神様のポイント稼ぎに利用された3

ゆめ

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第一章 紡がれる日常

第66話

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 女神様の離宮に皆でやってまいりました。

 警備の都合がとか言い訳を並べながら、護衛や宰相一家などを始めとした帝国の重臣がぞろぞろと一緒について来たのだけど、ただ単に入ってみたかったんだろうなぁ。
 手を振るトレントに気付いてわぁわぁ言ったり、果物を差し出したトレントからビクビクしながら実を受け取ったりしている。
 トレントって基本的に人懐っこいのが多いよね。

「皆さん楽しそうですね」
「い、いえ、これは職務遂行に必要なことです!!」
「その通りです、決して楽しんでなど!」

 言い訳をしながらも貰った果物を服で拭いて食べようとしてますよね?

「明日から巨人食べ放題ツアー行ってくる。デザートも欲しいから帰ったら何か作ってね」
「はい」

 そっかー、明日から早速行くのかぁ。
 これはもう相手が悪かったという事で、贖罪は来世でしてください。

「皇后陛下、庭師ぐらい入れましょう」
「予算余っていますから入れましょう?」
「花植えてもコイツらに食われるだけだぞ」
「美味かった」
「意外と美味かった」
「殿下ぁぁっ!!」

 あ、提案したおじさんが涙ぐんでいる。
 まさか帝国の皇子が花を食べるような野生児とは思うまい、ごめんなさいね、食べれる花もあるってポロっとこぼしたのは僕です。
 それ以来、知らない花を見つけるたびに食べて確認しているらしい、ほら状態異常無効があるから何も怖くないみたいでね。

「あとやたらに穴掘るから整えても一日持たないよな」
「ここほれワンワンってエム兄ちゃんが」
「ロー兄ちゃんも言ってた」
「ルド兄ちゃんは本能だから仕方ないって開き直ってたな」

 うちのワンコ兄弟、自宅の庭掘れないからこっちで掘ってた。
 すみません、すみません。

「まぁそんな感じで遊び場になってるからこのままでいい」
「うぅ、せっかくの離宮がぁ」
「維持費は自分達で稼ぐから浮いた分横領してもいいぞぉ」

 にやにやと笑う女神様に大臣たちがもげる勢いで首を振っている。

「ママ、テーブルとレモンデザートの用意出来たって、ついでだから飲み物もレモン系」
『レモンアイスもあるよー』
「女神様、準備できたようですよ」
「早くないか?」
「えっちゃんがレモン仕入れたり、ドリアンに指示したりしといてくれたみたいですね」

 脳内会話だったはずなのにおかしいな、そう言えば皇帝も聞こえていたようだし、謎がちょっぴり残るなぁ。

 レモンを使ったデザートを囲み、国の重臣であるおじ様たちがキャッキャウフフとお茶を楽しんでいる。
 邪神一家のお食事シーンを見てしまった心が癒されますなぁ、とか言いながらお茶を片手に歩き回り、トレントやドリアン、スライム達と交流しています。

「この弾力です、これですこれ」
「我が家にも一匹おりますぞ、妻が冒険者で刀国の神社で大当たりしたのが出会いと言っておりました」
「私の家にはおりませんが、見せてもらったことがあります。何でも最初は手のひらサイズだったのに、あれこれ与えていたら今は人間の頭ぐらいのサイズになったと笑っておりました」

 シャムスのスライムが国を超えて大人気のようです。
 そしてどこにいても愛されているもよう、うんうん、あの子たち可愛いもんね。

「皇后様、今の季節は王宮の中庭の花が見頃ですぞ、お茶会を開いてみる気はありませんか?」
「司祭ちゃん人間だから長時間憑依出来ないんだって、無茶言うなよ」
「水臭いなヴィシュ、私がいるじゃないか」
「あっ、そっか炎ちゃんに憑依すればいいのか」
「そうそう、ファッションリーダーなら私に任せて……今男だけどまぁ大丈夫だと思う」

 どうやら女神様主催のお茶会が開催されることになるようです、頑張ってくださいね。
 お茶会も異世界テンプレの一つですよ。
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