88 / 809
第一章 紡がれる日常
第85話
しおりを挟む
今頃アー君は学園行事でダンジョンかなぁ。と思いながら僕はシャムスと涼玉、イネスを連れて結界を見に行こうと思っていたけれど、アー君にじっとりとした目で見られたのを思い出したので予定を変更します。
「いい案ある人ー」
「ここでにいちゃの授業見に行ったら怒られる、よな?」
「照れちゃいますね」
『止めておこっか』
でも遊びに行く前提で重箱弁当を作ったのでお出掛けはしたい僕らです。
こういう時、公園とかあったら……あっ、ゴブリン菜園とかどうだろう、キャンプやれる川も子供たちを解き放つ広さも十分にある。
何より邪神一家の縄張りだから危険も最小限。
「ゴブリン菜園はどうかな」
『行くー』
「決まりだな!」
「ネヴォラも誘うです! えっちゃんお願い!」
「キ!」
ノリで菜園に来たらゴブリンとドラゴン以外にスライムや蜂、角ある兎など定番魔物の中でも下級に類する魔物がたくさん働いていた。
え、ここいつからモンスター菜園になったの?
「ぎゃっぎゃっぎゃっ」
「くぇー!」
ゴブリンが汗を拭きながら何かを言うと、葉っぱの虫を取っていた鶏っぽい魔物が言葉を返した。
とてもほのぼのした光景ですね。
僕らの目的はここじゃないよえっちゃん……。
そう思っていたら遠くから砂煙がこちらに一直線に向かって来るのが見えた。
「イネスーーー!!」
「ネヴォラー!」
ガシッと熱烈な再会の抱擁を交わす二人。
そもそもこの菜園はネヴォラの食わず嫌いを無くすために作られた場所、最初は野菜と果物をすり替えようとしたり、自分の好きなものだけ植えようとしていたネヴォラだけど、規模が大きすぎて大変だったので、品種改良をする方向に切り替えたんだよね。
ダークエルフのネヴォラは自然と話すのが得意なようで、品種改良も順調に進み、苦い野菜も甘く改良に成功したのが数年前。
今じゃ近所の魔物も野菜を買いに来るらしく、一番のお得意さんは魔王様のお城の魔物と聞いている。
遊びに行くことをイネスがネヴォラに伝えると、一緒に行くと元気な答えが返ってきた。
通りがかりのゴブリンがそれを聞いて僕にカゴ山盛りの野菜を入れて渡してきたので、お礼を言って受け取ったのだけど、見事にネヴォラの苦手な野菜ばかりがセレクトされておりました。
「やーきにく、やーきにく、お肉食べるぞー!」
「はいです!」
『今日はお弁当なの』
「肉持ってきてないよな」
刀雲と騎士様、どちらも来てないから肉の調達も難しいし、焼く人がマールスしかいないから、やっぱり焼肉は無理かなぁ。
「いい案ある人ー」
「ここでにいちゃの授業見に行ったら怒られる、よな?」
「照れちゃいますね」
『止めておこっか』
でも遊びに行く前提で重箱弁当を作ったのでお出掛けはしたい僕らです。
こういう時、公園とかあったら……あっ、ゴブリン菜園とかどうだろう、キャンプやれる川も子供たちを解き放つ広さも十分にある。
何より邪神一家の縄張りだから危険も最小限。
「ゴブリン菜園はどうかな」
『行くー』
「決まりだな!」
「ネヴォラも誘うです! えっちゃんお願い!」
「キ!」
ノリで菜園に来たらゴブリンとドラゴン以外にスライムや蜂、角ある兎など定番魔物の中でも下級に類する魔物がたくさん働いていた。
え、ここいつからモンスター菜園になったの?
「ぎゃっぎゃっぎゃっ」
「くぇー!」
ゴブリンが汗を拭きながら何かを言うと、葉っぱの虫を取っていた鶏っぽい魔物が言葉を返した。
とてもほのぼのした光景ですね。
僕らの目的はここじゃないよえっちゃん……。
そう思っていたら遠くから砂煙がこちらに一直線に向かって来るのが見えた。
「イネスーーー!!」
「ネヴォラー!」
ガシッと熱烈な再会の抱擁を交わす二人。
そもそもこの菜園はネヴォラの食わず嫌いを無くすために作られた場所、最初は野菜と果物をすり替えようとしたり、自分の好きなものだけ植えようとしていたネヴォラだけど、規模が大きすぎて大変だったので、品種改良をする方向に切り替えたんだよね。
ダークエルフのネヴォラは自然と話すのが得意なようで、品種改良も順調に進み、苦い野菜も甘く改良に成功したのが数年前。
今じゃ近所の魔物も野菜を買いに来るらしく、一番のお得意さんは魔王様のお城の魔物と聞いている。
遊びに行くことをイネスがネヴォラに伝えると、一緒に行くと元気な答えが返ってきた。
通りがかりのゴブリンがそれを聞いて僕にカゴ山盛りの野菜を入れて渡してきたので、お礼を言って受け取ったのだけど、見事にネヴォラの苦手な野菜ばかりがセレクトされておりました。
「やーきにく、やーきにく、お肉食べるぞー!」
「はいです!」
『今日はお弁当なの』
「肉持ってきてないよな」
刀雲と騎士様、どちらも来てないから肉の調達も難しいし、焼く人がマールスしかいないから、やっぱり焼肉は無理かなぁ。
20
お気に入りに追加
141
あなたにおすすめの小説
ちっちゃくなった俺の異世界攻略
鮨海
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた!
精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!
勇者の股間触ったらエライことになった
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
勇者さんが町にやってきた。
町の人は道の両脇で壁を作って、通り過ぎる勇者さんに手を振っていた。
オレは何となく勇者さんの股間を触ってみたんだけど、なんかヤバイことになっちゃったみたい。
美少年に転生したらヤンデレ婚約者が出来ました
SEKISUI
BL
ブラック企業に勤めていたOLが寝てそのまま永眠したら美少年に転生していた
見た目は勝ち組
中身は社畜
斜めな思考の持ち主
なのでもう働くのは嫌なので怠惰に生きようと思う
そんな主人公はやばい公爵令息に目を付けられて翻弄される
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
継母から虐待されて死ぬ兄弟の兄に転生したから継母退治するぜ!
ミクリ21 (新)
BL
継母から虐待されて死ぬ兄弟の兄に転生したダンテ(8)。
弟のセディ(6)と生存のために、正体が悪い魔女の継母退治をする。
後にBLに発展します。
【完結済】(無自覚)妖精に転生した僕は、騎士の溺愛に気づかない。
キノア9g
BL
完結済。騎士エリオット視点を含め全10話(エリオット視点2話と主人公視点8話構成)
エロなし。騎士×妖精
※主人公が傷つけられるシーンがありますので、苦手な方はご注意ください。
気がつくと、僕は見知らぬ不思議な森にいた。
木や草花どれもやけに大きく見えるし、自分の体も妙に華奢だった。
色々疑問に思いながらも、1人は寂しくて人間に会うために森をさまよい歩く。
ようやく出会えた初めての人間に思わず話しかけたものの、言葉は通じず、なぜか捕らえられてしまい、無残な目に遭うことに。
捨てられ、意識が薄れる中、僕を助けてくれたのは、優しい騎士だった。
彼の献身的な看病に心が癒される僕だけれど、彼がどんな思いで僕を守っているのかは、まだ気づかないまま。
少しずつ深まっていくこの絆が、僕にどんな運命をもたらすのか──?
いいねありがとうございます!励みになります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる