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第二章 聖杯にまつわるお話

第123話

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 消費しきれなかった。
 謎の豊穣ラッシュはしばらく続き、一晩明けた今朝ようやく止まったらしい。

「もうあれだ、お年賀として友達に配ってくる」

 そう言ってアー君は朝から飛び出して行った。

 騎士様は刀雲に連れられてお城に、国王と一緒に新年の挨拶を受けるあれに強制参加。
 アカーシャはモールの初売りセール、カイちゃんは皇后としてハイダル君と挨拶を受けるために帰宅、魔王様もまたしかり、子供達は昨日はしゃぎすぎたのでまだ起きてこず。

 正月の朝なのに身内が忙しくて逆に僕は暇です。
 いつもなら帝国に遊びにいったりするのだけど、皇帝と女神様も挨拶受けてるってことだよね、近寄りたくありません。
 
「そういう訳で俺らが遊びに来るんだなぁ」
「福笑いやろう福笑い」
「俺すごろくゲーム」
「俺昼寝ー!」

 わらわらと座敷に上がって来たのは帝国兄弟、女神様が忙しいのを良いことに離宮を抜け出して遊びに行こうと企んでいたらここに飛ばされたそうです。
 あの人、子守をこっちに丸投げしやがりましたね。

「ドリアン、お正月の遊び道具出してくれる」
「ハイ」

 ドリアンがアイテムボックスを開き、そこから正月に楽しむゲームを取り出すと、ドリちゃんにおやつをねだりに走っていた子たちもこちらに戻ってきた。

「羽根つき、これやりたい、誰か勝負しよーぜ」
「じゃあ俺やるー」
「サイコロだ!」
「チンチロリンやろう、修行だ!」
「百人一首とカルタどっちやる?」
「混ぜて使う」
「難易度だけぇ、やろう」

 キャーキャー遊んでいる間にうちの子も起きてきて、帝国兄弟に気付くとご飯を後回しにして遊び始めた。
 そこに朱とお年賀を持った獣人軍団、魔王様からのお遣い、ゴブリンのお遣いなども現れてあれよあれよという間に遊びに巻き込まれている。

「っく、シャムスが異様にチンチロリン強い」
「えっちゃんがけん玉のプロ」
「イネスの動体視力どうなってんの? 札が一枚も取れないんだけど!」
「朱って全盲だよな? なんで羽根つき優勝できんの!?」
「しかも罰ゲームの墨塗が異様にかっちょええ」

 うちの子vs帝国兄弟、なんかうちの子が圧勝しているようです。
 帝国兄弟はほぼ僕が生んだ子だけど、スペックの違いはなんだろうか。

「ボス助けて! 鮭に尻尾食われたー!」
「クラーケンが、クラーケンが出たぞー!」
「しかも再生速度半端ねー!」

 誰だ本日は暇だって言ったの。
 いつも以上に賑やかなんですけど。

「ママ、お昼はあれ食べたいあれ!」
「豚カツ、ピラフ、スパゲティとかが一皿にのってるあれ!」
「トルコライス?」
「それ!」

 あれ食べたいのかー、えっ、この人数分?
 今何時だっけ?
 お昼に間に合うかな?

 神薙さんいないからスパゲティはメニュー画面で箱買いしよう、えーっと他にはー……ドリちゃん助けて!!
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