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最終章 愛されていた鳥
第13話
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工場の一角にある作業場で賀川が作業をしていると、同じ職場の男が賀川にそう声を掛ける。賀川はそれに返事をすると、作業場を離れてある一室に向かう。
(なんだろう?今日は早退するとは言っていないし、作業でも特に問題ないはずだし……)
賀川が呼ばれた部屋に向かいながら心であれこれと色々考える。
「し……失礼します……」
賀川がそう言いながらある部屋の扉を開ける。
「来たか……」
上司が部屋にやって来た賀川を見てそう声を発する。
そして、その部屋には上司だけではなく、辻木までいる。
(なんで辻木が?作業で何かあったのか??)
その場に辻木もいることから作業で何かミスがあったのかもしれないと内心不安になりながら上司の言葉を待つ。
「体調はどうなんだ?」
上司がそう言葉を発する。
「え?あ……はい、もう大丈夫です」
賀川が戸惑いながらそう答える。
どうやら作業で何かミスをして咎められるわけじゃないと分かり、内心ホッとする。だが、体調の事だけなら辻木がなぜここにいるのかが分からない。
「……本当に体調不良だったのか?」
上司が睨みつけるように強く言葉を発する。
「え……?」
その言葉に賀川が戸惑う。
「本当に昨日は体調不良で早退したのかと聞いているんだ」
「は……はい……」
上司の言葉に賀川がたじろぎながら答える。
「……そうか。辻木、昨日見たことを話せ」
「はい。昨日、夕方の六時ごろに賀川が女性とカフェでお茶をしている場面を見ました。賀川は体調不良ということで早退したはずなのに、カフェでの賀川は調子よく、楽しそうに話していました。体調が悪いというのは微塵も感じさせないほど元気が良かったです」
「……と、いう事なんだが、この件について説明してもらおうか?」
辻木が話し終わり、上司から鋭い目つきでそう問いただされる。
「そ……その……」
賀川は真っ青になりながら小刻みに震えている。何かを言おうとしても言葉が上手く出てこない。
「仮病まで使って女と会うとは大した度胸だな、賀川」
上司が睨みつけながらそう言葉を綴る。
「それは……その……」
賀川が何かうまくこの場を切り抜けられる方法を考えるが何も思いつかない。
「悪いが、君のような人を騙す人間をこれ以上ここに置いとく訳には行かない。君は今日限りで契約終了だ」
「そ……そんな!!」
上司から事実上のクビを言い渡されて賀川が声を上げる。
「ロッカーに入っている荷物を持って今から退社しろ。いいな?」
上司がそう言って、部屋を出て行こうとする。
「ま……待ってください!!俺、生活が懸かっているからクビになったら生活が……!!」
賀川が叫ぶように上司に懇願する。
「それは知った事ではない。次の仕事先を見つければいいだろう」
上司がそう言葉を放ち、部屋を出て行く。
「……ざまあみろ」
辻木が小さな声でそう呟く。
「え……?」
「嘘ついてまで女と会っているからこんな目に遭うんだ。仕事をクビになったってその女も知ったら距離を置かれるだろうな」
辻木が吐き捨てるようにそう言葉を綴る。
「つ……辻木……。なんで……?」
仲が良かったはずの辻木に裏切られたような感覚に陥り、賀川がそう声を絞り出す。
「お前みたいな奴にあんな女が釣り合うかよ?!」
辻木が恨みながら低い声でそう言葉を吐く。
「俺よりブ男のくせにいい気になってんじゃねぇ!!」
辻木がそう叫ぶように言うと、そのまま部屋を出て行く。
賀川はその場に一人残されて、顔を真っ青にしながらしばらくの間、立ち尽くしていた。
(さて、どう過ごそうかな……?)
