神様のポイント稼ぎに利用された3

ゆめ

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第二章 聖杯にまつわるお話

第114話

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 お昼はとっくに過ぎていた。
 ピザ、皇帝ピザを僕らは食べ損ねた?

「アー君どうしよう」
「お昼は軽めに食べて、夕食をちょっと早めにしてほしいって連絡しておいた。その時にピザを食べよう」
「アー君!!!!」

 おかしい、立場が逆転している気がする。まぁいいか!

「アルジュナ様」
「おう」
「ピザってなんすか」
「……知らないな」
「嘘ですね!」
「俺知ってる、ピザソースも業務用購入して持ち歩いている!」
「っち」
「こう、丸い感じの生地を作って具材をのせた上にチーズをのせて食べる料理だよ」
「パンじゃないのか?」
「パンの上にピザソースかけて焼いて食べると美味いけど、ちょっと違うんだ」

 ただ一人、ピザを知っている冒険者がいて、その人がピザに対する愛を熱く語った結果、冒険者への特別ボーナスにピザが追加されることになった。
 ただ僕らはドリちゃんがいるから美味しいものを作れるだけで、いないと料理レベルはぐっと下がる、即席料理なんてとんでもない、報酬後日にするのもちょっと難しい空気でですね。

『メニュー画面』
「その手がありました! アー君、メニュー画面で人数分のピザ購入するです!」
「よしそれにしよう。ママ、お願い!」

 勢いよくお願いされると同時に脳内に声が届いた。

(一番食べやすいマルゲリータで頼む)
(分かったー)

 ピザは種類が多いからね、アレンジは各々でお願いします。
 メニュー画面を開いて業務用から大量購入、アー君が群がる冒険者に配っていく。

「今渡す理由は?」
「ギルドで渡す手もあるが、それをやると現場が混乱する。あいつら美味いものに目がないから……」
「でもどっちにしろこの人たちが感想言いふらすんじゃない?」

 だってゴブリンに火を借りて焼いて食べ始めている人いるし、中にはイネスに一切れと引き換えに焼いてほしいと交渉する猛者もいる。

「帝国で材料が手に入るかと言えば微妙……」
「うっまぁぁぁ」
「アルジュナ様、これ食堂のメニューに追加を!!」

 後で食べようとしていた人も、周囲の熱気に押されて慌てて焼きに走っている。
 これは帝国の冒険者ギルドにピザブームが来るんじゃない?

「帝国全土に小麦が足りなくてね」
「アルジュナ様、国一つ分土地もらったんでしょ! そこで小麦も作りましょうよ!」
「小麦がないなら作ればいいじゃない、俺らも協力します!」

 冒険者は自分の欲に忠実だった。
 いつもは無理矢理難題を押し付けるアー君にビクビクしているのに、ピザ食べたさに血走った目でアー君に迫っている。

(女神様、お聞きしたいことがあります)
(スパークリングワイン一本でお答えしましょう)

 対価要求された。

(素人でも簡単に作れるピザってないですか?)
(マリナーラがオススメ、チーズがないピザだけど材料がトマト、小麦、オリーブオイル、ニンニクだけ)

 オリーブオイルはレモン国の輸入でどうにかなるとして、やっぱり小麦問題が立ちはだかるよね。
 その辺は皇帝に丸投げでいいんじゃないだろうか、とりあえず家に帰ったらドリちゃんにマリナーラの簡単レシピ作ってもらおう。

 えーっと女神様への奉納品はスパークリングワインだったっけ、お酒の種類よく分からないから女神様のオススメから選べばいいかな。
 うーん、ピカピカ光ってるこれでいいかな? ポチっとな。

 今ごそっとポイントが減ったような気がする。あ、これ一本じゃなくて六本セットだ!!
 キャンセル、キャンセル――出来ない、すでに納品されましたってなに、この表示初めて見たんだけど! 女神様、ちょっと女神様ぁぁぁ!!
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