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第五章 羽を失った鳥は猛獣をエサにする
第12話
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「えっと……、どうしたんですか?」
眞子が突然の麗美の来訪に戸惑う。
「一体、彼に何をしたの?」
麗美が低い声で唸るようにそう言葉を発する。
「あの……、何のことですか?」
麗美の言葉がよく分からなくて眞子がはてなマークを浮かべながらそう聞き返す。
「透さんよ!」
「透さん?」
「なんであんたが透さんに指名されるのよ!!」
麗美が怒鳴るような口調でそう言葉を発する。
「……ちょっと!どうしたのよ?!」
玄関でのやり取りが聞こえてきて、ただ事じゃないと思った真奈美がやってくる。
「いったい彼に何をしたのよ?!白状しなさい!!」
麗美がそう言いながら眞子に食い掛る。
「麗美ちゃん!いい加減にしなさい!!」
「っ……!!」
そこへ、真奈美が声を出して麗美を制止させる。
「お客様が全員あなたを気に入るわけじゃないのよ?!お客様にもそれぞれ好みがあるわ!そのお客様は眞子ちゃんを気に入ったというだけでしょう?!」
真奈美が麗美に説教するように強い口調でそう言葉を綴る。
「……なんでよ、私の方が努力しているのに……」
麗美が唇を噛み締めながら震えるようにそう言葉を呟く。そして、踵を返すとその場を去って行った。
「……大丈夫?」
真奈美が心配して眞子にそう声を掛ける。
「……うん。麗美さん、かなり透さんのこと気に入っているよね」
「そんな感じね……」
眞子の言葉に真奈美がそう言葉を綴る。そして、部屋の中に戻り、先程の話の続きをする。紅蓮とお茶に行ったことや、明るさを褒められたことなどを真奈美に話していった。
「……下井がそんな事を言っていたんですか?」
あの後、本山と杉原は下井が勤める製薬会社の同僚の男に話を聞けることになり、近くの喫茶店で話をしていた。
同僚の話によると、いつだったか下井から「近いうち、お気に入りの女が自分のものになりそうだ」という事を話していたと言う。
「……どういうことですか?」
下井の同僚の言葉に本山がそう尋ねる。
「そこまでは分かりませんが……。ただ、「あれだけのスタイルで感度のいい女はなかなかいないからな」みたいなことは言ってましたよ?」
「下井さんの事で知っていることが何かあれば何でもいいのでお聞かせ願えませんか?」
杉原が柔らかい口調でそう尋ねる。
「そうですね……。まぁ、よくクラブには行っていたみたいですよ?その店にいる女の子ですごくタイプの子がいたって言うのは聞きました」
同僚の男の言葉に本山と杉原が顔を合わせる。
「その女の子の名前は分かりますか?」
「……確か、麗美ちゃん……じゃなかったかな?」
本山の言葉に男がそう答えたので、本山と杉原が驚きの顔をする。
「……他に何か聞いたことはありませんか?それか、何かおかしな行動をとっていたとか……」
本山が男にそう問いかける。
「うーん……。あ……、そういえば、どれくらい前だったかな?俺も下井も薬品開発部なんですけど、いつだったか下井が一人で研究室に残ったことがあるんです。俺が「なにかあるのか?」って聞いたら、「ちょっと、急ぎで作らなきゃいけないものがあるんだ」って言っていましたね。その時、急ぎの開発は無かったので何の事だろうとは思ったんですよ」
男の言葉に本山と杉原が「もしかして……」と、考える。
そして、男にお礼を言ってその場を後にした。
本山と杉原は車に乗り込むと、いったん署に戻るために車を走らせる。
「もしかして、毒を作っていたかもしれないな……」
「……ありえますね」
本山の言葉に杉原が運転をしながらそう答える。
「誰かに頼まれて毒を作り、その頼まれた相手に渡したが、何かがあってその毒を下井が飲んだ……」
「もしかしたら、下井が用済みになってその毒で殺害されたかもしれませんね……」
先程の話を冴子に伝えるために、本山がスマートフォンを取り出し、電話をした。
「……分かったわ。連絡ありがとう」
冴子がそう言って電話を終える。
「何かあったんですか?」
透が冴子にそう尋ねる。
「本山さんからなんだけど……」
冴子がそう言って本山から聞いた話を奏たちに話していく。
「……もしかして、毒を渡した相手って麗美じゃないのか?それに、下井を殺害したのも麗美の可能性がないか?」
透が何かを思い出してそう言葉を発する。
「……どういうことだ?」
透の言葉に槙が尋ねる。
「紅蓮、昨日の眞子の話を覚えているか?」
「あ?あぁ……、確か麗美がいつもと違った様子で帰ってきたって……まさか?!」
透の言葉に紅蓮がそこまで言って声を出す。
「そのまさかだよ……。麗美が下井を殺して正体を隠すために変装していた可能性があるってことだ……」
透の言葉に奏たちが愕然として言葉を綴れなくなる。
「……よし、眞子ちゃんにその時の状況を聞いてみようぜ」
紅蓮がそう言って眞子にメッセージを送った。
「……そういえば、身体はもう大丈夫なんですか?」
眞子が突然の麗美の来訪に戸惑う。
「一体、彼に何をしたの?」
麗美が低い声で唸るようにそう言葉を発する。
「あの……、何のことですか?」
麗美の言葉がよく分からなくて眞子がはてなマークを浮かべながらそう聞き返す。
「透さんよ!」
「透さん?」
「なんであんたが透さんに指名されるのよ!!」
麗美が怒鳴るような口調でそう言葉を発する。
「……ちょっと!どうしたのよ?!」
玄関でのやり取りが聞こえてきて、ただ事じゃないと思った真奈美がやってくる。
「いったい彼に何をしたのよ?!白状しなさい!!」
麗美がそう言いながら眞子に食い掛る。
「麗美ちゃん!いい加減にしなさい!!」
「っ……!!」
そこへ、真奈美が声を出して麗美を制止させる。
「お客様が全員あなたを気に入るわけじゃないのよ?!お客様にもそれぞれ好みがあるわ!そのお客様は眞子ちゃんを気に入ったというだけでしょう?!」
真奈美が麗美に説教するように強い口調でそう言葉を綴る。
「……なんでよ、私の方が努力しているのに……」
麗美が唇を噛み締めながら震えるようにそう言葉を呟く。そして、踵を返すとその場を去って行った。
「……大丈夫?」
真奈美が心配して眞子にそう声を掛ける。
「……うん。麗美さん、かなり透さんのこと気に入っているよね」
「そんな感じね……」
眞子の言葉に真奈美がそう言葉を綴る。そして、部屋の中に戻り、先程の話の続きをする。紅蓮とお茶に行ったことや、明るさを褒められたことなどを真奈美に話していった。
「……下井がそんな事を言っていたんですか?」
あの後、本山と杉原は下井が勤める製薬会社の同僚の男に話を聞けることになり、近くの喫茶店で話をしていた。
同僚の話によると、いつだったか下井から「近いうち、お気に入りの女が自分のものになりそうだ」という事を話していたと言う。
「……どういうことですか?」
下井の同僚の言葉に本山がそう尋ねる。
「そこまでは分かりませんが……。ただ、「あれだけのスタイルで感度のいい女はなかなかいないからな」みたいなことは言ってましたよ?」
「下井さんの事で知っていることが何かあれば何でもいいのでお聞かせ願えませんか?」
杉原が柔らかい口調でそう尋ねる。
「そうですね……。まぁ、よくクラブには行っていたみたいですよ?その店にいる女の子ですごくタイプの子がいたって言うのは聞きました」
同僚の男の言葉に本山と杉原が顔を合わせる。
「その女の子の名前は分かりますか?」
「……確か、麗美ちゃん……じゃなかったかな?」
本山の言葉に男がそう答えたので、本山と杉原が驚きの顔をする。
「……他に何か聞いたことはありませんか?それか、何かおかしな行動をとっていたとか……」
本山が男にそう問いかける。
「うーん……。あ……、そういえば、どれくらい前だったかな?俺も下井も薬品開発部なんですけど、いつだったか下井が一人で研究室に残ったことがあるんです。俺が「なにかあるのか?」って聞いたら、「ちょっと、急ぎで作らなきゃいけないものがあるんだ」って言っていましたね。その時、急ぎの開発は無かったので何の事だろうとは思ったんですよ」
男の言葉に本山と杉原が「もしかして……」と、考える。
そして、男にお礼を言ってその場を後にした。
本山と杉原は車に乗り込むと、いったん署に戻るために車を走らせる。
「もしかして、毒を作っていたかもしれないな……」
「……ありえますね」
本山の言葉に杉原が運転をしながらそう答える。
「誰かに頼まれて毒を作り、その頼まれた相手に渡したが、何かがあってその毒を下井が飲んだ……」
「もしかしたら、下井が用済みになってその毒で殺害されたかもしれませんね……」
先程の話を冴子に伝えるために、本山がスマートフォンを取り出し、電話をした。
「……分かったわ。連絡ありがとう」
冴子がそう言って電話を終える。
「何かあったんですか?」
透が冴子にそう尋ねる。
「本山さんからなんだけど……」
冴子がそう言って本山から聞いた話を奏たちに話していく。
「……もしかして、毒を渡した相手って麗美じゃないのか?それに、下井を殺害したのも麗美の可能性がないか?」
透が何かを思い出してそう言葉を発する。
「……どういうことだ?」
透の言葉に槙が尋ねる。
「紅蓮、昨日の眞子の話を覚えているか?」
「あ?あぁ……、確か麗美がいつもと違った様子で帰ってきたって……まさか?!」
透の言葉に紅蓮がそこまで言って声を出す。
「そのまさかだよ……。麗美が下井を殺して正体を隠すために変装していた可能性があるってことだ……」
透の言葉に奏たちが愕然として言葉を綴れなくなる。
「……よし、眞子ちゃんにその時の状況を聞いてみようぜ」
紅蓮がそう言って眞子にメッセージを送った。
「……そういえば、身体はもう大丈夫なんですか?」
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