神様のポイント稼ぎに利用された3

ゆめ

文字の大きさ
上 下
68 / 923
第一章 紡がれる日常

第65話

しおりを挟む
 びっくりして腰が抜けた。
 何の話かというとですね、皇子の誰かと既成事実を作りに留学してきた王女、僕らが退席した直後にプッツンして巨人化したんだ。

「何でぇ!?」
『漫画の読みすぎね』
「すまないママ、兄弟の誰かが俺の漫画コレクションを読んだみたいで……」

 コレクションの中に人間が巨人になる話があって、それにドハマりした影響が出たっぽいのだけど、そこに女神様の読んでいるラノベの内容が混ざってカオスなことになったようです。

「アー君、漫画片付けよう」
「えぇぇぇ」
「それか女神様への干渉を切る。世界に余計な混乱を招かないの!」
『っめ!』

 アー君と帝国兄弟がブーブー言っているけれど、シャムスを前面に出して押し切りましたとも。
 漫画やラノベを片付けるのはどうしても嫌だったようで、渋々、本当に渋々と女神様への干渉を断念した。

「これからは漫画を読みたかったら女神様から買い付けなさい」
「はぁい」
「「ちぇーー」」
「イツキちゃんありがとおおおお!!」

 対策はしていたけれど、力関係で後手後手に回っていたようでとても感謝されました。

「18禁な本やリアルゾンビゲームとか持ってるから凄く助かる」
「興味がそちらに移る前に対策できて良かったです」
「皇后陛下……一応人前なので、地面に座るのはやめましょうね」
「あ、はい」

 宰相の奥さんがとてもいい笑顔で女神様に圧をかけ、女神様も素直に応じて僕とともに立ち上がった。
 ここは謁見の間に続く通路で、爆音に僕が腰を抜かしてしまったため、皆で留まっていました。
 いや、せめて皇帝と皇子たち避難させよう?

「イグ張り切ってるなー」
「イグ様かっちょえー」
『やっちゃえ、やっちゃえー!』

 謁見の間ではイグちゃんが巨人化した王女相手に大立ち回り、嬲って遊んでいるともいう。
 よく見たら小さい蛇がみょろみょろと巨人の体に引っ付いているのですが、巨体を振り回しても振り払えずに痛がっているようです、あぁ金ちゃんたちか。

「よし記憶全部食ったぞー!」
「わー逃げろー」
「父様ドウゾ」
「うん」

 小さい蛇が一斉に撤退したと思ったら僕の真横に神薙さんがいた。
 レモンケーキ目当てで遊びに来たのかな!?

「ママ大丈夫か?」
「無理かな」

 幸いにもアー君が素早くお姫様抱っこをしてくれたので、再び座り込まずには済んだ。
 帝国兄弟たちも驚いたのかギャーギャー悲鳴を上げて女神様や皇帝、周囲の大人にしがみついている。

「シャムスは……気絶してる」
『きゅぅ』

 驚いた拍子にシャムスを落とさなかった僕偉い!
 ありがとうアー君。

「ぎゃぁぁぁ!!」
「大きくて食べがいがある」

 攻撃してこないようにまず腕から、次に移動できないように足を、再生しないように魔力神経を、的確に破壊しながら生きたままもぐもぐしている神薙さん。

「アー君、なんで冷静に解説出来るの!?」
「ママはモザイクで何が起こってるかわからないだろ、だから実況をしてみた」
「その親切いらないからね」
「おーいアルジュナー」
「イグどうした」

 みょん。と影から姿を現したイグちゃんに、興奮した帝国兄弟が群がる。
 それを14本の腕であやしながら、巨人王女から引っこ抜いた記憶をアー君に提供するイグちゃん。

 王女様の母国は人間に化けた巨人の国、その絶対的な暴力をもって国土を拡大中。
 帝国に来たのは優秀な血を王家に取り込み、更なる力を得るためだったみたい。

 うん、話は分かった。
 でも何で廊下!?
 移動しようよ!
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【BL】どうやら精霊術師として召喚されたようですが5分でクビになりましたので、最高級クラスの精霊獣と駆け落ちしようと思います。

riy
BL
風呂でまったりしている時に突如異世界へ召喚された千颯(ちはや)。 召喚されたのはいいが、本物の聖女が現れたからもう必要ないと5分も経たない内にお役御免になってしまう。 しかも元の世界へも帰れず、あろう事か風呂のお湯で流されてしまった魔法陣を描ける人物を探して直せと無茶振りされる始末。 別邸へと通されたのはいいが、いかにも出そうな趣のありすぎる館であまりの待遇の悪さに愕然とする。 そんな時に一匹のホワイトタイガーが現れ? 最高級クラスの精霊獣(人型にもなれる)×精霊術師(本人は凡人だと思ってる) ※コメディよりのラブコメ。時にシリアス。

うるせぇ!僕はスライム牧場を作るんで邪魔すんな!!

