神様のポイント稼ぎに利用された3

ゆめ

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第一章 紡がれる日常

第57話

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 狐さんが給仕をしようとしてくれるので、それを断って一緒にお茶を楽しんでいたら、顔を引きつらせた女神様がやってきた。

「振り向いたらいないし」
「よく神域で気軽にお茶できるわね」
「聖地じゃないんですか?」
「シャムス様が来訪した時点で格が上がった」
『っきゃ』

 ちょっと照れくさそうにシャムスが両頬を押さえている。愛らしいったら。

「女神様たちも何か飲みますか?」
「酒――って、そうじゃない、そうじゃないよなイツキちゃん」
「ママン最強だな、私すごい家の子に転生してしまったのね」
「普通、誰か来るって言われたら一緒に待たない?」
「姿が見えなかったのは用心して隠れたかと思ったら、本当にいないとは思わなかったわ」

 散々な言われようです。

 シャムスを狐さんに任せ、大人しく二人の主張を聞いてあげることにした。
 だって話聞かないと延々と愚痴言い続けそうだったから。

『シャムス様、どのお菓子にいたしますか?』
『お星さまの形したクッキー』
『こちらですね、はいどうぞ』
『あーんしてぇ』
『っく、かわぁいい。コホン、失礼を。では改めて、シャムス様、あーん』
『あーん』

 っく、女神様の話や来訪者の正体よりもふもふが気になるっ!!

「炎ちゃん強引に話し進めよう」
「すまないヴィシュっ、ママンの子供に生まれたばかりに私の本能がシャムス様を愛でろとっ!!」

 何か炎帝さんが葛藤に苦しんでいる。
 本能のままシャムスを可愛がればいいと思う、それが一番正しいと思います。

「嘘だろ、炎ちゃんにまで影響が!?」
「うちの子ですからねー」
「うぅっシャムス様が、シャムス兄様がっ、可愛いっ!!」
『えへー』
「ああ口の周りをこんなに汚して、綺麗にしましょう」
「あい」

 炎帝さんがデレた。

「お菓子ばかりじゃなく水分もとりましょうね」
「はぁい」

 しかもシャムスが答えるたびに「可愛い」と呟いて心臓を押さえて苦しんでいる。
 色々と大丈夫だろうかこの人。

「ママン、もしかしてこの体、獣族の血とか混ざってる?」
「いいえ、シャムスの弟なら当然の反応です」

 病気ではなく正常な反応なので慣れるか受け入れてしまえば楽になれますよ。

「炎ちゃんしっかり! BL愛を思い出して!!」
「ヴィシュ!!」

 いや、それは無理して思い出さなくてもいいと思いますよ?

「……いや待てよ?」

 炎帝さんの肩を掴んで声をかけていた女神様がぴたりと動きを止めた。

「もしかして炎ちゃん、生BL体験出来るんじゃね?」
「!!!!!!!!」
「それどころか産めちゃうじゃん」
「ヴィシュ!!」
「おう!」
「今すぐ帰ろう!」
「そうだな! じゃあなイツキ、私たち急用が出来たわ!」

 何か重大なことに気付いたらしい女神二人、もの凄い勢いでまくし立てて風のように去っていった。
 え、来訪者は?
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