ファクト ~真実~

華ノ月

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最終章 愛されていた鳥

第7話

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 賀川が仕事場の休憩がてら外に出てきてスマートフォンで時間を確認しながら何かの計画を練る。

(準備はした……。後は行動に移すだけだ……)

 賀川がそう心で呟く。

 そして、休憩が終わると同時に上司のところに向かうと、「体調が悪いから早退する」と言って会社を出た。



「……ただいま戻りました」

 奏たちが特殊捜査室に戻って来てそう冴子に伝える。

「お疲れ、どうだった?」

 冴子がみんなのコーヒーを入れながらそう尋ねる。

「特に収穫はありませんでした。分かったのは小川が生活保護を受けていることと、どうやら以前にもストーカー行為のようなことをしていて警察の厄介になったことがあるというだけです」

 透が冴子からコーヒーを受け取りながら、そう説明する。

「じゃあ、事件の手掛かりはないというわけね……」

「はい……、そうなります……」

 奏も冴子からコーヒーを受け取り、そう答える。

「困ったわね……。犯人の手掛かりゼロ……か……」

 冴子がため息を吐きながらそう言葉を綴る。

「とりあえず、時間も時間だし今日はみんな上がるといいわ。また明日捜査をしましょう」

 冴子の言葉にそれぞれが返事をして、帰りの支度を始める。

「奏ちゃんはちゃんとバスで帰るのよ?」

「はい、分かりました」

 冴子の言葉に奏が素直に返事をする。

 そして、署を出たところで透たちと別れた。



「……退屈だな」

 男がベッドの上でタバコを吹かしながらそう呟く。

 男はすることが無くて、怠惰な生活を送っていた。結音の作品もほぼ全部読み終わってしまい、他にすることが特に無い。

(……そういえば、奏は何の仕事をしているんだろう……?)

 ふと、その事が気になり考える。しかし、詮索はしないでおこうと思い、その考えを振り払う。そして、退屈しのぎに出かけようと考え、ベッドから起き上がり、服を着替えてサングラスをかけると外に繰り出した。



「うーん……。時間までどうしようかな?」

 奏がバス停までの道をテコテコと歩きながらそう呟く。

 バスが来る時間まではまだかなりの時間がある。だからと言って下手にあちこち回って乗り遅れたら余計に帰りが遅くなる。

(とりあえず、バスを大人しく待っていようかな?)

 そんな事を考えながら、歩いている時だった。


 ――――ドンッ!!


「きゃっ!!」

 突然曲がり角から出てきた一人の男にぶつかり声を上げる。

「す……すみません!!」

 奏が慌てて男に謝りながら頭を下げる。

「いえ、大丈夫ですよ。っつ……!!」

「大丈夫ですか?!」

 男が痛そうな声を上げたので奏が慌てながらそう尋ねる。

 よく見ると、男の左腕から血が滲んでいるのが見える。

「大変です!もしかしてぶつかった拍子にどこかにぶつけましたか?!」

 奏が慌ててハンカチを取り出し、血がにじんでいる部分を止血するためにそこをハンカチで縛る。

「……すみません。ハンカチが……」

 男がそう言ってお詫びの言葉を述べる。

「いえ!私がよそ見をしていてぶつかってしまったので!!」

 奏が慌てながらそう言葉を綴る。

「ですが……」

 奏と男のやり取りが続く。

 その様子を一人の人物がじっと眺めていた。



(さて、どこにいこうかな……?)

 男がそう考えながら適当に道を歩く。

「……あれ?」

 前方に奏の姿を捉えて小さく声を出す。影に隠れるようにその様子を伺う。一人の男が奏と話していて、何かのやり取りをしている。そして、男が奏に小さな紙のようなものを渡し、奏が何かをそこに書き込む。そして、その紙を男が受け取り、男は去って行く。そして、奏はやって来たバスに乗り込んでいった。

(何をしていたんだろう……?)

 奏と男のやり取りの状況が分からずに男が首を傾げる。しかし、奏がバスに一人で乗り込んだことから特に問題は無いと判断して、男はその場を離れていった。



「――――て、思うのだけど……」

 署の屋上で冴子がベンチで缶コーヒーを飲みながらそう言葉を綴る。

「まぁ、あり得る話だな……」

 その言葉に冴子の隣に座る本山がそう答える。

「私たちで極秘で捜査してみない?」

「そうだな……」

 冴子の言葉に本山がそう言い、二人である件を極秘捜査することにした。



「……さて、どうするかな?」

 男が部屋に戻ってきて、買ってきたハイボール缶とつまみ用に買ってきたあたりめの封を開けて食べ始める。ただ、それでは手持無沙汰なのでパソコンを起動して適当にネットでニュースを読み始める。

(あ……そうだ……)

 ふと、例のサイトのことを思い出し、そのサイトを開けてみる。

「……これは?!」


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