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第二章 聖杯にまつわるお話
第103話
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ぐっだぐだになったガーデンパーティーっぽい何かは解散。
「する訳もなく、この種族が変わってしまった方々、どうしてくださいますの?」
「ネリちゃんの圧が怖い」
王子は体中にワンコの足跡を付けたまま地面に転がされているし、足跡を付けた犯人たちはネリちゃん後ろに整列してこちらを見ている。
犬の本性が耳や尻尾としてちょろっと出た姿じゃない、完全にワンコだ。
きゅんとする。
他の出席者は解散するかと思いきや、お城の人が椅子を持ってきてそれぞれ座り、そちらはイグちゃんが手品を披露しながら場を盛り上げている。
「わぅわぅわぅ!」
「バゥ!」
「そう言えば今日って何をしてたの?」
「訴えはスルーですの? 私の民となった獣人と我が国の貴族の交流立食パーティーですわ」
大臣じゃなかった。
獣人たちがレイアさんに一日限定で人化の術を掛けられたまではいいけれど、正装を持っていなかったので、お城の人たちが気合を入れて着飾ったらお偉いさんみたいな雰囲気になったようです。
獣人って力があると自然と威厳も付いてくるからねー、まぁそこにシャムスのぷんぷんに釣られて獣性が前に出ている所に謎能力が混ざってこうなちゃったと思うんだよね、もうどうにもならなくない?
「番犬として雇用する。とか」
「来賓として呼んだ相手をですか? 神子様、あまりにも非道では?」
我が家で引き取ったとしてもキャンプ場の番犬とか、お城で勤務とかなんかそんな感じの斡旋しか出来ない。
「えっと、お詫びに千年の繁栄を」
「謹んで辞退をさせていただきたく」
土下座する勢いで現国王であるネリちゃんダーリンが拒否した。
「――我が愛しき尊き御方、全てを等しく照らす我らが太陽であるシャムス様に帰命したてまつる」
ネリちゃんが突然その場に跪き、両手を組んで真言っぽい何かを唱え始めたのだけど、どうしたの?
「人知を超えたお力を持ちし神子様に帰依したてまつる。祓え給い、清め給え、神ながら守り給い、幸え給え」
僕もお祈りされた!
え、なんで!?
ごめん、ラノベとか漫画でその知識は知ってるけど、意味は、知らない!
むしろネリちゃんが知っていることが不思議、でもないか、女神様の神託も受けているみたいだし。
(女神様、かくかくしかじかな状況なのですがどうしたらいいですかー?)
(祈りはあってんのに相手が幼児とイツキだから通じてない悲劇、まぁあれだよ、あれ)
僕はそのあれの部分が知りたいのです。
(心から信じ敬うとかそんな感じの意味があったような気がするんだよな、むしろなんで日本人なのに知らないんだよ)
(ただのモフラーである元中学生にどんな知識求めているんですか)
図書館で犬の本を読み漁ったから詳しいけれど、宗教の本は読んでないです。
(ざっくり要約すると、シャムス様の怒り鎮めようとしてるんだろうな)
(ネリちゃんって女神様の巫女でもあるんですよね、願い叶えてあげてください)
(いやそこは母親であるイツキだろ? なんで私!? 無理だから、私は怒りを鎮めるために元凶を血祭りにあげる側だからな!)
そっちはもう超大型犬たちが果たしてくれたからなぁ。
なお、ちょちょいと調べた女神様によると「お祓い下さい、お清め下さい、神様のお力によりお守り下さい、幸せにして下さい」的な意味があるらしい。
僕、神様じゃないからなぁ。
一応シャムスに言葉の意味を耳打ちしてみた。
『祓って清める……あっ!』
キラキラとシャムスが瞳を輝かせたと思ったら、ちゃきっと両手を上に掲げて万歳の体勢をとった。
「ぺかぁー」
獅皇さんがシャムスとイネスに与えた名前の意味、シャムスは太陽、イネスは月。
イネスの全てを浄化する目に厳しい感じの光、あれで月の光のような柔らかさがあるのだと知った。
シャムスの「ぺかー」は強烈で、太陽のように全てを容赦なく照らし、王子を始めとしたレモン国にいる悪いものの魂を焼き尽くした。
結果、王子バージョンのラーシャのような王子や人々が増殖、気持ち悪いので教会を紹介して女神様に対処を丸投げさせてもらいました。
ワンコになった獣人さんはどうなったかって?
シャムスの神光によって最高級ビロードのような輝く毛並みになってました。
祓って清めて、神様の力で防御力アップからの祝福を与えられたことになるし、ネリちゃんの願いは叶えたことになるのではないでしょうか!
「する訳もなく、この種族が変わってしまった方々、どうしてくださいますの?」
「ネリちゃんの圧が怖い」
王子は体中にワンコの足跡を付けたまま地面に転がされているし、足跡を付けた犯人たちはネリちゃん後ろに整列してこちらを見ている。
犬の本性が耳や尻尾としてちょろっと出た姿じゃない、完全にワンコだ。
きゅんとする。
他の出席者は解散するかと思いきや、お城の人が椅子を持ってきてそれぞれ座り、そちらはイグちゃんが手品を披露しながら場を盛り上げている。
「わぅわぅわぅ!」
「バゥ!」
「そう言えば今日って何をしてたの?」
「訴えはスルーですの? 私の民となった獣人と我が国の貴族の交流立食パーティーですわ」
大臣じゃなかった。
獣人たちがレイアさんに一日限定で人化の術を掛けられたまではいいけれど、正装を持っていなかったので、お城の人たちが気合を入れて着飾ったらお偉いさんみたいな雰囲気になったようです。
獣人って力があると自然と威厳も付いてくるからねー、まぁそこにシャムスのぷんぷんに釣られて獣性が前に出ている所に謎能力が混ざってこうなちゃったと思うんだよね、もうどうにもならなくない?
「番犬として雇用する。とか」
「来賓として呼んだ相手をですか? 神子様、あまりにも非道では?」
我が家で引き取ったとしてもキャンプ場の番犬とか、お城で勤務とかなんかそんな感じの斡旋しか出来ない。
「えっと、お詫びに千年の繁栄を」
「謹んで辞退をさせていただきたく」
土下座する勢いで現国王であるネリちゃんダーリンが拒否した。
「――我が愛しき尊き御方、全てを等しく照らす我らが太陽であるシャムス様に帰命したてまつる」
ネリちゃんが突然その場に跪き、両手を組んで真言っぽい何かを唱え始めたのだけど、どうしたの?
「人知を超えたお力を持ちし神子様に帰依したてまつる。祓え給い、清め給え、神ながら守り給い、幸え給え」
僕もお祈りされた!
え、なんで!?
ごめん、ラノベとか漫画でその知識は知ってるけど、意味は、知らない!
むしろネリちゃんが知っていることが不思議、でもないか、女神様の神託も受けているみたいだし。
(女神様、かくかくしかじかな状況なのですがどうしたらいいですかー?)
(祈りはあってんのに相手が幼児とイツキだから通じてない悲劇、まぁあれだよ、あれ)
僕はそのあれの部分が知りたいのです。
(心から信じ敬うとかそんな感じの意味があったような気がするんだよな、むしろなんで日本人なのに知らないんだよ)
(ただのモフラーである元中学生にどんな知識求めているんですか)
図書館で犬の本を読み漁ったから詳しいけれど、宗教の本は読んでないです。
(ざっくり要約すると、シャムス様の怒り鎮めようとしてるんだろうな)
(ネリちゃんって女神様の巫女でもあるんですよね、願い叶えてあげてください)
(いやそこは母親であるイツキだろ? なんで私!? 無理だから、私は怒りを鎮めるために元凶を血祭りにあげる側だからな!)
そっちはもう超大型犬たちが果たしてくれたからなぁ。
なお、ちょちょいと調べた女神様によると「お祓い下さい、お清め下さい、神様のお力によりお守り下さい、幸せにして下さい」的な意味があるらしい。
僕、神様じゃないからなぁ。
一応シャムスに言葉の意味を耳打ちしてみた。
『祓って清める……あっ!』
キラキラとシャムスが瞳を輝かせたと思ったら、ちゃきっと両手を上に掲げて万歳の体勢をとった。
「ぺかぁー」
獅皇さんがシャムスとイネスに与えた名前の意味、シャムスは太陽、イネスは月。
イネスの全てを浄化する目に厳しい感じの光、あれで月の光のような柔らかさがあるのだと知った。
シャムスの「ぺかー」は強烈で、太陽のように全てを容赦なく照らし、王子を始めとしたレモン国にいる悪いものの魂を焼き尽くした。
結果、王子バージョンのラーシャのような王子や人々が増殖、気持ち悪いので教会を紹介して女神様に対処を丸投げさせてもらいました。
ワンコになった獣人さんはどうなったかって?
シャムスの神光によって最高級ビロードのような輝く毛並みになってました。
祓って清めて、神様の力で防御力アップからの祝福を与えられたことになるし、ネリちゃんの願いは叶えたことになるのではないでしょうか!
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