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第一章 紡がれる日常

第81話

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 ダンジョン探索しているはずの冒険者がきゃーきゃー言いながらアグニの館へ押し寄せた。

「喧しい! 子供たちが起きたらどうするんだい!」

 遊び倒した後、お昼を食べた子供たちは現在一人残らず夢の中です。
 泣きながら縋り付こうとした冒険者にヘラ母さんが特大の雷を落としたのだけど、その音が一番大きい気がするとか言ってはいけない。

「ワ、ワワワワ、ワイバーンが!!」
「大群がこっちに!」
「ドラゴン便じゃないんですか?」

 僕の疑問に冒険者が一斉に首を横に振る。

「ワイバーンは某女神の影響で食用だから、ドラゴン便に採用されることはない――んですよ!」
「どこの国とは言わないけれど、名物料理に使用されて有名っす!」
「最近は輸出もしてて、刀国でも食えます!」

 頑張って丁寧な言葉を使おうとして舌を噛みそうになっている。お気遣いありがとうございます。
 あとその某国ってドラグーン王国のことですよね。

「俺ら空中戦は無理です!」
「かと言って逃げ出したらアルジュナ様にぶん投げられます!」
「神子様助けて!」
「えっと、アー君は?」
「ダンジョンで食材調達中です」
「このままじゃダンジョン探索中止になって神薙様がお怒りになります!」

 現在は鍋にお湯を入れてスタンバイ中だそうです、アー君がダンジョンに潜っているのは神薙さんを始めとした邪神一家と弟達のためかな。
 どれだけ無双しても足りなそうですね。

「なら神薙さんに駆逐お願いすればいいんじゃ……」
「でもこれから鍋食べるのに」
「お腹空かせた方が美味しく食べれるのに」
「デザートも各自自慢の物を持ち寄ってるのに」

 神薙さんにお願いしないまさかの理由、冒険者の思いやりだった。

「ワイバーン料理は神薙さんも好きですから、食べずに落とすだけだと思いますよ。それか心配ならワイバーン尽くしを作ると僕が言っていたと伝えてください」
「あざっす!」
「神子様サンキューっすーーー!!」

 それだと言わんばかりに90度の角度で礼をすると、即行で神薙さんの元に駆けていった。
 これでワイバーンの対処は大丈夫だろう、うん、えっちゃんドリちゃんに伝言をお願いね。

「ワイバーン、一頭ぐらいおこぼれもらえないかね」
「神薙さんにお願いしてみる、デザート持ち寄ってくれた冒険者の方にもおすそ分けしたいな」

 一頭でどのくらいの量になるかな、ただの唐揚げもいいけどタレに付け込んだのも作りたい、チキンカツも美味しいし、あっ、鶏肉扱いでいいならお鍋に入れてもいいかも、シャムスが起きたらスーパースラちゃんにお手伝いをお願いしよう。
 剥ぎ取った素材はいらないからそっちはアー君に任せて……一口ぐらい僕も食べれたら嬉しけどどうだろう。

 ヘラ母さんと調理法をあれこれ話していたら、えっちゃんが狩りが終わったと教えてくれた。
 しかも全部えっちゃんに預け、調理法はこちらに任せるそうです。

「母さん、手伝ってね」
「もちろんさ」

 ワイバーンは総数百頭超え。
 でも尻尾で一撃だったらしいです、撃ち落されたワイバーンを受け止めるのが大変だったとえっちゃんに珍しく愚痴られました。
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