男がタバコを吸いながら今日をどうやって過ごすかを考える。
(少し出掛けるか……)
男はそう言うと、サングラスをして部屋を出て行く。
適当に街をぶらつきながら、時折、本屋に足を運んだりして何か面白そうな本がないかを探す。でも、特にこれと言ったのが無いので本屋を出て、また当てもなくぶらぶらと街を歩く。
その時だった。
「あれは……?」
前方に見える人物を見て男が足を止める。
その人物は賀川だった。大きな紙袋を提げて、立ち尽くしている。作業着姿であることから「仕事中なのでは?」と推測するが、会社は塩浜にあるからこんな時間にこの場所にいることはあり得ないはずだと思い、不思議そうに賀川の様子を眺める。
様子を見ていると、賀川はポケットからスマートフォンを取り出し、誰かに電話を掛けているのが確認できた。
「出ないか……。仕事中かな……?」
賀川がそう言ってポケットにスマートフォンを突っ込む。そして、とぼとぼと帰り道を歩く。その時に男とすれ違うが、賀川はその男に気に留めることなく歩く。
(明日からどうしたらいいんだろう……)
歩きながらそう考える。
(次の仕事……見つかるかな……?)
途方に暮れながらアパートに向って歩くが、その足取りは重い。そして、部屋に着くと、布団の上に倒れ込む。
「また、あそこに行ったら女神に会えるかな……?」
賀川はそうポツリと呟いた。
「さて、どうやって犯人を見つけるかだな……」
透がそう言葉を発する。
特殊捜査室では小川を殺害した犯人をどうやって見つけるかを話し合っていた。
「手掛かりも特に無し……。目撃情報も無し……。どうすっかな……?」
紅蓮が困ったようにそう言葉を綴る。
その時だった。
――――トゥルル……トゥルル……。
奏のスマートフォンが誰かからの着信を告げる。奏は相手が誰かを確認するためにスマートフォンを見ると、表示された名前を透たちに告げた。
「……賀川さんからです」
「「「え?」」」
奏の言葉に透たちが声を出す。
「とりあえず、出るのは止めておきなさい。そのまま放置しておきましょう」
冴子の言葉で奏は電話に出ずにそのまま鳴り止むのを待つ。
――――トゥルル……トゥルル……トゥル……。
しばらくして、電話が鳴り止む。
「……やれやれ、かなりコール音が続いていたな」
紅蓮が呆れ果てたようにそう言葉を綴る。
「出るまでは諦めないという感じだったな」
槙が淡々と言う。
「諦めが悪いというかなんというか……。さっきのコール音はちょっと行き過ぎだったな」
紅蓮がため息を吐きながらそう言葉を綴る。
「あ……そうだ!」
紅蓮が何かを思いついたのかそう声を発する。
「なぁなぁ!イイこと思い付いちゃった♪」
紅蓮がそう言ってにんまりと笑った。
(なんだろう?今日は早退するとは言っていないし、作業でも特に問題ないはずだし……)
賀川が呼ばれた部屋に向かいながら心であれこれと色々考える。
「し……失礼します……」
賀川がそう言いながらある部屋の扉を開ける。
「来たか……」
上司が部屋にやって来た賀川を見てそう声を発する。
そして、その部屋には上司だけではなく、辻木までいる。
(なんで辻木が?作業で何かあったのか??)
その場に辻木もいることから作業で何かミスがあったのかもしれないと内心不安になりながら上司の言葉を待つ。
「体調はどうなんだ?」
上司がそう言葉を発する。
「え?あ……はい、もう大丈夫です」
賀川が戸惑いながらそう答える。
どうやら作業で何かミスをして咎められるわけじゃないと分かり、内心ホッとする。だが、体調の事だけなら辻木がなぜここにいるのかが分からない。
「……本当に体調不良だったのか?」
上司が睨みつけるように強く言葉を発する。
「え……?」
その言葉に賀川が戸惑う。
「本当に昨日は体調不良で早退したのかと聞いているんだ」
「は……はい……」
上司の言葉に賀川がたじろぎながら答える。
「……そうか。辻木、昨日見たことを話せ」
「はい。昨日、夕方の六時ごろに賀川が女性とカフェでお茶をしている場面を見ました。賀川は体調不良ということで早退したはずなのに、カフェでの賀川は調子よく、楽しそうに話していました。体調が悪いというのは微塵も感じさせないほど元気が良かったです」
「……と、いう事なんだが、この件について説明してもらおうか?」
辻木が話し終わり、上司から鋭い目つきでそう問いただされる。
「そ……その……」
賀川は真っ青になりながら小刻みに震えている。何かを言おうとしても言葉が上手く出てこない。
「仮病まで使って女と会うとは大した度胸だな、賀川」
上司が睨みつけながらそう言葉を綴る。
「それは……その……」
賀川が何かうまくこの場を切り抜けられる方法を考えるが何も思いつかない。
「悪いが、君のような人を騙す人間をこれ以上ここに置いとく訳には行かない。君は今日限りで契約終了だ」
「そ……そんな!!」
上司から事実上のクビを言い渡されて賀川が声を上げる。
「ロッカーに入っている荷物を持って今から退社しろ。いいな?」
上司がそう言って、部屋を出て行こうとする。
「ま……待ってください!!俺、生活が懸かっているからクビになったら生活が……!!」
賀川が叫ぶように上司に懇願する。
「それは知った事ではない。次の仕事先を見つければいいだろう」
上司がそう言葉を放ち、部屋を出て行く。
「……ざまあみろ」
辻木が小さな声でそう呟く。
「え……?」
「嘘ついてまで女と会っているからこんな目に遭うんだ。仕事をクビになったってその女も知ったら距離を置かれるだろうな」
辻木が吐き捨てるようにそう言葉を綴る。
「つ……辻木……。なんで……?」
仲が良かったはずの辻木に裏切られたような感覚に陥り、賀川がそう声を絞り出す。
「お前みたいな奴にあんな女が釣り合うかよ?!」
辻木が恨みながら低い声でそう言葉を吐く。
「俺よりブ男のくせにいい気になってんじゃねぇ!!」
辻木がそう叫ぶように言うと、そのまま部屋を出て行く。
賀川はその場に一人残されて、顔を真っ青にしながらしばらくの間、立ち尽くしていた。
(さて、どう過ごそうかな……?)
男がタバコを吸いながら今日をどうやって過ごすかを考える。
(少し出掛けるか……)
男はそう言うと、サングラスをして部屋を出て行く。
適当に街をぶらつきながら、時折、本屋に足を運んだりして何か面白そうな本がないかを探す。でも、特にこれと言ったのが無いので本屋を出て、また当てもなくぶらぶらと街を歩く。
その時だった。
「あれは……?」
前方に見える人物を見て男が足を止める。
その人物は賀川だった。大きな紙袋を提げて、立ち尽くしている。作業着姿であることから「仕事中なのでは?」と推測するが、会社は塩浜にあるからこんな時間にこの場所にいることはあり得ないはずだと思い、不思議そうに賀川の様子を眺める。
様子を見ていると、賀川はポケットからスマートフォンを取り出し、誰かに電話を掛けているのが確認できた。
「出ないか……。仕事中かな……?」
賀川がそう言ってポケットにスマートフォンを突っ込む。そして、とぼとぼと帰り道を歩く。その時に男とすれ違うが、賀川はその男に気に留めることなく歩く。
(明日からどうしたらいいんだろう……)
歩きながらそう考える。
(次の仕事……見つかるかな……?)
途方に暮れながらアパートに向って歩くが、その足取りは重い。そして、部屋に着くと、布団の上に倒れ込む。
「また、あそこに行ったら女神に会えるかな……?」
賀川はそうポツリと呟いた。
「さて、どうやって犯人を見つけるかだな……」
透がそう言葉を発する。
特殊捜査室では小川を殺害した犯人をどうやって見つけるかを話し合っていた。
「手掛かりも特に無し……。目撃情報も無し……。どうすっかな……?」
紅蓮が困ったようにそう言葉を綴る。
その時だった。
――――トゥルル……トゥルル……。
奏のスマートフォンが誰かからの着信を告げる。奏は相手が誰かを確認するためにスマートフォンを見ると、表示された名前を透たちに告げた。
「……賀川さんからです」
「「「え?」」」
奏の言葉に透たちが声を出す。
「とりあえず、出るのは止めておきなさい。そのまま放置しておきましょう」
冴子の言葉で奏は電話に出ずにそのまま鳴り止むのを待つ。
――――トゥルル……トゥルル……トゥル……。
しばらくして、電話が鳴り止む。
「……やれやれ、かなりコール音が続いていたな」
紅蓮が呆れ果てたようにそう言葉を綴る。
「出るまでは諦めないという感じだったな」
槙が淡々と言う。
「諦めが悪いというかなんというか……。さっきのコール音はちょっと行き過ぎだったな」
紅蓮がため息を吐きながらそう言葉を綴る。
「あ……そうだ!」
紅蓮が何かを思いついたのかそう声を発する。
「なぁなぁ!イイこと思い付いちゃった♪」
紅蓮がそう言ってにんまりと笑った。
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