かかし
BL
強い召喚士であることが求められる国、ディスコミニア。 その国のとある侯爵の次男として生まれたミルコは他に類を見ない優れた素質は持っていたものの、どうしようもない事情により落ちこぼれや恥だと思われる存在に。 両親や兄弟の愛情を三歳の頃に失い、やがて十歳になって三ヶ月経ったある日。 自分の誕生日はスルーして兄弟の誕生を幸せそうに祝う姿に、心の中にあった僅かな期待がぽっきりと折れてしまう。 自分の価値を再認識したミルコは、悲しい決意を胸に抱く。 相棒のスライムと共に、名も存在も家族も捨てて生きていこうと… のんびり新連載。 気まぐれ更新です。 BがLするまでかなり時間が掛かる予定ですので注意! 人外CPにはなりません ストックなくなるまでは07:10に公開 3/10 コピペミスで1話飛ばしていたことが判明しました!申し訳ございません!!

転生したら魔王の息子だった。しかも出来損ないの方の…

月乃
BL
あぁ、やっとあの地獄から抜け出せた… 転生したと気づいてそう思った。 今世は周りの人も優しく友達もできた。 それもこれも弟があの日動いてくれたからだ。 前世と違ってとても優しく、俺のことを大切にしてくれる弟。 前世と違って…?いいや、前世はひとりぼっちだった。仲良くなれたと思ったらいつの間にかいなくなってしまった。俺に近づいたら消える、そんな噂がたって近づいてくる人は誰もいなかった。 しかも、両親は高校生の頃に亡くなっていた。 俺はこの幸せをなくならせたくない。 そう思っていた…

平民男子と騎士団長の行く末

きわ
BL
 平民のエリオットは貴族で騎士団長でもあるジェラルドと体だけの関係を持っていた。  ある日ジェラルドの見合い話を聞き、彼のためにも離れたほうがいいと決意する。  好きだという気持ちを隠したまま。  過去の出来事から貴族などの権力者が実は嫌いなエリオットと、エリオットのことが好きすぎて表からでは分からないように手を回す隠れ執着ジェラルドのお話です。  第十一回BL大賞参加作品です。

国を救った英雄と一つ屋根の下とか聞いてない!

古森きり
BL
第8回BL小説大賞、奨励賞ありがとうございます! 7/15よりレンタル切り替えとなります。 紙書籍版もよろしくお願いします! 妾の子であり、『Ω型』として生まれてきて風当たりが強く、居心地の悪い思いをして生きてきた第五王子のシオン。 成人年齢である十八歳の誕生日に王位継承権を破棄して、王都で念願の冒険者酒場宿を開店させた! これからはお城に呼び出されていびられる事もない、幸せな生活が待っている……はずだった。 「なんで国の英雄と一緒に酒場宿をやらなきゃいけないの!」 「それはもちろん『Ω型』のシオン様お一人で生活出来るはずもない、と国王陛下よりお世話を仰せつかったからです」 「んもおおおっ!」 どうなる、俺の一人暮らし! いや、従業員もいるから元々一人暮らしじゃないけど! ※読み直しナッシング書き溜め。 ※飛び飛びで書いてるから矛盾点とか出ても見逃して欲しい。  

兄たちが弟を可愛がりすぎです

クロユキ
BL
俺が風邪で寝ていた目が覚めたら異世界!? メイド、王子って、俺も王子!? おっと、俺の自己紹介忘れてた!俺の、名前は坂田春人高校二年、別世界にウィル王子の身体に入っていたんだ!兄王子に振り回されて、俺大丈夫か?! 涙脆く可愛い系に弱い春人の兄王子達に振り回され護衛騎士に迫って慌てていっもハラハラドキドキたまにはバカな事を言ったりとしている主人公春人の話を楽しんでくれたら嬉しいです。 1日の話しが長い物語です。 誤字脱字には気をつけてはいますが、余り気にしないよ~と言う方がいましたら嬉しいです。

市川先生の大人の補習授業

夢咲まゆ
BL
笹野夏樹は運動全般が大嫌い。ついでに、体育教師の市川慶喜のことも嫌いだった。 ある日、体育の成績がふるわないからと、市川に放課後の補習に出るよう言われてしまう。 「苦手なことから逃げるな」と挑発された夏樹は、嫌いな教師のマンツーマンレッスンを受ける羽目になるのだが……。 ◎美麗表紙イラスト:ずーちゃ(@zuchaBC) ※「*」がついている回は性描写が含まれております。

異世界転生してハーレム作れる能力を手に入れたのに男しかいない世界だった

藤いろ
BL
好きなキャラが男の娘でショック死した主人公。転生の時に貰った能力は皆が自分を愛し何でも言う事を喜んで聞く「ハーレム」。しかし転生した異世界は男しかいない世界だった。 毎週水曜に更新予定です。 宜しければご感想など頂けたら参考にも励みにもなりますのでよろしくお願いいたします。

処理中です...