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第二章 聖杯にまつわるお話
第104話
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まぁそう簡単にネリちゃんが許してくれるわけもなく、かと言ってシャムスを叱るはずもない。
報告という名の呼び出しを受け、翌日シャムスと一緒に再びレモン国にやってきました。
なぜシャムスと一緒かって?
保険です、ネリちゃんはシャムスに甘いから、お叱りの時間を少しでも短くしたい所存。
なんて考えは付き合いの長いネリちゃんにはお見通しでした。
「さぁシャムス様、こちら新作の絵本ですわ。あちらにお席を用意いたしましたので、ゆっくりお読みください」
「あい!」
絵本を餌にシャムスを遠ざけたよこのお人!
しかも子守にグレートピレニーズを雇ったみたいで傍に侍らせた……僕もそっち行きたい。
「さて」
席に戻ってきたネリちゃんの横にいるのは国王である旦那さん、僕も誰か味方が欲しいな。
「件の王子ですが、教会に任せる前に事情を聴きましたら快く全てお話してくださいましたわ」
王族特有のスマイルを浮かべながらあれからの顛末を話してくれた。
僕の提案で片っ端から教会へ身柄を預けることは決定したけれど、その前になぜ突然糾弾を始めたのか事情聴取をしたらしい。
「何か分かった?」
「それが、ですね……裏に何者かが居たのかは確かなのですが、存在が記憶の中から消えておりました」
シャムスのぺかぁの威力がただでさえ強力だったのに、王子はその光を一番近くで受けてしまい、体や精神だけでなく、魂にこびり付いていた穢れさえも綺麗さっぱり吹き飛ばしてしまったらしい。
つまり王子を唆した黒幕は存在が闇そのものだったってこと?
うーん不穏。
ちなみにえっちゃんもイグちゃんも無傷ですよ、夢の世界に退避してた。
「これからは心を入れ替えて、女神に愛を捧げると言っておりましたが――受け取り拒否の神託を受けました」
「無視してください」
子育てで手一杯?
女神様業も立派なお仕事ですよ、それに我が家に来てエステフルコースとジャンクフードと一杯やっていく時間ありますよね?
あるか分からない神子の権限使って押し通しちゃおう。
「それから、私を偽物聖女と呼んでいたことに付いては……神子様、王子の隣に女が一人居たの、知っていましたか?」
「え?」
いたっけ?
全然覚えてない。
「その子は今どこに?」
「王子に目が向いている隙に逃亡していたようですが、シャムス様のお光に焼かれ近くの茂みに倒れていたのを発見いたしました。王子は彼女を聖女とし、この国の王座に座ろうと企んでいたようです。泣いて謝罪されてとてもやりにくかったですわ」
「ネリちゃんは偽物なんかじゃないのにね?」
「王子曰く、聖なる力も聖杯すら持っていない、ゆえに偽物だと」
「聖女の基準なんて国によって違うものだしなぁ、でもネリちゃんはしっかり称号に記載されてるもんね」
「はい」
しかもシャムスと女神様から直接与えられた称号だしなぁ、それを否定するって大丈夫だろうか。
全然大丈夫じゃないな、アウトだからシャムスの光にやられたわけだし。
「ああでも、女神様が自分は血祭りにあげる側だって言ってたかな。教会に入れるには代償が必要かも」
「どんな代償でしょうか」
「剃髪しようか」
仏門の儀式な気がするけどここ異世界だし。
(え、嫌だけど)
(剃髪した人が信者に増えたら妄想の幅が広がると思います)
(OK!)
即答だった。
女神様の返答をネリちゃんに伝えて今日は終了、説教回避です、イェーイ。
報告という名の呼び出しを受け、翌日シャムスと一緒に再びレモン国にやってきました。
なぜシャムスと一緒かって?
保険です、ネリちゃんはシャムスに甘いから、お叱りの時間を少しでも短くしたい所存。
なんて考えは付き合いの長いネリちゃんにはお見通しでした。
「さぁシャムス様、こちら新作の絵本ですわ。あちらにお席を用意いたしましたので、ゆっくりお読みください」
「あい!」
絵本を餌にシャムスを遠ざけたよこのお人!
しかも子守にグレートピレニーズを雇ったみたいで傍に侍らせた……僕もそっち行きたい。
「さて」
席に戻ってきたネリちゃんの横にいるのは国王である旦那さん、僕も誰か味方が欲しいな。
「件の王子ですが、教会に任せる前に事情を聴きましたら快く全てお話してくださいましたわ」
王族特有のスマイルを浮かべながらあれからの顛末を話してくれた。
僕の提案で片っ端から教会へ身柄を預けることは決定したけれど、その前になぜ突然糾弾を始めたのか事情聴取をしたらしい。
「何か分かった?」
「それが、ですね……裏に何者かが居たのかは確かなのですが、存在が記憶の中から消えておりました」
シャムスのぺかぁの威力がただでさえ強力だったのに、王子はその光を一番近くで受けてしまい、体や精神だけでなく、魂にこびり付いていた穢れさえも綺麗さっぱり吹き飛ばしてしまったらしい。
つまり王子を唆した黒幕は存在が闇そのものだったってこと?
うーん不穏。
ちなみにえっちゃんもイグちゃんも無傷ですよ、夢の世界に退避してた。
「これからは心を入れ替えて、女神に愛を捧げると言っておりましたが――受け取り拒否の神託を受けました」
「無視してください」
子育てで手一杯?
女神様業も立派なお仕事ですよ、それに我が家に来てエステフルコースとジャンクフードと一杯やっていく時間ありますよね?
あるか分からない神子の権限使って押し通しちゃおう。
「それから、私を偽物聖女と呼んでいたことに付いては……神子様、王子の隣に女が一人居たの、知っていましたか?」
「え?」
いたっけ?
全然覚えてない。
「その子は今どこに?」
「王子に目が向いている隙に逃亡していたようですが、シャムス様のお光に焼かれ近くの茂みに倒れていたのを発見いたしました。王子は彼女を聖女とし、この国の王座に座ろうと企んでいたようです。泣いて謝罪されてとてもやりにくかったですわ」
「ネリちゃんは偽物なんかじゃないのにね?」
「王子曰く、聖なる力も聖杯すら持っていない、ゆえに偽物だと」
「聖女の基準なんて国によって違うものだしなぁ、でもネリちゃんはしっかり称号に記載されてるもんね」
「はい」
しかもシャムスと女神様から直接与えられた称号だしなぁ、それを否定するって大丈夫だろうか。
全然大丈夫じゃないな、アウトだからシャムスの光にやられたわけだし。
「ああでも、女神様が自分は血祭りにあげる側だって言ってたかな。教会に入れるには代償が必要かも」
「どんな代償でしょうか」
「剃髪しようか」
仏門の儀式な気がするけどここ異世界だし。
(え、嫌だけど)
(剃髪した人が信者に増えたら妄想の幅が広がると思います)
(OK!)
即答だった。
女神様の返答をネリちゃんに伝えて今日は終了、説教回避です、イェーイ。
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