君、いい子、いい子、おつかれぇ」
「シャムス、優しいっ!」
その頭をシャムスが手を伸ばしてなでなで、あー眼福だわぁ。
僕がほわほわした事でアー君の精神力が順調に回復、イネス達が果物を持ってくる頃にはケーキ作りに参加出来るぐらい元気になっていた。
そして現在、ケーキをデコレーションしながら激務内容を愚痴ってくれた。
「ギルドとかそういった仕事関連なら親衛隊が手伝ってくれるけど、これはダメなんだ。ママ関連の報告書作りだから」
過労死しかけてたの僕のせいだった。
正しくは僕を召喚した人たちのせいか。
「騎士様にお願いしたら?」
「ちょっと前に俺ら中級ダンジョンのタイムアタックに挑戦して、ドロップ品の鑑定とまとめに忙殺されてる」
「ソロとチームの両方でやったからドロップ品いっぱいです!」
「普段の倍以上だったよな」
『騎士様のおめめ死んでました』
それでここ連日帰宅してなかったのか、下手に睡眠も食事も必要ないと悲惨ですね。
「じゃあ騎士様用に一個作って差し入れにしようか」
『あい』
「シャムスの作ったケーキは俺が食いたい!」
『あぷぷはまた今度、騎士様にあげるの』
「っく、可愛い」
俺様邪神、シャムスに名前を呼ばれるだけでも幸せみたいです、例え間違った呼び名でも。
「この生クリームに顔を突っ込みたい」
「コロサレル」
金ちゃんはクリームたっぷりロールケーキを眺めながらほぅっと溜息をつき、銀ちゃんは命が危ないから絶対にダメだと止めている。
「はぁ~、この黒幕が見えない感じが凄い嫌、夢の世界みたいにぎゅっと集められたら楽なのに」
「ママを執拗に狙っているのが許せないです! けっちょんけっちょんにしてやりたいです!」
「普通にかあちゃじゃなかったら詰んでるよな、どっちも無傷で生還しているのがすげぇ」
『お土産付きなの』
「おかわり」
会話しながら作っていたから注意力が散漫だったとしか言えない。
響いた恐怖の一言に恐る恐るそちらを見れば口元を拭う神薙さん、作ったはずのケーキはどこにもなく、残っているのはデコレーション中の手元にあるケーキだけ。
食べ、られた?
当然、騎士様への差し入れ分も邪神様の胃に消えたようです。
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