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第一章 紡がれる日常
第31話
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帝国に豊穣ドラゴンの子息が居ついた。
でもこれ、皇帝と女神様とその子供たち以外には秘匿されました。
恵みを呼ぶ能力はないものの、悪用しようとする人間が出たら対処するのは邪神一家だからね、あと孤島で千年以上無敗を誇ったグラちゃんも出てきちゃう。
帝国の一つや二つは簡単に滅びてしまうので、離宮から出たら口に出せないように女神様が制約かけたそうです、五年も暮らしているから帝国に愛着わいたのかな?
「水玉 、黄玉、今日も見回り行くぞ!」
「きゅぃ」
「あぃ」
アー君が学園に行ったのを見計らい、シャムスと秋のダンジョンにやってまいりました。
ちょうど時間だったのか、帝国王子が水龍の背に乗って街の外に飛び出していき、緑のドラゴンがそのあとを追いかけていった。
水玉が水龍、黄玉が涼玉の弟の名前です。
黄玉を名付けたのは雷ちゃんなんだけど、どうやら黄玉という名前の葡萄があるらしい、鱗の色がその色に近いので黄玉と名付けたらしい。
メニュー画面で確認してみたけど、涼玉と色も形も同じに見えた。
差が分からない僕に違いを優しく教えてくれたのがマールス、微妙な色の違いから形の違いまで、判別がつくようになるまで根気よく、そりゃもう繰り返し教えてくれました。
涼玉に関することは前から煩かったけど、葡萄もダメなのか……油断した。
「かあちゃ、かあちゃ、女王の亜種が出た!」
「レアですぞ!」
『れあー』
今日こそはダンジョンに入ろうと意気込んでいたら先客がいたようだ。
森から出てきた涼玉が真っすぐに僕に向かってきた。もちろん走っているのはマールス、涼玉は抱っこされているだけだけど気にしてはいけない。
手に持っているのは紫っぽい葡萄、女王の亜種ってなんだろう?
「ダンジョンの奥で女王祭りやってたらこれが生えた! 一個だけしか実らなかったけど、超レアなのは間違いないぞ!」
興奮する涼玉。
ところで涼ちゃん、よく僕がいる場所分かったね。
マールスにセンサーでも搭載したのだろうか、普通に習得しててもおかしくはないけど。
「どうして奥? 入口付近でやれば収穫が楽になるのに」
「浅い場所は実りの種類が豊富だからだって、俺がやると周囲の品種が一種類になっちゃうからな」
『奥なら出入りは少ないのよ』
後にレイアさんが考察した内容をアー君から聞かされたのだけど、手前の種類を豊富にし、奥に行くにつれレア度を高くしたのは人間の欲深さを計算したのだろうということ。
良いものにつられて奥へ奥へと向かい、高レベルの魔物に殺される――それに近い筋書きがあったのだろうということです。
「そんな企みも、アー君によって冒険者が強化されていたからちょっと難易度高いだけのダンジョン扱いで終わったんだね。なんか残念な悪役だなぁ」
「五年前なら死傷者出ただろうなー、まぁその時は俺らだけで楽しんだんだろうけど」
「結果的に自分たちの命を賭して僕らに都合のいい恵を与えただけだよねぇ」
「ままがのっとったー」
「かあちゃ最高だぜー」
本来ならあのよく分からない闇落ちした魔物に僕が食べられ、騎士様が嘆いて世界が破滅ルートだったんだろうけども、謎能力を全開にした僕によって魔物が熊さんに変異、ダンジョン乗っ取りが成立してしまった。
望んだ荒神は一応生まれたけれど、僕と出会った瞬間にへそ天で服従しちゃったし、しかもその際にぷちっとされたあの人たち……死に損ってやつじゃなかろうか。
でもこれ、皇帝と女神様とその子供たち以外には秘匿されました。
恵みを呼ぶ能力はないものの、悪用しようとする人間が出たら対処するのは邪神一家だからね、あと孤島で千年以上無敗を誇ったグラちゃんも出てきちゃう。
帝国の一つや二つは簡単に滅びてしまうので、離宮から出たら口に出せないように女神様が制約かけたそうです、五年も暮らしているから帝国に愛着わいたのかな?
「水玉 、黄玉、今日も見回り行くぞ!」
「きゅぃ」
「あぃ」
アー君が学園に行ったのを見計らい、シャムスと秋のダンジョンにやってまいりました。
ちょうど時間だったのか、帝国王子が水龍の背に乗って街の外に飛び出していき、緑のドラゴンがそのあとを追いかけていった。
水玉が水龍、黄玉が涼玉の弟の名前です。
黄玉を名付けたのは雷ちゃんなんだけど、どうやら黄玉という名前の葡萄があるらしい、鱗の色がその色に近いので黄玉と名付けたらしい。
メニュー画面で確認してみたけど、涼玉と色も形も同じに見えた。
差が分からない僕に違いを優しく教えてくれたのがマールス、微妙な色の違いから形の違いまで、判別がつくようになるまで根気よく、そりゃもう繰り返し教えてくれました。
涼玉に関することは前から煩かったけど、葡萄もダメなのか……油断した。
「かあちゃ、かあちゃ、女王の亜種が出た!」
「レアですぞ!」
『れあー』
今日こそはダンジョンに入ろうと意気込んでいたら先客がいたようだ。
森から出てきた涼玉が真っすぐに僕に向かってきた。もちろん走っているのはマールス、涼玉は抱っこされているだけだけど気にしてはいけない。
手に持っているのは紫っぽい葡萄、女王の亜種ってなんだろう?
「ダンジョンの奥で女王祭りやってたらこれが生えた! 一個だけしか実らなかったけど、超レアなのは間違いないぞ!」
興奮する涼玉。
ところで涼ちゃん、よく僕がいる場所分かったね。
マールスにセンサーでも搭載したのだろうか、普通に習得しててもおかしくはないけど。
「どうして奥? 入口付近でやれば収穫が楽になるのに」
「浅い場所は実りの種類が豊富だからだって、俺がやると周囲の品種が一種類になっちゃうからな」
『奥なら出入りは少ないのよ』
後にレイアさんが考察した内容をアー君から聞かされたのだけど、手前の種類を豊富にし、奥に行くにつれレア度を高くしたのは人間の欲深さを計算したのだろうということ。
良いものにつられて奥へ奥へと向かい、高レベルの魔物に殺される――それに近い筋書きがあったのだろうということです。
「そんな企みも、アー君によって冒険者が強化されていたからちょっと難易度高いだけのダンジョン扱いで終わったんだね。なんか残念な悪役だなぁ」
「五年前なら死傷者出ただろうなー、まぁその時は俺らだけで楽しんだんだろうけど」
「結果的に自分たちの命を賭して僕らに都合のいい恵を与えただけだよねぇ」
「ままがのっとったー」
「かあちゃ最高だぜー」
本来ならあのよく分からない闇落ちした魔物に僕が食べられ、騎士様が嘆いて世界が破滅ルートだったんだろうけども、謎能力を全開にした僕によって魔物が熊さんに変異、ダンジョン乗っ取りが成立してしまった。
望んだ荒神は一応生まれたけれど、僕と出会った瞬間にへそ天で服従しちゃったし、しかもその際にぷちっとされたあの人たち……死に損ってやつじゃなかろうか。
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