96 / 152
第五章 羽を失った鳥は猛獣をエサにする
第17話
しおりを挟む
「……零士を殺害したのは麗美ではない?」
「あぁ……」
冴子の言葉に本山がそう答える。
「先程の取り調べでな……」
そう言って本山が先程の会話を説明した。
「それは……、その……毒の入ったカプセルを零士のところにこの前のことを謝りに行った時にこっそりとサプリメントケースに忍び込ませたんです……。似たようなカプセルが入っているのを見たことがあったからそれに紛れ込ませました……。それをいつか飲んで死ねばいいって思っていたんです……。でも、その毒を使わずに零士は突き飛ばされて死んだわけですが……」
麗美が静かにそう言葉を語る。
「……しかし、毒のカプセルは一つじゃないだろ?」
「……え?」
本山の言葉に麗美がそう声を出す。
「高血圧の零士に低血圧用の血圧が上がる薬も仕込んだだろ?」
「高血圧……?」
本山の言葉に麗美が「なんの事?」と言うような顔をする。
「あんた、零士が高血圧だってことを知っていてその薬も仕込んだんじゃないのか?」
本山が「どういうことだ?」と、疑問に思いながらそう言葉を綴る。
「……零士が高血圧?……え?どういうこと??私が毒を仕込んだカプセルは一つだけよ?」
「……という事を言っていたんだ。つまり、その低血圧用の薬を仕込んだのは別の人物という事になる……」
本山が話し終わり、ため息を吐く。
「……じゃあ、零士殺しの犯人は別にいるってこと?」
冴子が驚いたようにそう言葉を綴る。
「……じゃあ、それを仕込んだのは……」
紅蓮がそう言ってある人物の名前を出す。
「だが、今のところ、零士とその人の接点は見つかっていない……」
透が神妙な顔でそう言葉を綴る。
「……とりあえず、その二人の接点を探ってみましょう……」
冴子の言葉で今度はその二人の接点を探る事になった。
翌日、奏たちは二人の接点を探るために、零士が勤めていたクラブに向かった。そこである人物の事を聞いてみる。
「あぁ……、知っていますよ。零士はこの子の事気に入っていましたから……」
あるホストにその人物と零士の接点がある事を教えて貰い、奏たちは驚きを隠せない。
「それに、その子って確か……」
そのホストがある話を奏たちに聞かせる。
「……じゃあ、まさか金森さんの言っていた人って……」
話を聞いて奏がそう呟く。
「……だとしたら、その薬を自分で作ったかもしれないな……」
透が神妙な顔でそう言葉を綴る。
そして、話をしてくれたホストにお礼を言って奏たちはその場を後にする。
「……もしかしたら、作った時に使用した道具が捨てられている可能性がないか?」
槙がそう言葉を綴る。
「……確か、眞子ちゃんが言っていたマンションの名前は「アステルジー久保田」だったよな?確かそこのマンションのゴミ捨て場は共有だって言っていたはずだ……」
「……よしっ!そのマンションに行ってみよう!」
紅蓮の言葉に透がそう声を発する。
奏たちは手掛かりを探るために、今度はそのマンションに向った。
「……やっぱ、もう何日も前だからさすがに残ってないか……」
マンションのゴミ置き場を管理人に開けてもらい、ゴミを確認するがそれらしいゴミはない。
「管理人さん!ここのゴミを持っていく集積所は分かりますか?」
奏がゴミ置き場の外で待機してもらっている管理人にそう声を掛ける。
「あぁ、それなら……」
集積所を教えて貰い、奏たちは今度はそちらに向かう。
「……道具のようなゴミ?あぁ……、あれかな?」
集積所で最近、そのマンションからのゴミでおかしなものがなかったかを聞くと、集積所の担当者が何か思い当たるものがあるらしく、ゴミを保管している場所からあるものを持ってくる。
「……ほれ、これだよ」
そう言ってビニール袋に入ったゴミを奏たちに見せる。
「全く……。なんか薬品名が書いてあるような瓶もあったから、何かに引火して爆発でも起こったら大変だと思ってな……。それで、別にしていたんだよ」
担当者の男が「困ったもんだ」と言う表情でそう言葉を綴る。
「良かったらこちらで処分するのでこのゴミを頂いても宜しいですか?」
奏が男にそうお願いをする。
「あぁ、構わんよ。こっちも処分に困っていたしな」
男の言葉に奏たちがお礼を言って道具が入った袋を二つ受け取る。そして、その集積所を後にすると、急いで署に戻っていった。
「……調べたら、やはり道具についていた粉のようなものや、瓶の中の薬品は低血圧に使用する薬品だったわ」
冴子が持ち帰った道具を調べた結果を話す。
「やはりな……」
透が神妙な顔で言葉を綴る。
「……よしっ!任意同行してもらおう!」
その場にいる本山がそう声を張り上げる。そして、杉原と共に部屋を出るとフェリチタに向かった。
