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第六章 飛べない鳥は深い穴に落ちる
第9話
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「……うん。どうしてそうなったかは分からないけど、お姉ちゃんはお父さんの事が嫌だって言ってた……」
奏が瑠香は父親の事をどう思っているのかを聞いたら裕二からそう言葉が返ってきた。
「そう……。裕二君は瑠香ちゃんが何でお父さんの事が嫌なのかを聞いたことはない?」
「……聞いたことはない……けど……」
裕二がそこまで言って言葉を詰まらす。
「どうしたの?」
奏が裕二にそう尋ねる。
「その……、一度だけ、お姉ちゃんがお父さんの部屋から飛び出してきたことはあるんだ……。その時、お姉ちゃんタオルケットのようなものを羽織っていたけど、下着姿だったような気がする……」
「え……?」
裕二の言葉に奏が愕然と声を出す。
やはり、奏が推測したことが当たっているのかもしれないと恐怖に感じる。
「……その時のお姉ちゃん、顔がすごく辛そうで泣きそうな顔してたんだ。僕が「大丈夫?」って声を掛けたら、お姉ちゃん、何も言わずに自分の部屋に行っちゃったんだ……」
裕二が辛そうな表情でそう言葉を綴る。
「裕二君、話してくれてありがとう。ごめんね、辛いことを話させて……」
奏がそう優しく微笑みながら言葉を綴る。
これ以上聞き出すのは酷だと思い、裕二は部屋に戻るために静木が連れていく。奏と透はその面会室で待機することになり、静木が戻ってくるのを待つことになった。
「……どう思う?」
透がそう声を出す。
「そうですね……。父親である元樹さんが瑠香さんに何かをしていたことは確実でしょう……」
「元樹は機器の開発者だから、もしかしたら何かを開発してその性能を試すために瑠香を被験者にしていた可能性もあるだろうな……」
透の言葉に奏が頷く。
もしかしたら、「性能を試すため」と言って、何か猥褻な行為もしていた可能性もある。義理の父親とはいえ年頃である瑠香を下着姿にさせて何かをさせられていたのだとしたら、それは瑠香にとって屈辱のようなものではなかっただろうか……。
瑠香の気持ちを考えると苦しさで溢れかえる……。
「……あ」
そんな事を考えていると、一つのある事が思い浮かぶ。
「どうした?」
透が突然声を出した奏にそう声を発する。
「瑠香ちゃんのお母さん……文代さんはこの事を知っていたのでしょうか……?」
「え……?」
奏の言葉に透が声を出す。
「……そうか、もし母親がこの事を知って瑠香を守るために元樹を殺したのだとしたら……」
「はい……。元樹さんを殺したのは文代さんかもしれません……。しかし、その時に何かが起こって文代さんも亡くなった……」
透の言葉を奏が受け継ぎそう言葉を綴る。
「現場写真をもう一回見直してみるか……」
「はい……」
透の言葉に奏が頷く。
「お待たせしました」
そこへ、静木が面会室に戻ってきた。
「先程は驚きました……。瑠香ちゃんが父親からそんな目に遭わされていたなんて……。だから、古賀さんに肩を触れられた時にあんな状態になったのかもしれませんね……」
静木が苦しそうな顔でそう言葉を綴る。
「また話を聞きに来ると思うので、その時はよろしくお願いします」
奏がそう言葉を綴り、透と共に施設を後にした。
「……いい実験体がいる?」
男の言葉に紅蓮が訝しげな顔をしながらそう言葉を綴る。
紅蓮と槙は元樹が所属していた開発部の加賀という男とコンタクトが取れたので、話を聞くことになった。
場所は加賀がよく行く喫茶店を指定してきたのでそこに二人で赴いた。
「えぇ。なんか触手実験でいい実験体がいるからその子に協力してもらっているって言っていました。でも、会社ではその実験をしていなかったので自宅でしているのかなと思い、特に聞くことはしなかったんですよ。松井さんは根っからの発明者というか、ちょっと変わったところはあるけど、まぁ、悪い人では無かったと思いますよ?」
加賀がホットコーヒーを啜りながらそう言葉を綴る。
「ちなみに、会社で行っていた実験の事ですが、何かトラブルはありませんでしたか?例えば、女性の体を触ったとか……」
「うーん……。そこは何とも言えないですね……。実験上、そんな気が無くても何かの拍子に身体に触れてしまうってことはあると思いますよ?被験者は時には体に機器を張り付けたりしますから……」
紅蓮の言葉に加賀がそう答える。
「その触手実験とは一体どういうものなんですか?」
「そうですね……。恐らく触れた時の五感がしっかり備わっているかどうかとかそういった感じだと思います。その実験は感覚が集中している舌にも貼り付けるようなことは言っていましたね」
槙の言葉に加賀がそう答える。
手と舌に何かを取り付けて行う実験……。実験とはいえ、相手は溜まったものじゃないという感じなのかもしれない。でも、実験だから必要な事だと言われれば言う通りにしてしまうかもしれない……。
「性能を見るためとはいえ、それは被験者は必ずしも必要なんですか?」
紅蓮がそう言葉を発する。
「まぁ、必要ですよね。人間に使うものですから……。まぁ、向井さんに関しては嫌がっていますが、立場が向井さんの方が弱いので仕方なく従っていたのでしょう……」
加賀が淡々とそう言葉を綴る。
「ちなみに、その触手実験の実験体になっている人というのは誰か分からないんですか?」
「知らないですよ?まぁ、松井さんは身近にいるから大変便利だとは言っていましたが……。だから、奥さんじゃないでしょうか?」
紅蓮の言葉に加賀がそう答える。
その後も、何か他に気付いたことが無いかを聞いてみるが、特に無いという事だったので紅蓮と槙は喫茶店を後にする。
「……槙、今からもう一か所行くぞ?」
「何処にだ?」
紅蓮の言葉に槙が頭の上ではてなマークを出す。
「文代さんが働いていたスーパーだ」
そして、紅蓮と槙は文代が働いていたスーパーに向かって車を走らせた。
「……これが、現場写真ですね」
奏が写真を見ながらそれを一つ一つ確認していく。
奏と透は特殊捜査室に戻ると、写真の見直しに取り掛かった。現場に落ちている物が多すぎて何がヒントになるのかがよく分からない。それでも、何かヒントがあるはずだと根気よくその写真を眺めていく。
トロフィーのようなものに、ハンカチ、バラバラになったアルバム、石でできた大きなすり鉢。写真に写っている包丁を深く刺されて仰向けになっている元樹の遺体。そして、何かに頭を殴打されてうつ伏せになっている文代の遺体……。
その時だった。
「……あれ?」
奏が瑠香は父親の事をどう思っているのかを聞いたら裕二からそう言葉が返ってきた。
「そう……。裕二君は瑠香ちゃんが何でお父さんの事が嫌なのかを聞いたことはない?」
「……聞いたことはない……けど……」
裕二がそこまで言って言葉を詰まらす。
「どうしたの?」
奏が裕二にそう尋ねる。
「その……、一度だけ、お姉ちゃんがお父さんの部屋から飛び出してきたことはあるんだ……。その時、お姉ちゃんタオルケットのようなものを羽織っていたけど、下着姿だったような気がする……」
「え……?」
裕二の言葉に奏が愕然と声を出す。
やはり、奏が推測したことが当たっているのかもしれないと恐怖に感じる。
「……その時のお姉ちゃん、顔がすごく辛そうで泣きそうな顔してたんだ。僕が「大丈夫?」って声を掛けたら、お姉ちゃん、何も言わずに自分の部屋に行っちゃったんだ……」
裕二が辛そうな表情でそう言葉を綴る。
「裕二君、話してくれてありがとう。ごめんね、辛いことを話させて……」
奏がそう優しく微笑みながら言葉を綴る。
これ以上聞き出すのは酷だと思い、裕二は部屋に戻るために静木が連れていく。奏と透はその面会室で待機することになり、静木が戻ってくるのを待つことになった。
「……どう思う?」
透がそう声を出す。
「そうですね……。父親である元樹さんが瑠香さんに何かをしていたことは確実でしょう……」
「元樹は機器の開発者だから、もしかしたら何かを開発してその性能を試すために瑠香を被験者にしていた可能性もあるだろうな……」
透の言葉に奏が頷く。
もしかしたら、「性能を試すため」と言って、何か猥褻な行為もしていた可能性もある。義理の父親とはいえ年頃である瑠香を下着姿にさせて何かをさせられていたのだとしたら、それは瑠香にとって屈辱のようなものではなかっただろうか……。
瑠香の気持ちを考えると苦しさで溢れかえる……。
「……あ」
そんな事を考えていると、一つのある事が思い浮かぶ。
「どうした?」
透が突然声を出した奏にそう声を発する。
「瑠香ちゃんのお母さん……文代さんはこの事を知っていたのでしょうか……?」
「え……?」
奏の言葉に透が声を出す。
「……そうか、もし母親がこの事を知って瑠香を守るために元樹を殺したのだとしたら……」
「はい……。元樹さんを殺したのは文代さんかもしれません……。しかし、その時に何かが起こって文代さんも亡くなった……」
透の言葉を奏が受け継ぎそう言葉を綴る。
「現場写真をもう一回見直してみるか……」
「はい……」
透の言葉に奏が頷く。
「お待たせしました」
そこへ、静木が面会室に戻ってきた。
「先程は驚きました……。瑠香ちゃんが父親からそんな目に遭わされていたなんて……。だから、古賀さんに肩を触れられた時にあんな状態になったのかもしれませんね……」
静木が苦しそうな顔でそう言葉を綴る。
「また話を聞きに来ると思うので、その時はよろしくお願いします」
奏がそう言葉を綴り、透と共に施設を後にした。
「……いい実験体がいる?」
男の言葉に紅蓮が訝しげな顔をしながらそう言葉を綴る。
紅蓮と槙は元樹が所属していた開発部の加賀という男とコンタクトが取れたので、話を聞くことになった。
場所は加賀がよく行く喫茶店を指定してきたのでそこに二人で赴いた。
「えぇ。なんか触手実験でいい実験体がいるからその子に協力してもらっているって言っていました。でも、会社ではその実験をしていなかったので自宅でしているのかなと思い、特に聞くことはしなかったんですよ。松井さんは根っからの発明者というか、ちょっと変わったところはあるけど、まぁ、悪い人では無かったと思いますよ?」
加賀がホットコーヒーを啜りながらそう言葉を綴る。
「ちなみに、会社で行っていた実験の事ですが、何かトラブルはありませんでしたか?例えば、女性の体を触ったとか……」
「うーん……。そこは何とも言えないですね……。実験上、そんな気が無くても何かの拍子に身体に触れてしまうってことはあると思いますよ?被験者は時には体に機器を張り付けたりしますから……」
紅蓮の言葉に加賀がそう答える。
「その触手実験とは一体どういうものなんですか?」
「そうですね……。恐らく触れた時の五感がしっかり備わっているかどうかとかそういった感じだと思います。その実験は感覚が集中している舌にも貼り付けるようなことは言っていましたね」
槙の言葉に加賀がそう答える。
手と舌に何かを取り付けて行う実験……。実験とはいえ、相手は溜まったものじゃないという感じなのかもしれない。でも、実験だから必要な事だと言われれば言う通りにしてしまうかもしれない……。
「性能を見るためとはいえ、それは被験者は必ずしも必要なんですか?」
紅蓮がそう言葉を発する。
「まぁ、必要ですよね。人間に使うものですから……。まぁ、向井さんに関しては嫌がっていますが、立場が向井さんの方が弱いので仕方なく従っていたのでしょう……」
加賀が淡々とそう言葉を綴る。
「ちなみに、その触手実験の実験体になっている人というのは誰か分からないんですか?」
「知らないですよ?まぁ、松井さんは身近にいるから大変便利だとは言っていましたが……。だから、奥さんじゃないでしょうか?」
紅蓮の言葉に加賀がそう答える。
その後も、何か他に気付いたことが無いかを聞いてみるが、特に無いという事だったので紅蓮と槙は喫茶店を後にする。
「……槙、今からもう一か所行くぞ?」
「何処にだ?」
紅蓮の言葉に槙が頭の上ではてなマークを出す。
「文代さんが働いていたスーパーだ」
そして、紅蓮と槙は文代が働いていたスーパーに向かって車を走らせた。
「……これが、現場写真ですね」
奏が写真を見ながらそれを一つ一つ確認していく。
奏と透は特殊捜査室に戻ると、写真の見直しに取り掛かった。現場に落ちている物が多すぎて何がヒントになるのかがよく分からない。それでも、何かヒントがあるはずだと根気よくその写真を眺めていく。
トロフィーのようなものに、ハンカチ、バラバラになったアルバム、石でできた大きなすり鉢。写真に写っている包丁を深く刺されて仰向けになっている元樹の遺体。そして、何かに頭を殴打されてうつ伏せになっている文代の遺体……。
その時だった。
「……あれ?」
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