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第五章 羽を失った鳥は猛獣をエサにする
第3話
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「……そんなに沢山の女性から?!」
奏が署の中にある取調室でそう声を上げる。
「あぁ……、被害に遭った女性が店に怒鳴り込んできたこともあるぐらいだよ……」
奏がお願いした事とは、外に聞き込みに行く前に義人と話をさせて欲しいという事だった。義人が普段から零士を気に入らなかったのは何か理由があるはずだと思い、義人の面会をお願いする。すると、許可が出てこうして義人と対面することになったのだった。
「物でもかなり高価なものをいろんな人に貢いでもらっていたし、金も貢いでもらっていたみたいだよ。中にはそれで破産になった人もいるっていう話だし……」
義人の言葉に奏が愕然とする。女性がホストに本気で惚れこんで入れ込むという話は聞いたことはあるが、それによって破産するまでいくということは奏には信じられなかった。
「……でも、それはある意味ホストのステータスでもあるんじゃないのか?それだけ人気があるって事だろう?」
傍で話を聞いていた透がそう声を挟む。
「まぁ……、そう言ってしまえばそうなんだけど……」
義人がその言葉に言葉を詰まらすように言う。
「……何か別の理由があるのですか?」
奏がそう問いかける。
「……いや、別に……」
義人がそう言って黙り込む。
これ以上話を聞くのは無理だと思い、奏と透は取調室を出る。
そして、聞き込みを開始するために奏たちは街に繰り出した。
「……ふぅ、これでよし……」
麗美が部屋の中で溜まったゴミ袋の束をマンション共同の集積所に捨てると、一息吐いた。
――――ブー、ブー、ブー……。
そこへ、ポケットに入れてあるスマートフォンが震えたので、メッセージを確認する。
「……うわっ……」
麗美がスマートフォンを見て声を出す。
そこには、西田からの大量のメッセージが送られていた。
『良かったら店じゃなくて外で会ってよ』
『ボトル入れているんだからサービスしてくれてもいいんじゃない?』
『麗美ちゃんのためにとびっきりのホテルを見つけたよ!』
メッセージにはそう書かれていて、いかにも下心が丸出しなのが分かる。
「……キモッ……」
麗美がメッセージを見てそう呟く。
――――ブー、ブー、ブー……。
そこへ更にメッセージが届き、麗美は「また西田が何かを送ってきた」と思い、メッセージを開ける。
『次は夜景が綺麗に見えるホテルでデートしよう。スィートを予約したよ』
そのメッセージを見て麗美がホッと一息つく。そして、そのメッセージに「いいよ」と言う内容の返信をする。
『最近、店には来ないね。どうして?』
麗美がそのメッセージを送った相手に返事をした後でそうメッセージを送る。
『だって、その店に行かなくても麗美は今自分の手の中にあるわけだからね』
すぐに相手からメッセージがそう来る。
『私の売り上げに協力して欲しいのだけど……』
麗美がそうメッセージを送る。
『気が向いたらね』
相手からそう返事が来て、麗美が心の中でため息を吐くと部屋に戻っていった。
「……それ、本当ですか?!」
奏が一人のホストからある話を聞いてそう声を上げる。
奏たちは零士の事を探るために、零士が働いていた同じクラブのホストに会っていた。勿論、みんなでぞろぞろと会うわけにいかないので、奏と透がそのホストにカフェで会うことになり、紅蓮と槙は近くのテーブルで聞き耳を立てていた。そして、そのホストからある事を聞いて奏たちが唖然とする。
「まぁ、本当かどうかは分かりませんが、そういう事があったとは零士から聞いたことがあります」
殺された零士と仲が良かったという咲夜と名乗るホストから話を聞けることになり、他にも何かなかったかを聞いてみる。
「そうですね……。まぁ、店に『零士に騙された!』とか言って店に怒鳴り込んできた人がいるのは確かですよ。でも、ホストをしている自分に言わせれば、零士はそれだけ言葉の使い方が上手いっていう事でしょ?それって、ホストとしては客を獲得するのに必要な事だし、零士は見た目からしても抜群だったし、女に甘い言葉を掛けるのもこのクラブの中ではピカイチだったんじゃないですかね?もう少しでナンバーワンになれるって言われていたし……」
咲夜の言葉に何処か頷けるものがあるものの、先程の話はそれを逸脱しているんじゃないかとも思える。
「……あ、そういえば……」
咲夜が何かを思い出したのか、そう言葉を発する。
「何かあるのですか?」
奏がそう尋ねる。
「うーん……、何かというわけじゃないんですけど……。零士が言っていたことがあるんですよね。「あの女は身体つきは良いけど求められてばかりだ」って……。多分、そっち系の事だと思うんですけど、その女に零士は参っていたみたいですよ?縁を切りたいって言っていたくらいだし……」
「その女性の名前は分かりますか?」
奏が咲夜にそう尋ねる。
「名前まではちょっと分からないけど、確か「フェリチタ」っていうところで働くホステスだったと思うけど……」
咲夜の言葉に透がその店の名前のメモを取る。そして、お礼を言うと咲夜と別れた。
奏たちが店を出ると、その「フェリチタ」と言う店に話を聞きに行こうという話になるが、そこで一つの問題が浮上する。
「……今の段階でそこに聞き込みに行くというのは得策じゃないかもな。この事件はとりあえず久我義人が犯人という事になっている……。それなのに、その事件で聞き込みに行くとなると……」
「真犯人は他にいてその犯人の目星としてその店のホステスを疑っていると思われる……と思われるかもしれない……」
透の言葉に槙がそう言葉を付け足す。
「じゃあ、いっそのこと客として入り込んで聞いてみようぜ!」
「「「は?」」」
紅蓮の意気揚々とした言葉に奏たちが同時に声を上げた。
奏が署の中にある取調室でそう声を上げる。
「あぁ……、被害に遭った女性が店に怒鳴り込んできたこともあるぐらいだよ……」
奏がお願いした事とは、外に聞き込みに行く前に義人と話をさせて欲しいという事だった。義人が普段から零士を気に入らなかったのは何か理由があるはずだと思い、義人の面会をお願いする。すると、許可が出てこうして義人と対面することになったのだった。
「物でもかなり高価なものをいろんな人に貢いでもらっていたし、金も貢いでもらっていたみたいだよ。中にはそれで破産になった人もいるっていう話だし……」
義人の言葉に奏が愕然とする。女性がホストに本気で惚れこんで入れ込むという話は聞いたことはあるが、それによって破産するまでいくということは奏には信じられなかった。
「……でも、それはある意味ホストのステータスでもあるんじゃないのか?それだけ人気があるって事だろう?」
傍で話を聞いていた透がそう声を挟む。
「まぁ……、そう言ってしまえばそうなんだけど……」
義人がその言葉に言葉を詰まらすように言う。
「……何か別の理由があるのですか?」
奏がそう問いかける。
「……いや、別に……」
義人がそう言って黙り込む。
これ以上話を聞くのは無理だと思い、奏と透は取調室を出る。
そして、聞き込みを開始するために奏たちは街に繰り出した。
「……ふぅ、これでよし……」
麗美が部屋の中で溜まったゴミ袋の束をマンション共同の集積所に捨てると、一息吐いた。
――――ブー、ブー、ブー……。
そこへ、ポケットに入れてあるスマートフォンが震えたので、メッセージを確認する。
「……うわっ……」
麗美がスマートフォンを見て声を出す。
そこには、西田からの大量のメッセージが送られていた。
『良かったら店じゃなくて外で会ってよ』
『ボトル入れているんだからサービスしてくれてもいいんじゃない?』
『麗美ちゃんのためにとびっきりのホテルを見つけたよ!』
メッセージにはそう書かれていて、いかにも下心が丸出しなのが分かる。
「……キモッ……」
麗美がメッセージを見てそう呟く。
――――ブー、ブー、ブー……。
そこへ更にメッセージが届き、麗美は「また西田が何かを送ってきた」と思い、メッセージを開ける。
『次は夜景が綺麗に見えるホテルでデートしよう。スィートを予約したよ』
そのメッセージを見て麗美がホッと一息つく。そして、そのメッセージに「いいよ」と言う内容の返信をする。
『最近、店には来ないね。どうして?』
麗美がそのメッセージを送った相手に返事をした後でそうメッセージを送る。
『だって、その店に行かなくても麗美は今自分の手の中にあるわけだからね』
すぐに相手からメッセージがそう来る。
『私の売り上げに協力して欲しいのだけど……』
麗美がそうメッセージを送る。
『気が向いたらね』
相手からそう返事が来て、麗美が心の中でため息を吐くと部屋に戻っていった。
「……それ、本当ですか?!」
奏が一人のホストからある話を聞いてそう声を上げる。
奏たちは零士の事を探るために、零士が働いていた同じクラブのホストに会っていた。勿論、みんなでぞろぞろと会うわけにいかないので、奏と透がそのホストにカフェで会うことになり、紅蓮と槙は近くのテーブルで聞き耳を立てていた。そして、そのホストからある事を聞いて奏たちが唖然とする。
「まぁ、本当かどうかは分かりませんが、そういう事があったとは零士から聞いたことがあります」
殺された零士と仲が良かったという咲夜と名乗るホストから話を聞けることになり、他にも何かなかったかを聞いてみる。
「そうですね……。まぁ、店に『零士に騙された!』とか言って店に怒鳴り込んできた人がいるのは確かですよ。でも、ホストをしている自分に言わせれば、零士はそれだけ言葉の使い方が上手いっていう事でしょ?それって、ホストとしては客を獲得するのに必要な事だし、零士は見た目からしても抜群だったし、女に甘い言葉を掛けるのもこのクラブの中ではピカイチだったんじゃないですかね?もう少しでナンバーワンになれるって言われていたし……」
咲夜の言葉に何処か頷けるものがあるものの、先程の話はそれを逸脱しているんじゃないかとも思える。
「……あ、そういえば……」
咲夜が何かを思い出したのか、そう言葉を発する。
「何かあるのですか?」
奏がそう尋ねる。
「うーん……、何かというわけじゃないんですけど……。零士が言っていたことがあるんですよね。「あの女は身体つきは良いけど求められてばかりだ」って……。多分、そっち系の事だと思うんですけど、その女に零士は参っていたみたいですよ?縁を切りたいって言っていたくらいだし……」
「その女性の名前は分かりますか?」
奏が咲夜にそう尋ねる。
「名前まではちょっと分からないけど、確か「フェリチタ」っていうところで働くホステスだったと思うけど……」
咲夜の言葉に透がその店の名前のメモを取る。そして、お礼を言うと咲夜と別れた。
奏たちが店を出ると、その「フェリチタ」と言う店に話を聞きに行こうという話になるが、そこで一つの問題が浮上する。
「……今の段階でそこに聞き込みに行くというのは得策じゃないかもな。この事件はとりあえず久我義人が犯人という事になっている……。それなのに、その事件で聞き込みに行くとなると……」
「真犯人は他にいてその犯人の目星としてその店のホステスを疑っていると思われる……と思われるかもしれない……」
透の言葉に槙がそう言葉を付け足す。
「じゃあ、いっそのこと客として入り込んで聞いてみようぜ!」
「「「は?」」」
紅蓮の意気揚々とした言葉に奏たちが同時に声を上げた。
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