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第二章 聖杯にまつわるお話
第118話
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僕は今、アー君が皇帝から押し付けられた広大な農地の中心地にいる。
どうやらここはアー君が拠点にしている屋敷がある土地らしく、降り立った庭だけでも我が家がすっぽり入りそうな巨大な庭園でした。お屋敷見えない。
もちろん移動はえっちゃん! 転移です!
だってこんな広い場所を徒歩で移動したら本日の体力が終わっちゃう。
「そう考えると神薙さんの邸って住みやすいなぁ」
「ママ、果樹園で迷子になるもんな」
『迷子じゃないよ遭難』
「かあちゃが家の中で迷子にならないように、引っ越さないで今の家に住んでるんだって」
そう、刀雲と騎士様のお給料やら身分を考えれば、僕らはお城に住んでもおかしくはない、むしろお城に住むべき人種ばかりなのに、暮らしているのは純和風の武家屋敷。
なぜなら子供達が言うように、洋館で暮らしたら確実に僕が迷子になるから。
部屋から出たら団欒の間に辿り着けないと思う、あと普通に畳が安心する。
「適当に歩いてたけど、ここどこ?」
「憧れの巨大迷路」
本当は我が家でやりたかったけれど、うちの庭には池があるからね。
クラーケンとの戦闘は出来ても迷路は無理かな、普通の池はクラーケン住んでないけど。
やたらに壁が高いと思ったら、獣人であるアー君は将来2m越えの身長になる予定なので、その時に頭が出ないように2m以上の高さに作ってあるらしい。
「迷子防止にトレントも配置してあるから、助けを求めればトレントが回収してくれるよ」
上を見上げたら木の枝がわさわさと揺れた。
トレント、色んな所でバイトしているね。
せめて迷路をクリアしようとして五分ぐらいで諦めた。
「アー君、これ難しいよ」
『難しいー』
「難易度たけぇ」
「トレントに乗って偵察しました。中心に噴水あります!」
「あれトレント用の水飲み場」
巨大迷路を難易度別に作ってもなお余る敷地、立派な城はあるけど利用する機会も全くない、冒険者ギルドとして利用しようと思ったけど、広すぎて移動が面倒と職員と冒険者から苦情がきて断念、でも城は建ててしまったから管理はしないといけない。
「結果、謎能力の影響で自我を持った魔物に管理を任せることになった。もう一種のダンジョンだぞここ」
ダンジョンならばボスが必要だろうと、ボスならぬ管理人に選ばれたのは三年前に運命の出会いを求めて我が家を飛び出し、翌年一文無しになって空腹で倒れた所をゴブリンに保護された勢いで生きている感のある子だった。
生活力が皆無だけど生活力溢れるゴブリンが一緒なら大丈夫だろう、あの子……脳筋なんだよね。
「基本的には俺らの遊び場で、魔物は迷い込んだ人間に荒らされないように守る番人だな。他には洞窟や水中トンネル、カヌーができる川、ロッククライミング用の崖だろ、廃墟になった某遊園地から持ってきた巨大ローラーコースター……」
人間が踏み入らないなら好き勝手しちゃおう精神で、地球の遊び場を再現したんだろうなぁ。
「ついでに滝も作ったから飛び込んで遊べるぞ」
「やったー! にいちゃ大好き!」
『大人の目のない所でやる危険な行為、ワクワクするねー』
『内緒です、ママにも内緒です!』
「あっちにあるのは神薙様の脱皮した皮で作った山、邪神一家以外が入ったらたぶん死ぬ。俺らは大丈夫だとは思うけど気を付けような」
アー君、アー君、待って、ここどれだけ広いの!?
よく聞いたらアー君のお城がある敷地だけで刀国の王都が丸っと入るぐらい広いらしい、そりゃぁお城見えないわけだ!
どうやらここはアー君が拠点にしている屋敷がある土地らしく、降り立った庭だけでも我が家がすっぽり入りそうな巨大な庭園でした。お屋敷見えない。
もちろん移動はえっちゃん! 転移です!
だってこんな広い場所を徒歩で移動したら本日の体力が終わっちゃう。
「そう考えると神薙さんの邸って住みやすいなぁ」
「ママ、果樹園で迷子になるもんな」
『迷子じゃないよ遭難』
「かあちゃが家の中で迷子にならないように、引っ越さないで今の家に住んでるんだって」
そう、刀雲と騎士様のお給料やら身分を考えれば、僕らはお城に住んでもおかしくはない、むしろお城に住むべき人種ばかりなのに、暮らしているのは純和風の武家屋敷。
なぜなら子供達が言うように、洋館で暮らしたら確実に僕が迷子になるから。
部屋から出たら団欒の間に辿り着けないと思う、あと普通に畳が安心する。
「適当に歩いてたけど、ここどこ?」
「憧れの巨大迷路」
本当は我が家でやりたかったけれど、うちの庭には池があるからね。
クラーケンとの戦闘は出来ても迷路は無理かな、普通の池はクラーケン住んでないけど。
やたらに壁が高いと思ったら、獣人であるアー君は将来2m越えの身長になる予定なので、その時に頭が出ないように2m以上の高さに作ってあるらしい。
「迷子防止にトレントも配置してあるから、助けを求めればトレントが回収してくれるよ」
上を見上げたら木の枝がわさわさと揺れた。
トレント、色んな所でバイトしているね。
せめて迷路をクリアしようとして五分ぐらいで諦めた。
「アー君、これ難しいよ」
『難しいー』
「難易度たけぇ」
「トレントに乗って偵察しました。中心に噴水あります!」
「あれトレント用の水飲み場」
巨大迷路を難易度別に作ってもなお余る敷地、立派な城はあるけど利用する機会も全くない、冒険者ギルドとして利用しようと思ったけど、広すぎて移動が面倒と職員と冒険者から苦情がきて断念、でも城は建ててしまったから管理はしないといけない。
「結果、謎能力の影響で自我を持った魔物に管理を任せることになった。もう一種のダンジョンだぞここ」
ダンジョンならばボスが必要だろうと、ボスならぬ管理人に選ばれたのは三年前に運命の出会いを求めて我が家を飛び出し、翌年一文無しになって空腹で倒れた所をゴブリンに保護された勢いで生きている感のある子だった。
生活力が皆無だけど生活力溢れるゴブリンが一緒なら大丈夫だろう、あの子……脳筋なんだよね。
「基本的には俺らの遊び場で、魔物は迷い込んだ人間に荒らされないように守る番人だな。他には洞窟や水中トンネル、カヌーができる川、ロッククライミング用の崖だろ、廃墟になった某遊園地から持ってきた巨大ローラーコースター……」
人間が踏み入らないなら好き勝手しちゃおう精神で、地球の遊び場を再現したんだろうなぁ。
「ついでに滝も作ったから飛び込んで遊べるぞ」
「やったー! にいちゃ大好き!」
『大人の目のない所でやる危険な行為、ワクワクするねー』
『内緒です、ママにも内緒です!』
「あっちにあるのは神薙様の脱皮した皮で作った山、邪神一家以外が入ったらたぶん死ぬ。俺らは大丈夫だとは思うけど気を付けような」
アー君、アー君、待って、ここどれだけ広いの!?
よく聞いたらアー君のお城がある敷地だけで刀国の王都が丸っと入るぐらい広いらしい、そりゃぁお城見えないわけだ!
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