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第一章 紡がれる日常
第25話
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その後、弟達からのお願いにはりきったヨムちゃんにより、クロマグロ二頭、虹マグロ二頭が女神様の離宮に届けられた。
もちろん空飛ぶマグロです。
しかもその内の一頭は自分達の神に認められた事実を前に感激のあまり黒色から進化、金のマグロになったそうです。
最初に言っておくと僕は何もしていないし、現場に立ち会ってないので無関係です。
「さらに言うとマグロをスカウトしに行ったら水龍が襲ってきてさ、ボコって子分にした」
殺すのは簡単だけど、体が小さかったので育ててから食べるか、小鹿のように味わいが違うかもしれないから小さいまま食べるのも一興か悩んだゆえの拳だったようです。
一度食べてみれば分かるかなと判断し、食べようとしたら小さな水龍が「どうして殺してくれないんだ!」と言いながら号泣、今食べようとしてたと言いそびれていた所に冒険者が群がってきて、親身になって話を聞いてくれたそうです。
冒険者達の優しさに感動した水龍はヨムちゃんに頭を下げて素直に謝罪、自分が秋のダンジョンにやってきた理由を語った。
この辺ですでにツッコミを入れたい箇所が数か所あるんですけど、とりあえず冒険者と水龍は言葉通じないのにどうやって分かり合ったんだろうか。
「なんかな、水を操る力が弱すぎて一族を追放されたらしい、そこに秋のダンジョンの噂を聞いて、冒険者がたくさんいるなら自分を殺してくれるんじゃないかと思って来たらしい」
追放&自殺志願の水龍。
改心させたら子分になって、今はダンジョン帰りの冒険者に温水シャワーをかけるアルバイトで生計を立てている……ラノベが一本出来そうな半生ですね。
優しい世界で何よりです。
「それを聞いた弟の一人が離宮を抜け出して会いに行ったみたいでさ、意気投合してた」
ああそう言えばドラゴンか龍を欲しがっていた子いたなぁ。
「今じゃ皇族が経営する大衆浴場として大人気、酒場と隣接してるからビールがよく出る」
「水龍を下したヨムには感謝しかないな、おかげでダンジョン経営も安定している」
そう言ってによによするアー君がやっているのは学園で出た宿題、ではなく酒場で出すおつまみなどの新メニューのアイデア練り。
宿題はやったのだろうか。
「しかも利用者は人間だけじゃないんだ、仕事終わりの牛の群れとか、トレントとか色々な種族に大人気。むしろ一頭じゃ手が回らなくなってきてるんだ。な、アー君」
「うん、仕事を減らそうと思って冒険者にクリーン使えって言ったらブーイングが凄かった」
冒険者との距離が近すぎて苦情がダイレクトにアー君にいくから大変だね。
「だから次の休み、ヨムと水龍狩り行ってくる」
「追放された水龍を保護する名目で働かせるんだ! 数が増えればいつか三食昼寝付き!」
現在ブラック、将来アットホームな職場になる予定?
でも確かに水龍君一人で回している現在、休みどころかお昼寝も出来ないよね。
連日腕に覚えのある冒険者が通い、日々帝国の食卓へ食糧を届けて――いないんです。
ダンジョンで採れる食べ物を帝国に売るはずだったんじゃぁ?
「現状、街と冒険者の間で消費しきっているんだ。余剰がほとんどない、やっぱり森の難易度が高いのが原因かな、あとランクが高くて美味いからあいつら残さないんだ」
「冒険者のレベル、だいぶ上がったと思ったんだけどな~、魚なら俺が行けばどうにでもなるけど、毎日行くほど暇じゃないからなぁ」
真面目に考察しているものの、アー君の心は秋の味覚に染まってしまっているんだろう、手元にある紙には大根おろしが添えられた焼きさんまが描かれている。
夕食に出してあげよう。
もちろん空飛ぶマグロです。
しかもその内の一頭は自分達の神に認められた事実を前に感激のあまり黒色から進化、金のマグロになったそうです。
最初に言っておくと僕は何もしていないし、現場に立ち会ってないので無関係です。
「さらに言うとマグロをスカウトしに行ったら水龍が襲ってきてさ、ボコって子分にした」
殺すのは簡単だけど、体が小さかったので育ててから食べるか、小鹿のように味わいが違うかもしれないから小さいまま食べるのも一興か悩んだゆえの拳だったようです。
一度食べてみれば分かるかなと判断し、食べようとしたら小さな水龍が「どうして殺してくれないんだ!」と言いながら号泣、今食べようとしてたと言いそびれていた所に冒険者が群がってきて、親身になって話を聞いてくれたそうです。
冒険者達の優しさに感動した水龍はヨムちゃんに頭を下げて素直に謝罪、自分が秋のダンジョンにやってきた理由を語った。
この辺ですでにツッコミを入れたい箇所が数か所あるんですけど、とりあえず冒険者と水龍は言葉通じないのにどうやって分かり合ったんだろうか。
「なんかな、水を操る力が弱すぎて一族を追放されたらしい、そこに秋のダンジョンの噂を聞いて、冒険者がたくさんいるなら自分を殺してくれるんじゃないかと思って来たらしい」
追放&自殺志願の水龍。
改心させたら子分になって、今はダンジョン帰りの冒険者に温水シャワーをかけるアルバイトで生計を立てている……ラノベが一本出来そうな半生ですね。
優しい世界で何よりです。
「それを聞いた弟の一人が離宮を抜け出して会いに行ったみたいでさ、意気投合してた」
ああそう言えばドラゴンか龍を欲しがっていた子いたなぁ。
「今じゃ皇族が経営する大衆浴場として大人気、酒場と隣接してるからビールがよく出る」
「水龍を下したヨムには感謝しかないな、おかげでダンジョン経営も安定している」
そう言ってによによするアー君がやっているのは学園で出た宿題、ではなく酒場で出すおつまみなどの新メニューのアイデア練り。
宿題はやったのだろうか。
「しかも利用者は人間だけじゃないんだ、仕事終わりの牛の群れとか、トレントとか色々な種族に大人気。むしろ一頭じゃ手が回らなくなってきてるんだ。な、アー君」
「うん、仕事を減らそうと思って冒険者にクリーン使えって言ったらブーイングが凄かった」
冒険者との距離が近すぎて苦情がダイレクトにアー君にいくから大変だね。
「だから次の休み、ヨムと水龍狩り行ってくる」
「追放された水龍を保護する名目で働かせるんだ! 数が増えればいつか三食昼寝付き!」
現在ブラック、将来アットホームな職場になる予定?
でも確かに水龍君一人で回している現在、休みどころかお昼寝も出来ないよね。
連日腕に覚えのある冒険者が通い、日々帝国の食卓へ食糧を届けて――いないんです。
ダンジョンで採れる食べ物を帝国に売るはずだったんじゃぁ?
「現状、街と冒険者の間で消費しきっているんだ。余剰がほとんどない、やっぱり森の難易度が高いのが原因かな、あとランクが高くて美味いからあいつら残さないんだ」
「冒険者のレベル、だいぶ上がったと思ったんだけどな~、魚なら俺が行けばどうにでもなるけど、毎日行くほど暇じゃないからなぁ」
真面目に考察しているものの、アー君の心は秋の味覚に染まってしまっているんだろう、手元にある紙には大根おろしが添えられた焼きさんまが描かれている。
夕食に出してあげよう。
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