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第一章 紡がれる日常
第48話
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はいはいやってまいりました厳戒態勢のラセンの街へ。
相変わらず外見まで人外な住人が多く、中には牙を剥き出しにして、ガチガチ歯を鳴らしている子もいる。
「ラセン!」
「私のエアリエルは聖域に避難させました。我が街に危機を招く愚か者に制裁を! 盗人も、ドラゴンもどちらにも容赦するな!!」
手遅れだったーー!
一緒に来たタイガに一言答えると、整列していた魔物部隊に流れるように号令をかけるラセン、すでにキレていらっしゃいます!
おっとその横には双子の護衛をしているはずの周防君、すっごい久しぶり!!
よく見たら笑顔が怖い、こちらもガチギレしていらっしゃいますね!
女神様の呪いから完全には脱却出来ていないため、三歳ぐらいから中学生ぐらいの外見を行ったり来たりしているらしい。
双子のそばに居る時は役割を果たすために同年代になるけれど、離れている時間が長くなると段々幼くなってしまう仕様だと、酔っ払った女神様が笑いながら教えてくれた。酷いですね。
……あと一瞬、エアリエルって誰だろうって思ったけど、ラセンの溺愛ぶりから思い出した。
タイガとラセンの息子で、セティの番、存在が精霊みたいにふわふわなんだよね、そのせいか街の魔物総出で庇護しているとか。
「ヨムの案件が平和で良かった」
「アー君、現実逃避するの早すぎない?」
ラセンの号令に動き出した魔物の間を縫って、タイガがラセンに近付いて話を聞いている。
僕らは近くで話を聞きながら、若干現実逃避気味です。
ほぅほぅ、斥候役をしているのは蜘蛛の魔物とその眷属なんだ。
確かに蜘蛛なら数はいるだろうけど……彼らを率いているのリーダーが変態なんだよなぁ。
きゅるるるるるるるぅ
シリアスな空気の中、盛大に鳴り響く爆音。
「腹減ったぁ」
なんの音かと思ったら涼玉のお腹の音でした。
夕食まだだったもんね、マールスが慌てて焚火を設置できるスペースを探している
「まま、にんげんラセンにまかせて、僕らドラゴンとめるの」
「そうだね、早く終わらせてご飯にしないと涼玉のお腹と背中がくっついちゃう!」
「うおぉぉぉ」
「あ、でも聖域なら魚介類あるよ、マールスが入るのは無理でも涼玉だけなら入れないかな、兄弟もいるし」
ラセンの愛息子がセティの番なら涼玉にとっては義理の兄弟だし、涼玉は豊穣ドラゴンだから瘴気を振りまくことはない。
環境に優しい腹減りドラゴンですよ。
「えっちゃん、お願い」
「キキ」
「干からびるぅぅ」
「ラセンには事後報告するから、出来る限りいい子でね!」
「わかったぁぁ」
ヘロヘロの涼玉をえっちゃんが闇に包んで転移させた。
向こうには涼玉の弟と弟達の世話をする魔物がいるから大丈夫だろう、合流さえすれば空腹の涼玉に何かを食べさせてくれるはず。
「よし、涼玉はこれで大丈夫。俺らも腹減って動けなくなる前に帰らなきゃな! シャムス、ドラゴン今どんな感じだ?」
『とうぞく見つけたよ』
「俺も腹減ってきた。おかしいなぁ、山では木の実や山の恵だけで生活できてたのになぁ、俗世怖ぁい」
「今日の夕食は神薙さんが全部食べちゃったかなぁ、残ってたらいいけど」
「そこは家族として残しておいてくれたりは……」
「冷めたらもったいないからって食べちゃうかもしれない、えっちゃんがヨムちゃんに連絡とって魚の差し入れお願いしてくれたから、そっちに気を取られている間に帰れれば残ってるかな?」
ちょっとした博打だよね。
うん、メニュー画面で僕らの夕食出すのも大変だから、巻きで解決しよう。
相変わらず外見まで人外な住人が多く、中には牙を剥き出しにして、ガチガチ歯を鳴らしている子もいる。
「ラセン!」
「私のエアリエルは聖域に避難させました。我が街に危機を招く愚か者に制裁を! 盗人も、ドラゴンもどちらにも容赦するな!!」
手遅れだったーー!
