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第一章 紡がれる日常
第92話
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気絶から復活した山賊三人は再び元気良く森の中に入っていった。
ちなみにお兄さんは採取物の整理整頓のために残り、希少性の高いものを前に余裕がないようだ。
「イツキ、これやる!」
「私はこっち」
ネヴォラはワカメに似たなにか、イネスは魔物の牙っぽいものをプレゼントしてくれた。
視界の隅でお兄さんがぎょっとして動きを止め、会話に入っていいものか悩んで挙動不審になっている。
「あの、これ希少品なんですか?」
「そちらの水草は存在自体が幻の薬草の一種です」
「魔物がいる水の中にしか生えない奴だって番人言ってた! いっぱいあるから持ってけーって!」
生える条件が魔物が自生する水中じゃレア度も上がるよね、たまに市場に上がるのは水に流されてたまたま岸に打ち上げられたものっぽい。
ん?
それを考えるともしや我が家の庭の池に群生してるんじゃない?
「私は番人の歯! 痒い痒い言ってたので口の中に入って取ってあげました!」
「イネス危ないよ!!」
「平気です、丸呑みされたら逆走すれば生還できます!」
『イネスちゃん我が家で一番足早いから大丈夫よ』
「はい!」
ワカメもどきはドリちゃんに渡して加工をお願いして、こっちの歯は部屋に飾っておこうかな。
「拾った拾った」
「兄ちゃんポーション出してくれ!」
「報奨金貰ったら花街に繰り出すぜ!」
出掛けたと思った山賊が肩に何かをかついで戻ってきた。
「拾ったのは俺!」
「涼玉様は一緒に流されたでしょ」
「むしろ潰れて溺れかけてましたよね」
「マールスの旦那がいなけりゃ大惨事ですよ」
「ぐぎー!!」
水死体もどきを地面に横たわらせながら山賊と涼玉が言い争っている。とても低次元な気がします。
「涼玉こっちにおいで、乾かさないと」
「おう!」
『えっちゃん、涼ちゃんにミルク出して』
クリーンをかけた涼玉を大判タオルで包むと、マールスがえっちゃんからホットミルクを受け取り、それを涼玉にゆっくり飲ませ始めた。
うちの涼玉はドラゴンだけど寒さに弱くて、水浴び後やお風呂上りは気を付けないといけないんだよね。
涼玉を乾かしながらふと思った。乾燥は普通風の魔法じゃないだろうか、でもその辺を追究するとクリーンの利便性が失われる可能性があるのでスルーします。
僕に唯一使える魔法だからね、都合が良ければ問題ない。
「これ女か?」
「男装した女か?」
「筋肉がある胸なのか、女の胸なのか悩むな」
何をしているのかお兄さんに視線を向けたら、前に助けた相手を男だと思って脱がしたら女性で、後日ヘラ母さんに説教をされたことを説明してくれた。
母さんとも交流あるとか、実はこの人たちの人脈凄いんじゃなかろうか。
「メンバーに女性を入れるとか」
「一度検討したことあるっすけど、花街に行けなくなっちゃう」
「あと冒険者やる女、みんな俺らより強くて怖い」
「どうせ脱がすなら綺麗なお兄さんがいい」
この三人に同行するの大変だろうな、お兄さんお仕事ご苦労様です。
「美味かった! 涼玉、火を焚いてこの……えっと、この人間を温めよう!」
「マールス焚き火台!」
「っは!」
ネヴォラの野生の勘でも性別が分からなかったようだ。
テキパキと焚き火台が設置され、涼玉が火を噴いて炎を点すと周囲に暖かな空気が広がった。
三人は採取に戻るかと思いきや、いそいそとアイテムボックスから食材を取り出して焚き火周りに置き始めた。
仕事は?
ちなみにお兄さんは採取物の整理整頓のために残り、希少性の高いものを前に余裕がないようだ。
「イツキ、これやる!」
「私はこっち」
ネヴォラはワカメに似たなにか、イネスは魔物の牙っぽいものをプレゼントしてくれた。
視界の隅でお兄さんがぎょっとして動きを止め、会話に入っていいものか悩んで挙動不審になっている。
「あの、これ希少品なんですか?」
「そちらの水草は存在自体が幻の薬草の一種です」
「魔物がいる水の中にしか生えない奴だって番人言ってた! いっぱいあるから持ってけーって!」
生える条件が魔物が自生する水中じゃレア度も上がるよね、たまに市場に上がるのは水に流されてたまたま岸に打ち上げられたものっぽい。
ん?
それを考えるともしや我が家の庭の池に群生してるんじゃない?
「私は番人の歯! 痒い痒い言ってたので口の中に入って取ってあげました!」
「イネス危ないよ!!」
「平気です、丸呑みされたら逆走すれば生還できます!」
『イネスちゃん我が家で一番足早いから大丈夫よ』
「はい!」
ワカメもどきはドリちゃんに渡して加工をお願いして、こっちの歯は部屋に飾っておこうかな。
「拾った拾った」
「兄ちゃんポーション出してくれ!」
「報奨金貰ったら花街に繰り出すぜ!」
出掛けたと思った山賊が肩に何かをかついで戻ってきた。
「拾ったのは俺!」
「涼玉様は一緒に流されたでしょ」
「むしろ潰れて溺れかけてましたよね」
「マールスの旦那がいなけりゃ大惨事ですよ」
「ぐぎー!!」
水死体もどきを地面に横たわらせながら山賊と涼玉が言い争っている。とても低次元な気がします。
「涼玉こっちにおいで、乾かさないと」
「おう!」
『えっちゃん、涼ちゃんにミルク出して』
クリーンをかけた涼玉を大判タオルで包むと、マールスがえっちゃんからホットミルクを受け取り、それを涼玉にゆっくり飲ませ始めた。
うちの涼玉はドラゴンだけど寒さに弱くて、水浴び後やお風呂上りは気を付けないといけないんだよね。
涼玉を乾かしながらふと思った。乾燥は普通風の魔法じゃないだろうか、でもその辺を追究するとクリーンの利便性が失われる可能性があるのでスルーします。
僕に唯一使える魔法だからね、都合が良ければ問題ない。
「これ女か?」
「男装した女か?」
「筋肉がある胸なのか、女の胸なのか悩むな」
何をしているのかお兄さんに視線を向けたら、前に助けた相手を男だと思って脱がしたら女性で、後日ヘラ母さんに説教をされたことを説明してくれた。
母さんとも交流あるとか、実はこの人たちの人脈凄いんじゃなかろうか。
「メンバーに女性を入れるとか」
「一度検討したことあるっすけど、花街に行けなくなっちゃう」
「あと冒険者やる女、みんな俺らより強くて怖い」
「どうせ脱がすなら綺麗なお兄さんがいい」
この三人に同行するの大変だろうな、お兄さんお仕事ご苦労様です。
「美味かった! 涼玉、火を焚いてこの……えっと、この人間を温めよう!」
「マールス焚き火台!」
「っは!」
ネヴォラの野生の勘でも性別が分からなかったようだ。
テキパキと焚き火台が設置され、涼玉が火を噴いて炎を点すと周囲に暖かな空気が広がった。
三人は採取に戻るかと思いきや、いそいそとアイテムボックスから食材を取り出して焚き火周りに置き始めた。
仕事は?
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