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第二章 聖杯にまつわるお話

第136話

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 きゅっとするのは誰がやるかという話になりました。

「誰かやってみたい人いる?」
「アー君やってください」
「朱でもいけるんじゃないか?」
「探知得意だけど雑だからなぁ」

 アー君が兄弟に聞くとイネスが役目を譲ろうとし、朱は自分の雑さを暴露した。

「えっちゃん手伝ってくれるか?」
「ッキ!」
「アー君がキュッとしたら私とシャムスでぺかぁします!」
『綺麗になった所をこねこねぇ』
「シャムス兄、大活躍だな!」

 幾つか打ち合わせをしたアー君が地面に座って胡坐をかき、静かに目を閉じた。
 うわぁ可愛い、じゃない、真剣なアー君もカッコイイ!!

「あ、いい感じ。イネスぷにってやって」
「ママぷにー」
「きゃー肉球が冷たい!」
「俺の鱗も冷たいぞ!」
「ひんやりして気持ちがいい!!」
『僕も、ママちゅー』
「お鼻が冷たいよぉシャムス!」

 キャッキャウフフしていたらアー君が何やらパワーアップした感じで光を放ち、えっちゃんの闇と融合しながら光を広げていった。
 その間僕はずっとイネスと涼玉、もふもふ兄弟とあははウフフしてました。
 苦しゅうないもっとちこう寄るがいい~~!!

「よし今だ!」
『イネスちゃん!』
「いきますよぉ!」
「「ぺかぁぁぁ!!」」

 光の最大出力を腕の中でやられたけど、もふもふでウフフ状態になっていた僕によってふわっと強化された謎能力により、誰も目にダメージを受けずに済んだらしい。
 凄いね謎能力、さすがご都合主義が具現化した説をだけはある。

 まぁそんな感じでおいたした精霊は一網打尽にされたうえ、シャムスに捏ねられてスライムになり、スライム系精霊という新しい種族に生まれ変われました。
 しかもそこに僕の力が何か混ざっちゃって、今まで以上にふわっとした存在になりました。
 チートが集まるとこんな事も出来るんだなぁ、いやー凄い。

「よし、これで聖女の力は封じたも同然、だと思うか?」
「聖女に力を貸している精霊が全てここにいればな」
『聖杯回収するの』
「そこのスラ精霊」

 ピッとイネスが指名すると、地面にめり込む勢いで膝をついた。
 あれか、シャムスへの好感度が天元突破したから、その反動で今までの自分の行動を恥じてああなったのかな?
 つまり記憶がリセットされた訳ではなくそのままってことは、拷問とか物騒なことしなくても、普通の質疑応答で欲しい答えた手に入るってことだね!
 やったぜチート最高!

 なんてチートを褒め称えている間に当然、イネス達の質問は終わっておりまして。
 全部聞き逃しました。

「セティ、説明してあげて」
「移動は精霊、力は聖杯頼り」
「簡潔だな、さすがセティだぜ!」
「明日は自称聖女に成り下がった女と取り巻きを捕まえてお仕置きだね」
『朱ちゃんいい笑顔』
『カイちゃんも同じ笑顔です、ぶるぶる』

 僕って今日は朝から晩どころか夢の中までもふもふしてただけだなぁ、それで全てが解決しているのだからうちの子たちって僕より謎能力の使いどころ分かってるよねぇ。
 明日は家から出ないでのんびりしよう。
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