ファクト ~真実~

華ノ月

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最終章 愛されていた鳥

第17話

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 部屋の窓から見えた人物に賀川がそう声を上げる。

(なんであいつらがここにいるんだ……?)

 賀川が疑問に思いながらそう心で呟く。

 その時だった。


 ――――ピンポーン……。


 部屋のチャイムが鳴り響く。

「……誰だ?」

 賀川がそう呟き、玄関の扉にあるドアアイから誰が来たかを確認する。

「……なっ?!」

 訪ねてきた人物に賀川が驚きの声を出す。


 ――――ガターンっ!!!


 あまりに意外な人物が尋ねてきたので驚きのあまり、何かに躓いて転倒してしまった。



「……なんか違うな……」

 男がそう言いながらパソコンの画面とにらめっこをする。長い時間何かを打ちこんでいる感じだが、書いては消してを繰り返している。

「はぁ……」

 男はそうため息を吐くと、パソコンの電源を切り、煙草を吸いながらベッドに仰向けになる。

「何やってんだか……」

 男がそうポツリと呟く。

「気分転換に散歩でも行くか……」

 男がそう言って、いつものようにサングラスをかけると、外に出て行った。



「奏ちゃん♪今日は良かったら外でランチをしましょうよ♪」

 冴子が書類整理している奏にそう声を掛ける。

「いいですね。はい!よろしくお願いします!」

 奏が嬉しそうにそう言葉を綴る。

「じゃあ、キリが良いところで外にランチ行きますか♪」

「はい!」

 こうして、奏と冴子は書類整理のメドが付いたら外に行くことになった。



「……ここだな」

 紅蓮がアパートを見上げながらそう呟く。

「あぁ。管理人の話だとそこの201号室だ」

 透がそう声を発する。

「じゃ♪行きますか♪」

 紅蓮がそう言って、201号室のチャイムを鳴らす。

 しかし、相手からの応答がない。

 その時だった


 ――――ガターンっ!!!


 部屋の中から音が響く。

「……いるな」
「あぁ」

 槙の言葉に透が応える。

「すみませーん!開けてくれませんかー?」

 紅蓮がドアを叩きながらそう声を発する。

 しばらく待っていると、部屋のドアが開き、賀川が顔を出す。

「どうも~♪」

「あ……あの……」

 たじろぐ賀川に紅蓮は軽快な口調で声を発する。その傍には透と槙が佇んでいる。

「な……何の御用でしょうか……?」

 賀川が恐る恐る口を開く。

「警察のものですが、ちょっと、お聞きしたおことがありましてね♪上がらせてもらっていいでしょうか?♪」

 紅蓮が軽快な口調のままそう言葉を綴る。

「そ……それは……」

 賀川が困ったような声で言う。

「あんただよな?『女神の従者』って」

「?!」

 槙の言葉に賀川が驚きの顔をする。

「その関連で話があります。ここでも良いですが、どうしますか?」

 透がそう言葉を綴る。

 その言葉に賀川が顔を歪ませる。

 それもそのはずだった。賀川のやっていることがこんな玄関口で誰かに聞かれたら、何を言われるか分からない。場合によってはアパートを追い出される。

「ど……どうぞ……」

 賀川が顔を歪ませたまま透たちにそう声を掛ける。

 部屋に入ると、ビールの缶やお菓子の袋が散乱していた。

「……朝から飲んでいたのか?」

 槙が部屋の状況を見てそう声を発する。

「あんたには関係ないだろ……」

 賀川が怒気を含みながら唸るように言葉を返す。

「ちなみに今日は平日だけど、仕事は?」

「……」

 紅蓮の問いに賀川は答えない。黙りこくったまま、顔を背ける。

「もしかして、辞めたんですか?」

「っ……!!」

 透の言葉に賀川が声を詰まらす。

「この部屋の状況からだと、辞めたというより、辞めさせられてやけ酒したって感じですね」

「?!」

 透の言葉に賀川は驚きの表情をする。その表情から「なぜ分かった?!」と言うのが見て取れる。

「……図星みたいだな」

 槙が呆れ果てたように言う。

「どうせ、まともに仕事をしていなかったんだろ」

「なっ?!てめぇ……」

 槙の言葉に賀川が体を震わせながら低い声で唸る。

「槙……、言葉の使い方は気を付けた方がいいぞぉ~……」

 紅蓮が困った笑い顔でそう窘める。

「実際は何があったんですか?」

 透が賀川にそう尋ねる。

「もし、辞めさせられた理由によっては訴えることも可能になります。そこのところはどうなんですか?」

「そ……それは……」

 透の言葉に賀川がそこまで言って言葉を詰まらす。

 体調不良と言って早退したのに、奏と会っていたことが原因だとは言えない。今回のクビは自分が招いた種だ。ちゃんと考えれば、仕事なのに嘘を付いて女性に会いに行くというのは、身勝手な行動だ。

「その……」

 賀川がそう言ってどうしてそうなったかを話し始めた。


「……成程。それでそう言う輩は要らないと言われてクビになったというわけですね?」

 話を聞いた透がそう言葉を綴り、賀川が頷く。

「確かに身勝手な言い分にはなるな。仕事なのに奏と会うために早退したとなると、相手から見たら何をやっているんだという感じにはなる」

 槙が若干呆れ果てたようにため息を吐きながらそう言葉を綴る。

「そ……それより、俺にいったい何の用なんだ……?」

 賀川がそう言葉を発する。

 確かに「女神たちの集い」と言うサイトで「女神の従者」と名乗り、コメントは投稿していたが、何かそれで問題を起こしたわけではない。それなのに、警察がなぜ訪ねてきたのかが分からない。

「実は、君に頼みたいことがあるんだ」

「頼みたいこと?」

 紅蓮の言葉に賀川が頭にはてなマークを浮かべる。

「あぁ。実は――――」

 そう言って紅蓮がある事を話す。

「――――そ……それって……」

 賀川がその話を聞いて、愕然とした表情をする。

「勿論、無理にとは言いません。あくまでお願いしたいという話です」

 透の言葉に賀川は何も答えない。

「まっ♪協力したら奏ちゃんも何か感謝の言葉を述べてくれるかもしれないけどな♪」

 紅蓮が軽快な口調でそう言葉を綴る。

「そうだな。奏なら笑顔で感謝の言葉を言うだろうな」

 更に槙もそう言葉を綴る。

 賀川がその言葉に悩む。

 そして……。


「分かった……。やってやるよ……」


 賀川がそう言葉を発する。

「よし♪決まりだな♪」

 紅蓮がそう言葉を発する。

「じゃあ、槙。よろしく頼むぞ?」

「了解」

 透の言葉に槙がそう返事をする。

「ちょっとパソコンを借りるぞ」

 槙がそう言って賀川のパソコンにあるものを取り付ける。

「何をしているんだ……?」

 その行動に賀川が不思議そうにそう声を発する。

「ちょっと敵さんの様子を探るだけだよ♪」

 紅蓮がそう言葉を綴る。

 そして、槙がパソコンの電源を入れて何かを捜査し出す。画面にはいくつかの英語で書かれた文字が並び、いろんなウインドウが画面を駆け巡る。

「……出来たぞ」

 しばらくして、槙がそう声を出す。

「じゃあ、賀川さん。後は手順通りに頼みますね」

 透の言葉に賀川が頷く。

 そして、作戦の第一段階を終えて、透たちは賀川のアパートを後にした。



「……あれは?!」


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