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第一章 紡がれる日常

第50話

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 刀雲と騎士様は数日泊まり込みになるようです、伝令も来てたけど僕らが不在だったうえ、いたのは食事中の神薙さんだけだったため、伝令は神薙邸の守衛に預けられていました。
 ドリアンもいるけど神薙さんの食事中は忙しく動いているから声かけられなかったんだろうなぁ。
 なんかごめんなさいね?

「私の卵を盗んだ人間、使い捨てだったのよぉ!」

 朝食も済み、アー君を学園に送り出して一段落した爽やかな朝の空気の中、突然我が家に現れ、庭先で叫ぶ筋肉質なオネェ、不審者でしかない。
 叫んだ内容からドラゴンなんだろうけど、不審者です。あまりに不審すぎて二回言ってみた。

 アー君助けて。
 学業大事だし、楽しんでるの知っているけど、特別休暇とかありませんかねぇ?

「んもぅ聞いてるのぉ!」
「はい」
『あい』

 涼玉はまだ来ていない、昨日遅かったからまだ寝ているのかな。
 あと修行僧希望のあの子は今朝早く山に帰りました。ここに居たら太ると泣きながらの帰還だった。

 でも大丈夫、本日はイネスとネヴォラが遊びに来ているんだ。
 ツッコミ要員!!

「盗賊さんはラーシャが魂回収して、ガリガリしたけど魂空っぽだったんです」
「生まれた時から使い捨て用の奴隷だったみたい! 怖いな、違法奴隷廃止させよう!」

 シャムスはドン引きしているのに、お二人はこの人平気なの?
 心広いね。

「人間怖いわぁ、あらこのケーキ美味しいわね!」
「ありがとうございます」

 圧が凄かったので紅茶とシフォンケーキを出してみました。
 オネェだから女子っぽい可愛らしい食べ物好きかなぁって勝手に判断したけど、美味しいと言っていただけて幸栄です。

「あの、卵は?」
「旦那が温めているわぁ、私はアナタ達にお礼と愚痴を言いに来たのよぉ」
『ぴぇ』

 オネェという謎の生き物を前にシャムスが珍しく人見知りを発動している。分かる、僕も逃げたい。

「私とダーリンの巣は霊峰でも崖が険しくて人が出入り出来ない場所にあるのだけど、どうやって盗んでいったのか今も分からないのよねぇ、獣人でもいたのかしらぁ」
「いなかったです、全員人間でした」
「ただ手足がボロボロだったって言ってたよな」
「はいです」

 自分の身体能力を無視して任務だけ遂行したのか。

「人間と関わりたくなかったから崖の上で暮らしていたのだけど、霊峰でおいたするなんて怖いもの知らずね」
「欲深い生き物ですからね、ママも何度かさらわれたり召喚されてます」
「尻尾を掴むためにとうちゃんが仲間に声かけて花畑見張ってんの、近付いたら片っ端から邪神にポイポイよ」
『イグちゃん、お花盗まれてたこと知って怒ってた』

 スイーツとお喋りを堪能し、お昼のお好み焼きを食べてからオネェドラゴンは帰っていった。
 無茶苦茶疲れた。

 これも全部、卵や花を盗んだ人が悪い。
 どうにか正体を掴めないものだろうか、尻尾さえ掴めればいいんだよね、ちょっと考えてみよう。
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