57 / 809
第一章 紡がれる日常
第55話
しおりを挟む
銀狼は山の奥で群れを作って暮らしているという初期設定がある。
元々はもふもふ好きの騎士様のために考え抜いてデザインした種族、巣が山の奥なのは嫁をさらって行くなら人が来ない所がいいよなぁという発想から、人里離れた場所を守らせるならあれほど都合の良い種族はない。そう女神様が鼻息荒く熱弁している。
僕に説得しろということですかね、女神様が守護のために配置した狛犬を銀狼に進化させてしまった負い目もあるので、今回は大人しく女神様の提案に乗りますけども。
「シャムス、お兄ちゃんたちにお話あるから一度帰るけど、ここで遊んでる? それとも一緒に行く?」
「おにいちゃんに来てもらう」
そう来たか。
えっちゃんに向かってシャムスがお願いポーズをした数分後、エム、ロー、ルドの三兄弟がテンション高く影から飛び出した。
何でこんなにテンション高いのかと思ったら、影から出てくる、出てくる銀狼の群れが。
ポップコーン並みにポンポン現れては周囲に散っていく、あれ、銀狼ってこんなにテンション高い種族だったの? もっとこう、静かなイメージを勝手に抱いてた。
最後に出てきたのは僕より大きな体躯のフェンリル、エムのお嫁さん。
足元にわちゃわちゃしているのがエムの子供たち、触りたい、もふりたい、埋もれたいそのもふもふに。
「女神様、説得する前に問題が解決してます」
「えっちゃんすげぇ、何者だよ」
「原初の闇、始まりの闇――決まった名前はない、在る場所も不明、ただ最初からそこにある存在。私より古い存在よ、それ」
「マジかよ炎ちゃん、イツキもすげぇもん影に連れてるな、どこで出会ったんだ?」
「騎士様が連れてきてくれて、それからずっと一緒です。おかげでダンジョンの最奥だろうが、最果ての地だろうが一瞬なんですよ!」
「主様……」
女神様が珍しく遠い目をしている。
「だから単独であの寺院にいたのかー」
「はい! なんでもどんなに小さくても影があれば、行ったことがない場所でも行けるみたいで、じゃあ行ってみようかってなりました」
「え、会話ってどうしてるの?」
「なんとなくです」
「マジかよ」
ドリちゃんとの会話もなんとなくです。
でも通じているっぽいので不自由はないですねー。
ただ女神様の設定したエロ特化な世界観に気を使っているのか、エロ系イベントの時は助けてくれないのが悩みの一つです。
そんな気遣いいらないのになぁ。
最近では騎士様と刀雲が閨に誘うかこそこそ相談していることがあってですね、触手プレイを体験したくない僕はどう回避しようかと頭を悩ませています。
女神様には絶対相談出来ないけど!!
「ヴィシュ、ここって人間の管理者いないの?」
「食べ物が手に入らないから人間が住めないんだよねぇ、仕方ないから狛犬を配置してたんだ。でも銀狼の群れがここを守ってくれるなら食い物どうにかしないとなぁ」
「あ、それは僕がやりますよ。涼玉にお願いして涼玉ブートキャンプ踊ってもらいます」
「ナニソレ」
「なんでも冒険者を強化したいアー君と共同で考えたらしいですよ、冒険者に楽しく筋肉をつけてもらおうと考えたダンスらしいです、地球でも一時期流行ってましたよね」
もしかしたら女神様の記憶を覗いたかもしれないですが、今はえっちゃんがいるので知識の出所はあやふやなままです。
元々はもふもふ好きの騎士様のために考え抜いてデザインした種族、巣が山の奥なのは嫁をさらって行くなら人が来ない所がいいよなぁという発想から、人里離れた場所を守らせるならあれほど都合の良い種族はない。そう女神様が鼻息荒く熱弁している。
僕に説得しろということですかね、女神様が守護のために配置した狛犬を銀狼に進化させてしまった負い目もあるので、今回は大人しく女神様の提案に乗りますけども。
「シャムス、お兄ちゃんたちにお話あるから一度帰るけど、ここで遊んでる? それとも一緒に行く?」
「おにいちゃんに来てもらう」
そう来たか。
えっちゃんに向かってシャムスがお願いポーズをした数分後、エム、ロー、ルドの三兄弟がテンション高く影から飛び出した。
何でこんなにテンション高いのかと思ったら、影から出てくる、出てくる銀狼の群れが。
ポップコーン並みにポンポン現れては周囲に散っていく、あれ、銀狼ってこんなにテンション高い種族だったの? もっとこう、静かなイメージを勝手に抱いてた。
最後に出てきたのは僕より大きな体躯のフェンリル、エムのお嫁さん。
足元にわちゃわちゃしているのがエムの子供たち、触りたい、もふりたい、埋もれたいそのもふもふに。
「女神様、説得する前に問題が解決してます」
「えっちゃんすげぇ、何者だよ」
「原初の闇、始まりの闇――決まった名前はない、在る場所も不明、ただ最初からそこにある存在。私より古い存在よ、それ」
「マジかよ炎ちゃん、イツキもすげぇもん影に連れてるな、どこで出会ったんだ?」
「騎士様が連れてきてくれて、それからずっと一緒です。おかげでダンジョンの最奥だろうが、最果ての地だろうが一瞬なんですよ!」
「主様……」
女神様が珍しく遠い目をしている。
「だから単独であの寺院にいたのかー」
「はい! なんでもどんなに小さくても影があれば、行ったことがない場所でも行けるみたいで、じゃあ行ってみようかってなりました」
「え、会話ってどうしてるの?」
「なんとなくです」
「マジかよ」
ドリちゃんとの会話もなんとなくです。
でも通じているっぽいので不自由はないですねー。
ただ女神様の設定したエロ特化な世界観に気を使っているのか、エロ系イベントの時は助けてくれないのが悩みの一つです。
そんな気遣いいらないのになぁ。
最近では騎士様と刀雲が閨に誘うかこそこそ相談していることがあってですね、触手プレイを体験したくない僕はどう回避しようかと頭を悩ませています。
女神様には絶対相談出来ないけど!!
「ヴィシュ、ここって人間の管理者いないの?」
「食べ物が手に入らないから人間が住めないんだよねぇ、仕方ないから狛犬を配置してたんだ。でも銀狼の群れがここを守ってくれるなら食い物どうにかしないとなぁ」
「あ、それは僕がやりますよ。涼玉にお願いして涼玉ブートキャンプ踊ってもらいます」
「ナニソレ」
「なんでも冒険者を強化したいアー君と共同で考えたらしいですよ、冒険者に楽しく筋肉をつけてもらおうと考えたダンスらしいです、地球でも一時期流行ってましたよね」
もしかしたら女神様の記憶を覗いたかもしれないですが、今はえっちゃんがいるので知識の出所はあやふやなままです。
20
お気に入りに追加
141
あなたにおすすめの小説
ちっちゃくなった俺の異世界攻略
鮨海
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた!
精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!
勇者の股間触ったらエライことになった
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
勇者さんが町にやってきた。
町の人は道の両脇で壁を作って、通り過ぎる勇者さんに手を振っていた。
オレは何となく勇者さんの股間を触ってみたんだけど、なんかヤバイことになっちゃったみたい。
美少年に転生したらヤンデレ婚約者が出来ました
SEKISUI
BL
ブラック企業に勤めていたOLが寝てそのまま永眠したら美少年に転生していた
見た目は勝ち組
中身は社畜
斜めな思考の持ち主
なのでもう働くのは嫌なので怠惰に生きようと思う
そんな主人公はやばい公爵令息に目を付けられて翻弄される
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
継母から虐待されて死ぬ兄弟の兄に転生したから継母退治するぜ!
ミクリ21 (新)
BL
継母から虐待されて死ぬ兄弟の兄に転生したダンテ(8)。
弟のセディ(6)と生存のために、正体が悪い魔女の継母退治をする。
後にBLに発展します。
【完結済】(無自覚)妖精に転生した僕は、騎士の溺愛に気づかない。
キノア9g
BL
完結済。騎士エリオット視点を含め全10話(エリオット視点2話と主人公視点8話構成)
エロなし。騎士×妖精
※主人公が傷つけられるシーンがありますので、苦手な方はご注意ください。
気がつくと、僕は見知らぬ不思議な森にいた。
木や草花どれもやけに大きく見えるし、自分の体も妙に華奢だった。
色々疑問に思いながらも、1人は寂しくて人間に会うために森をさまよい歩く。
ようやく出会えた初めての人間に思わず話しかけたものの、言葉は通じず、なぜか捕らえられてしまい、無残な目に遭うことに。
捨てられ、意識が薄れる中、僕を助けてくれたのは、優しい騎士だった。
彼の献身的な看病に心が癒される僕だけれど、彼がどんな思いで僕を守っているのかは、まだ気づかないまま。
少しずつ深まっていくこの絆が、僕にどんな運命をもたらすのか──?
いいねありがとうございます!励みになります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる