神様のポイント稼ぎに利用された3

ゆめ

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第一章 紡がれる日常

第97話

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 朝起きたら焚火台の前に座る山賊パーティーに一人増えていた。

「あの、拾いすぎ」

 僕は丸太に座り、むすっとしている銀髪イケメンに視線を向けた。
 いくらギルドから人助けしろと言われているからって、頻繁に人間拾いすぎじゃありませんか?

「俺らもそう思います」
「いつもは数か月に一人なのに、神子様に出会ってからすでに二人だもんな」
「神の呪いでもかかってるのかな?」

 三人も驚きすぎて返って冷静になっているようだ。
 お兄さんは六人分の朝食をせっせと作っている、両性のお兄さんはそれを眉をしかめつつ手伝っている。

「じゃあちょっと行ってくる、飯までには戻る」
「はい」

 焙っていた干し肉を飲み込むと三人は早朝の森へと出発していった。

「こんなに朝早く調査ですか?」
「時間によって採れるものが違う場合もあるらしいです、その辺は僕もまだ勉強中なのですけど」

 知識だけは詰め込んだけど、実際に活用するのは大変みたい。

「えっと、この人はどうするんですか?」
「保護したらギルドに申請して、対象者はギルドに身柄を預けられて、保護した人は報奨金と貢献度が貰えます」

 新しい単語が出てきた。
 貢献度ってなんだろう。

「くあぁぁぁ、空中テントから落ちて目が覚めた」
「アー君あのテントで寝たの!? 体は大丈夫!?」
「テントの下にトレントが群れ作ってくれてて受け止めてくれた」

 ありがとうトレント!
 お礼に、ええと、ドリちゃんに肥料作ってもらうから!

「アー君、山賊さんが二人目拾ったみたいだよ」
「あいつらの拾い癖は天性のものだな」

 大あくびをしながら淀みなく答えるアー君、もしや冒険者のプロフィール頭に入ってるんだろうか?

「文字の読み書きは出来るか? 出来なかったらここにいるサポーターに代筆してもらって、別途報酬出すから書類作成頼んでいいか」
「はいお任せください」
「うん」

 焚火の前にある丸太にアー君が腰を下ろすと同時に親衛隊がザーーと現れ、ホットタオルで顔を拭いたり、寝ぐせではねた毛並みを整えたりと生き生きと世話を始めた。
 僕、やる事取られた。

 騎士様でも起こしてこようかな、いや、たまの休日ぐらい寝かせておいてあげよう。
 シャムスも刀雲の胸の上で丸くなってたしなぁ、よし、皆で食べれる朝食でも作ろうかな!

 寸胴鍋の一番大きいのを取り出して地面に置きます、えっちゃんに水を入れてもらい、ドリちゃんから預かっていたカット済みの食材をドバドバと投入、えっちゃんが鍋を焚火にかけてくれたので煮込む間に別途取り出しておいたカゴにパンを入れる。
 なんとこのカット野菜セット、煮込むことでシチューになるんです! ドリちゃんが凄い! ちなみにビーフシチュー味もあるよ!

 こらそこ、アー君の嫌いなものをよけて盛ろうとするんじゃありません!

「アー君、なんか光ってるよ」
「……久々に最初から世話させたから張り切ったんだろうな、どうしよ」

 発光するのはさすが騎士様のご子息だね、あの人もたまに光ってる。
 黒ローブで表情は分からないけど、喜んで世話しているのは雰囲気で分かるようになってきた。

「朝釣りイェェェェイイ!!」
「ヒャッハーです、ヒャッハー!」
「まって……まだ魔力、回復、してないの、ねか、せて……」

 朝からハイテンションのイネスとネヴォラに引きずられ、騎士様が湖に向かっていくのが見えた。

「騎士様、船! 朝から船釣りしよう!」
「はーやーくー!」
「樹助けてぇぇぇ!!」
「イネスー、ネヴォラー、朝ご飯出来てるよー、鮭と白菜のコトコト煮シチュー!」
「きゃーー!」
「エビ、エビは入ってますかーー!」

 急ブレーキをかけこちらに向かってくる二人、騎士様はと言うとも通りがかりのふもふズが背中に乗せてくれたのでテントに戻るのだろう。

「ご飯!」
「ママ早く!」
「はい待ってね」

 まずはこの元気が有り余った二人に朝食を食べさせて、騎士様にドリちゃん特製回復メニューをお届けして、それからシャムスと刀雲を起こしてって感じかな。
 邪神一家はどうするのかな、夜更かししたなら起きるのは昼頃だろうし、とりあえず家族分を作っちゃおう。
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