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第二章 籠の中の鳥は優しい光を浴びる
第7話
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その後、学校の帰り道でも颯希は視線を感じるようになった。でも、振り返っても特に怪しい人はいない。辺りを見渡すが、犬の散歩中の女性や大学生ぐらいの学生。
「あれ?」
その時、颯希は一人の人物が自分の目を捉えた。
「あの人……」
後ろ姿なので男か女かは分からない。でも、この少し暖かくなってきた時期に黒のパーカー着ていること自体は不思議ではないが、フードを被っていることに違和感を覚えた。
「……暑くないのですかね?」
そんな疑問を感じたが、時に気にすることなく家へと帰っていった。
家へ帰ると、佳澄が顔を出す。
「おかえりなさい、颯希。……ここのところ元気がないように見えるけど、大丈夫?」
颯希の様子を心配して佳澄が声を掛ける。
「うん、大丈夫なのですよ!あっ!夕飯までに宿題を仕上げてしまうのです!」
颯希が気付かれないように元気な声を出す。でも、その様子が無理しているように見えて佳澄は気になったが、思春期だしいろいろと思うことがあるかもしれないと思い、それ以上は聞くことはしなかった。
颯希は部屋に入ると、宿題に取り掛かる。でも、心の中ではあの視線のことが気になっていた。気のせいならいいが、もしかしたら気のせいではないのかもしれない。
そんなことをぐるぐると考えながら宿題を進めていった。
その頃、理恵は母親が仕事に行ったことを確認すると、家にある洗剤や掃除用の薬品を部屋に持ち込んだ。そして、この前ネットで調べた『毒』を作っていく。
(お母さんなんか、いなくなっちゃえばいいんだ……)
心の中でそう呟きながら毒をネットの通りに作っていく。その瞳は暗い闇を抱えながら不気味に笑っていた……。
「視線……?」
夕飯が終わり、颯希は透の部屋に来ていた。透に最近視線を感じることを話す。その話を聞いて透が不思議そうな声を出した。
「気のせいならいいが、そう何度も感じるとなるとちょっと心配だな……」
「でも、振り返っても特に怪しい人はいなのですよ……」
颯希が不安そうな声を出す。透は何かを考えている様子だった。そして、何かを思い出したのか、言葉を口にする。
「なぁ、確かその凛花って子が襲われた事件は今のところ『無差別殺人未遂事件』として調べてるんだよな?もしかしたら、無差別だとしても犯人がターゲットにしているのは『元気で明るい子』かもしれない……。まぁ、あくまでこれは俺の推測だけど、もしそういう子をターゲットにしているのだとしたら気を付けろよ。場合によっては颯希が次のターゲットとして狙われている可能性もあるからな……」
透の言葉に颯希は恐怖感を覚える。透から対策として、あまり一人にならないようにというアドバイスを貰う。颯希はその言葉を受け取ると部屋に戻っていった。
理恵は生成した毒を母親がよく飲んでいる焼酎に数滴入れた。母親は仕事から帰ってくると、仕事のストレスからか焼酎を飲む習慣が身に付いている。それに、アルコールなら僅かに匂いを放っている毒も気付かれにくい可能性がある。
毒を入れ終わると、焼酎をいつもの場所に戻し、部屋に戻った。
「これで、お母さんの束縛から解放される……」
そう小さく呟きながら、ベッドに潜り込んだ。
理恵の中で、自分のしていることが犯罪だという意識はなかった。母親に束縛されて、父親は家を出て行き、学校に行けばいじめられる……。そんな環境が理恵の心を蝕み、正常な判断ができなくなっていく……。
ただ、解放されたいという感情だけで、心はとっくに壊れていた……。
深夜、家の前に救急車が止まった。
一人の女性が担架に乗せられて運ばれていく。
理恵は深く眠っていて、自分の家に救急車が来たことに気付かなかった……。
「あれ?」
その時、颯希は一人の人物が自分の目を捉えた。
「あの人……」
後ろ姿なので男か女かは分からない。でも、この少し暖かくなってきた時期に黒のパーカー着ていること自体は不思議ではないが、フードを被っていることに違和感を覚えた。
「……暑くないのですかね?」
そんな疑問を感じたが、時に気にすることなく家へと帰っていった。
家へ帰ると、佳澄が顔を出す。
「おかえりなさい、颯希。……ここのところ元気がないように見えるけど、大丈夫?」
颯希の様子を心配して佳澄が声を掛ける。
「うん、大丈夫なのですよ!あっ!夕飯までに宿題を仕上げてしまうのです!」
颯希が気付かれないように元気な声を出す。でも、その様子が無理しているように見えて佳澄は気になったが、思春期だしいろいろと思うことがあるかもしれないと思い、それ以上は聞くことはしなかった。
颯希は部屋に入ると、宿題に取り掛かる。でも、心の中ではあの視線のことが気になっていた。気のせいならいいが、もしかしたら気のせいではないのかもしれない。
そんなことをぐるぐると考えながら宿題を進めていった。
その頃、理恵は母親が仕事に行ったことを確認すると、家にある洗剤や掃除用の薬品を部屋に持ち込んだ。そして、この前ネットで調べた『毒』を作っていく。
(お母さんなんか、いなくなっちゃえばいいんだ……)
心の中でそう呟きながら毒をネットの通りに作っていく。その瞳は暗い闇を抱えながら不気味に笑っていた……。
「視線……?」
夕飯が終わり、颯希は透の部屋に来ていた。透に最近視線を感じることを話す。その話を聞いて透が不思議そうな声を出した。
「気のせいならいいが、そう何度も感じるとなるとちょっと心配だな……」
「でも、振り返っても特に怪しい人はいなのですよ……」
颯希が不安そうな声を出す。透は何かを考えている様子だった。そして、何かを思い出したのか、言葉を口にする。
「なぁ、確かその凛花って子が襲われた事件は今のところ『無差別殺人未遂事件』として調べてるんだよな?もしかしたら、無差別だとしても犯人がターゲットにしているのは『元気で明るい子』かもしれない……。まぁ、あくまでこれは俺の推測だけど、もしそういう子をターゲットにしているのだとしたら気を付けろよ。場合によっては颯希が次のターゲットとして狙われている可能性もあるからな……」
透の言葉に颯希は恐怖感を覚える。透から対策として、あまり一人にならないようにというアドバイスを貰う。颯希はその言葉を受け取ると部屋に戻っていった。
理恵は生成した毒を母親がよく飲んでいる焼酎に数滴入れた。母親は仕事から帰ってくると、仕事のストレスからか焼酎を飲む習慣が身に付いている。それに、アルコールなら僅かに匂いを放っている毒も気付かれにくい可能性がある。
毒を入れ終わると、焼酎をいつもの場所に戻し、部屋に戻った。
「これで、お母さんの束縛から解放される……」
そう小さく呟きながら、ベッドに潜り込んだ。
理恵の中で、自分のしていることが犯罪だという意識はなかった。母親に束縛されて、父親は家を出て行き、学校に行けばいじめられる……。そんな環境が理恵の心を蝕み、正常な判断ができなくなっていく……。
ただ、解放されたいという感情だけで、心はとっくに壊れていた……。
深夜、家の前に救急車が止まった。
一人の女性が担架に乗せられて運ばれていく。
理恵は深く眠っていて、自分の家に救急車が来たことに気付かなかった……。
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