一緒に来たタイガに一言答えると、整列していた魔物部隊に流れるように号令をかけるラセン、すでにキレていらっしゃいます!
おっとその横には双子の護衛をしているはずの周防君、すっごい久しぶり!!
よく見たら笑顔が怖い、こちらもガチギレしていらっしゃいますね!
女神様の呪いから完全には脱却出来ていないため、三歳ぐらいから中学生ぐらいの外見を行ったり来たりしているらしい。
双子のそばに居る時は役割を果たすために同年代になるけれど、離れている時間が長くなると段々幼くなってしまう仕様だと、酔っ払った女神様が笑いながら教えてくれた。酷いですね。
……あと一瞬、エアリエルって誰だろうって思ったけど、ラセンの溺愛ぶりから思い出した。
タイガとラセンの息子で、セティの番、存在が精霊みたいにふわふわなんだよね、そのせいか街の魔物総出で庇護しているとか。
「ヨムの案件が平和で良かった」
「アー君、現実逃避するの早すぎない?」
ラセンの号令に動き出した魔物の間を縫って、タイガがラセンに近付いて話を聞いている。
僕らは近くで話を聞きながら、若干現実逃避気味です。
ほぅほぅ、斥候役をしているのは蜘蛛の魔物とその眷属なんだ。
確かに蜘蛛なら数はいるだろうけど……彼らを率いているのリーダーが変態なんだよなぁ。
きゅるるるるるるるぅ
シリアスな空気の中、盛大に鳴り響く爆音。
「腹減ったぁ」
なんの音かと思ったら涼玉のお腹の音でした。
夕食まだだったもんね、マールスが慌てて焚火を設置できるスペースを探している
「まま、にんげんラセンにまかせて、僕らドラゴンとめるの」
「そうだね、早く終わらせてご飯にしないと涼玉のお腹と背中がくっついちゃう!」
「うおぉぉぉ」
「あ、でも聖域なら魚介類あるよ、マールスが入るのは無理でも涼玉だけなら入れないかな、兄弟もいるし」
ラセンの愛息子がセティの番なら涼玉にとっては義理の兄弟だし、涼玉は豊穣ドラゴンだから瘴気を振りまくことはない。
環境に優しい腹減りドラゴンですよ。
「えっちゃん、お願い」
「キキ」
「干からびるぅぅ」
「ラセンには事後報告するから、出来る限りいい子でね!」
「わかったぁぁ」
ヘロヘロの涼玉をえっちゃんが闇に包んで転移させた。
向こうには涼玉の弟と弟達の世話をする魔物がいるから大丈夫だろう、合流さえすれば空腹の涼玉に何かを食べさせてくれるはず。
「よし、涼玉はこれで大丈夫。俺らも腹減って動けなくなる前に帰らなきゃな! シャムス、ドラゴン今どんな感じだ?」
『とうぞく見つけたよ』
「俺も腹減ってきた。おかしいなぁ、山では木の実や山の恵だけで生活できてたのになぁ、俗世怖ぁい」
「今日の夕食は神薙さんが全部食べちゃったかなぁ、残ってたらいいけど」
「そこは家族として残しておいてくれたりは……」
「冷めたらもったいないからって食べちゃうかもしれない、えっちゃんがヨムちゃんに連絡とって魚の差し入れお願いしてくれたから、そっちに気を取られている間に帰れれば残ってるかな?」
ちょっとした博打だよね。
うん、メニュー画面で僕らの夕食出すのも大変だから、巻きで解決しよう。
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