「……最近客足が悪いわね……」
開店前のクラブ「フェリチタ」で、ママがため息を吐きながらそう言葉を綴る。
麗美が逮捕されてから、店の客足は悪くなっていた。
「まさか、麗美ちゃんが殺人を犯すなんて……」
ママがため息を吐きながら言う。
「びっくりですよね……。麗美ちゃんがそんな事をするなんて……」
真奈美も息を吐きながら「信じられない」と言う感じでそう言葉を綴る。
「もう嫌になっちゃうわ……。他の女の子にまで迷惑掛けて……。真奈美ちゃんのお客さんも遠のいている人がいるし……」
ママが少し怒り気味でそう言葉を綴る。
「あの……ママ……」
「あぁ……」
冴子の言葉に本山がそう答える。
「先程の取り調べでな……」
そう言って本山が先程の会話を説明した。
「それは……、その……毒の入ったカプセルを零士のところにこの前のことを謝りに行った時にこっそりとサプリメントケースに忍び込ませたんです……。似たようなカプセルが入っているのを見たことがあったからそれに紛れ込ませました……。それをいつか飲んで死ねばいいって思っていたんです……。でも、その毒を使わずに零士は突き飛ばされて死んだわけですが……」
麗美が静かにそう言葉を語る。
「……しかし、毒のカプセルは一つじゃないだろ?」
「……え?」
本山の言葉に麗美がそう声を出す。
「高血圧の零士に低血圧用の血圧が上がる薬も仕込んだだろ?」
「高血圧……?」
本山の言葉に麗美が「なんの事?」と言うような顔をする。
「あんた、零士が高血圧だってことを知っていてその薬も仕込んだんじゃないのか?」
本山が「どういうことだ?」と、疑問に思いながらそう言葉を綴る。
「……零士が高血圧?……え?どういうこと??私が毒を仕込んだカプセルは一つだけよ?」
「……という事を言っていたんだ。つまり、その低血圧用の薬を仕込んだのは別の人物という事になる……」
本山が話し終わり、ため息を吐く。
「……じゃあ、零士殺しの犯人は別にいるってこと?」
冴子が驚いたようにそう言葉を綴る。
「……じゃあ、それを仕込んだのは……」
紅蓮がそう言ってある人物の名前を出す。
「だが、今のところ、零士とその人の接点は見つかっていない……」
透が神妙な顔でそう言葉を綴る。
「……とりあえず、その二人の接点を探ってみましょう……」
冴子の言葉で今度はその二人の接点を探る事になった。
翌日、奏たちは二人の接点を探るために、零士が勤めていたクラブに向かった。そこである人物の事を聞いてみる。
「あぁ……、知っていますよ。零士はこの子の事気に入っていましたから……」
あるホストにその人物と零士の接点がある事を教えて貰い、奏たちは驚きを隠せない。
「それに、その子って確か……」
そのホストがある話を奏たちに聞かせる。
「……じゃあ、まさか金森さんの言っていた人って……」
話を聞いて奏がそう呟く。
「……だとしたら、その薬を自分で作ったかもしれないな……」
透が神妙な顔でそう言葉を綴る。
そして、話をしてくれたホストにお礼を言って奏たちはその場を後にする。
「……もしかしたら、作った時に使用した道具が捨てられている可能性がないか?」
槙がそう言葉を綴る。
「……確か、眞子ちゃんが言っていたマンションの名前は「アステルジー久保田」だったよな?確かそこのマンションのゴミ捨て場は共有だって言っていたはずだ……」
「……よしっ!そのマンションに行ってみよう!」
紅蓮の言葉に透がそう声を発する。
奏たちは手掛かりを探るために、今度はそのマンションに向った。
「……やっぱ、もう何日も前だからさすがに残ってないか……」
マンションのゴミ置き場を管理人に開けてもらい、ゴミを確認するがそれらしいゴミはない。
「管理人さん!ここのゴミを持っていく集積所は分かりますか?」
奏がゴミ置き場の外で待機してもらっている管理人にそう声を掛ける。
「あぁ、それなら……」
集積所を教えて貰い、奏たちは今度はそちらに向かう。
「……道具のようなゴミ?あぁ……、あれかな?」
集積所で最近、そのマンションからのゴミでおかしなものがなかったかを聞くと、集積所の担当者が何か思い当たるものがあるらしく、ゴミを保管している場所からあるものを持ってくる。
「……ほれ、これだよ」
そう言ってビニール袋に入ったゴミを奏たちに見せる。
「全く……。なんか薬品名が書いてあるような瓶もあったから、何かに引火して爆発でも起こったら大変だと思ってな……。それで、別にしていたんだよ」
担当者の男が「困ったもんだ」と言う表情でそう言葉を綴る。
「良かったらこちらで処分するのでこのゴミを頂いても宜しいですか?」
奏が男にそうお願いをする。
「あぁ、構わんよ。こっちも処分に困っていたしな」
男の言葉に奏たちがお礼を言って道具が入った袋を二つ受け取る。そして、その集積所を後にすると、急いで署に戻っていった。
「……調べたら、やはり道具についていた粉のようなものや、瓶の中の薬品は低血圧に使用する薬品だったわ」
冴子が持ち帰った道具を調べた結果を話す。
「やはりな……」
透が神妙な顔で言葉を綴る。
「……よしっ!任意同行してもらおう!」
その場にいる本山がそう声を張り上げる。そして、杉原と共に部屋を出るとフェリチタに向かった。
「……最近客足が悪いわね……」
開店前のクラブ「フェリチタ」で、ママがため息を吐きながらそう言葉を綴る。
麗美が逮捕されてから、店の客足は悪くなっていた。
「まさか、麗美ちゃんが殺人を犯すなんて……」
ママがため息を吐きながら言う。
「びっくりですよね……。麗美ちゃんがそんな事をするなんて……」
真奈美も息を吐きながら「信じられない」と言う感じでそう言葉を綴る。
「もう嫌になっちゃうわ……。他の女の子にまで迷惑掛けて……。真奈美ちゃんのお客さんも遠のいている人がいるし……」
ママが少し怒り気味でそう言葉を綴る。
「あの……ママ……」
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
夜の動物園の異変 ~見えない来園者~
メイナ
ミステリー
夜の動物園で起こる不可解な事件。
飼育員・えまは「動物の声を聞く力」を持っていた。
ある夜、動物たちが一斉に怯え、こう囁いた——
「そこに、"何か"がいる……。」
科学者・水原透子と共に、"見えざる来園者"の正体を探る。
これは幽霊なのか、それとも——?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】共生
ひなこ
ミステリー
高校生の少女・三崎有紗(みさき・ありさ)はアナウンサーである母・優子(ゆうこ)が若い頃に歌手だったことを封印し、また歌うことも嫌うのを不審に思っていた。
ある日有紗の歌声のせいで、優子に異変が起こる。
隠された母の過去が、二十年の時を経て明らかになる?
カフェ・シュガーパインの事件簿
山いい奈
ミステリー
大阪長居の住宅街に佇むカフェ・シュガーパイン。
個性豊かな兄姉弟が営むこのカフェには穏やかな時間が流れる。
だが兄姉弟それぞれの持ち前の好奇心やちょっとした特殊能力が、巻き込まれる事件を解決に導くのだった。
【毎日更新】教室崩壊カメレオン【他サイトにてカテゴリー2位獲得作品】
めんつゆ
ミステリー
ーー「それ」がわかった時、物語はひっくり返る……。
真実に近づく為の伏線が張り巡らされています。
あなたは何章で気づけますか?ーー
舞台はとある田舎町の中学校。
平和だったはずのクラスは
裏サイトの「なりすまし」によって支配されていた。
容疑者はたった7人のクラスメイト。
いじめを生み出す黒幕は誰なのか?
その目的は……?
「2人で犯人を見つけましょう」
そんな提案を持ちかけて来たのは
よりによって1番怪しい転校生。
黒幕を追う中で明らかになる、クラスメイトの過去と罪。
それぞれのトラウマは交差し、思いもよらぬ「真相」に繋がっていく……。
中学生たちの繊細で歪な人間関係を描く青春ミステリー。

物言わぬ家
itti(イッチ)
ミステリー
27年目にして、自分の出自と母の家系に纏わる謎が解けた奥村祐二。あれから2年。懐かしい従妹との再会が新たなミステリーを呼び起こすとは思わなかった。従妹の美乃利の先輩が、東京で行方不明になった。先輩を探す為上京した美乃利を手伝ううちに、不可解な事件にたどり着く。
そして、それはまたもや悲しい過去に纏わる事件に繋がっていく。
「✖✖✖Sケープゴート」の奥村祐二と先輩の水野が謎を解いていく物語です。

消えた弟
ぷりん
ミステリー
田舎で育った年の離れた兄弟2人。父親と母親と4人で仲良く暮らしていたが、ある日弟が行方不明に。しかし父親は何故か警察を嫌い頼ろうとしない。
大事な弟を探そうと、1人で孤軍奮闘していた兄はある不可思議な点に気付き始める。
果たして消えた弟はどこへ行ったのか。

秘められた遺志
しまおか
ミステリー
亡くなった顧客が残した謎のメモ。彼は一体何を託したかったのか!?富裕層専門の資産運用管理アドバイザーの三郷が、顧客の高岳から依頼されていた遺品整理を進める中、不審物を発見。また書斎を探ると暗号めいたメモ魔で見つかり推理していた所、不審物があると通報を受けた顔見知りであるS県警の松ケ根と吉良が訪れ、連行されてしまう。三郷は逮捕されてしまうのか?それとも松ケ根達が問題の真相を無事暴くことができるのか!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる