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第一章 白い鳥は黒いカラスに誘われる
第8話
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「……うん。多分、風邪かなんかだと思う……ゴホッゴホッ……」
翼が苦しそうに咳をする。
「とりあえず、今日はゆっくり横になってなさい」
「うん……。分かったよ、お母さん……ゴホッゴホッ……」
翼がそう言ってベッドに横になる。
「後でお粥を作って持ってくるわね」
「うん……。ありがとう……」
母親はそう言うと、部屋を出ていった。
「拓海くん……怒ってるよな……絶対……」
翼がポツリと呟く。それと同時に今日は行かなくてもいいんだという安心感もあった。行けばまたあんなことをやらされる……。もう、やりたくないのにやめたら自分だけではなく家族も殺すと言ってきている……。
「なんとかして、抜けられないのかな……」
そう小さく呟くが、どうにもならなくて辛さが込み上げてくる。
「誰か……助けて……」
布団に潜り込み、静かに泣きながら誰かに助けを求める。
――――トゥルル……トゥルル……。
そこへスマートフォンが誰かから着信が来たことを告げるコール音が鳴り響いた。翼が恐る恐る確認する。すると、電話の相手はやっぱり拓海だったので出るのを躊躇う。
――――トゥルル……トゥルル……。トゥルル……トゥルル……。
――――トゥルル……トゥルル……。トゥル…………。
電話にはあえて出ずに鳴り止むのを待っていたら、コール音がピタリと止まった。ホッと胸を撫で下ろし、スマートフォンをマナーモードに切り替える。
(また後でかかってくるだろうけど、その時は正直に風邪ひいて熱があるって言おう……)
心の中でそう呟きながら目を閉じていると、いつの間にか深い眠りに入っていった。
「……昨日の今日で現れるでしょうか……?」
昨日と同じ公園のベンチに座りながら奏がポツリと呟く。
「分からないが、他に接触できる方法が無いからな……」
透が偽装を装うのに何かの雑誌を広げながらそう言葉を綴る。
透と二人で公園に入ってくる人を気づかれないように見ながら翼が公園に来るのをじっと待つ。だが、なかなか現れない。公園の入り口に目を凝らし、待ち続けた。
「……現れねぇな……」
一方で紅蓮と槙が昨日と同じルートを歩きながら昨日見かけた男がいないかを捜査していた。しかし、こちらもなかなか見つからずで紅蓮がため息を吐きながら言葉を綴る。
「根気の問題だ。すぐに現れるとは限らん」
紅蓮の横で槙がそう言葉を綴る。捜査には根気力も必要なので現れるまで捜査を続ける。
「……なんだ?あいつら……?」
何かに気付いて槙がそう言葉を発する。
槙の視線の先には数人の男が何かを探していた。一人の男が何かを指示しながら他の男たちに何かを探させている。
「……もしかして、仲間の方が探しに来たのか?」
紅蓮が言う。
昨日の男の仲間だとしたら、例のメモリースティックを探していた場所に探しに来ても不思議はない。だが……、
「……いや、普通なら落とした男に探させるはずだ。ああいった組織で他の奴に探させることは基本しない。本人が探せない状況ならあり得るが……」
槙がそう言葉を綴る。
「探せない状況……。ってことはまさか?!」
槙の言葉に紅蓮に戦慄が走る。
「あぁ………。そういう事だ……」
槙が淡々と言葉を綴る。
「……どうする?冴子さんに報告するか?」
「いや……、あの男たちが仲間だという確証がない……。とりあえず、あの男たちの事を尾行してみよう」
「分かった……」
槙の言葉に紅蓮と共にその男たちを尾行する。男たちはやはり例のルートで何かを探しているようだった。
「……見つからないですね。宮部さん」
一人の男が受け子の男が持っていたはずのメモリースティックがなかなか見つからないことを宮部に告げる。
「これだけ捜しても見つからないという事は誰かに持ってかれた可能性があるな……」
宮部が苦々しそうにそう言葉を綴る。
「どうしますか?これだけ捜しても無いとなると、見つけるのは難しい気がしますが……」
男がそう語る。
「……そうだな。見つかる可能性は低いだろう……。とりあえず、拓海さんにそう報告しよう……」
宮部がどうするべきか少し考えるそぶりを見せたが、諦めたのかそう言葉を綴る。
そして、男たちはその場を去っていった。
その後ろを紅蓮と槙が尾行していることに気付かずに……。
「おい!今日も沖の方まで行ってみようぜ!!」
「おう!行くか!」
ダイバーの格好をした二人組の男がそう言って、海に飛び込む。
そして、海の中を優雅に二人でダイビングを楽しんでいる時だった。
海の底の方まで潜った際に一つの大きな袋を見つけた。その大きな袋からはみ出ているものを見てダイバーの男たちが愕然とする。それは、海の中でユラユラと揺れていた。
「……現れないですね」
公園で翼が現れるのを待っている奏がどこか残念そうにそう言葉を綴る。
「今日は来ないのかもしれないな……」
透がそう呟く。
もう長い時間その場にいるが、翼は現れない。
「奏、紅蓮たちと合流してそろそろ引き上げよう」
透がそう言って紅蓮に連絡をする。
「もしもし、紅蓮か?そろそろ合流しようと思うんだが…………何?!」
透が紅蓮の言葉に声を上げる。
その時、奏が公園に入ってきた一人の人物を見て声を発した。
「あ……あの人……!!」
翼が苦しそうに咳をする。
「とりあえず、今日はゆっくり横になってなさい」
「うん……。分かったよ、お母さん……ゴホッゴホッ……」
翼がそう言ってベッドに横になる。
「後でお粥を作って持ってくるわね」
「うん……。ありがとう……」
母親はそう言うと、部屋を出ていった。
「拓海くん……怒ってるよな……絶対……」
翼がポツリと呟く。それと同時に今日は行かなくてもいいんだという安心感もあった。行けばまたあんなことをやらされる……。もう、やりたくないのにやめたら自分だけではなく家族も殺すと言ってきている……。
「なんとかして、抜けられないのかな……」
そう小さく呟くが、どうにもならなくて辛さが込み上げてくる。
「誰か……助けて……」
布団に潜り込み、静かに泣きながら誰かに助けを求める。
――――トゥルル……トゥルル……。
そこへスマートフォンが誰かから着信が来たことを告げるコール音が鳴り響いた。翼が恐る恐る確認する。すると、電話の相手はやっぱり拓海だったので出るのを躊躇う。
――――トゥルル……トゥルル……。トゥルル……トゥルル……。
――――トゥルル……トゥルル……。トゥル…………。
電話にはあえて出ずに鳴り止むのを待っていたら、コール音がピタリと止まった。ホッと胸を撫で下ろし、スマートフォンをマナーモードに切り替える。
(また後でかかってくるだろうけど、その時は正直に風邪ひいて熱があるって言おう……)
心の中でそう呟きながら目を閉じていると、いつの間にか深い眠りに入っていった。
「……昨日の今日で現れるでしょうか……?」
昨日と同じ公園のベンチに座りながら奏がポツリと呟く。
「分からないが、他に接触できる方法が無いからな……」
透が偽装を装うのに何かの雑誌を広げながらそう言葉を綴る。
透と二人で公園に入ってくる人を気づかれないように見ながら翼が公園に来るのをじっと待つ。だが、なかなか現れない。公園の入り口に目を凝らし、待ち続けた。
「……現れねぇな……」
一方で紅蓮と槙が昨日と同じルートを歩きながら昨日見かけた男がいないかを捜査していた。しかし、こちらもなかなか見つからずで紅蓮がため息を吐きながら言葉を綴る。
「根気の問題だ。すぐに現れるとは限らん」
紅蓮の横で槙がそう言葉を綴る。捜査には根気力も必要なので現れるまで捜査を続ける。
「……なんだ?あいつら……?」
何かに気付いて槙がそう言葉を発する。
槙の視線の先には数人の男が何かを探していた。一人の男が何かを指示しながら他の男たちに何かを探させている。
「……もしかして、仲間の方が探しに来たのか?」
紅蓮が言う。
昨日の男の仲間だとしたら、例のメモリースティックを探していた場所に探しに来ても不思議はない。だが……、
「……いや、普通なら落とした男に探させるはずだ。ああいった組織で他の奴に探させることは基本しない。本人が探せない状況ならあり得るが……」
槙がそう言葉を綴る。
「探せない状況……。ってことはまさか?!」
槙の言葉に紅蓮に戦慄が走る。
「あぁ………。そういう事だ……」
槙が淡々と言葉を綴る。
「……どうする?冴子さんに報告するか?」
「いや……、あの男たちが仲間だという確証がない……。とりあえず、あの男たちの事を尾行してみよう」
「分かった……」
槙の言葉に紅蓮と共にその男たちを尾行する。男たちはやはり例のルートで何かを探しているようだった。
「……見つからないですね。宮部さん」
一人の男が受け子の男が持っていたはずのメモリースティックがなかなか見つからないことを宮部に告げる。
「これだけ捜しても見つからないという事は誰かに持ってかれた可能性があるな……」
宮部が苦々しそうにそう言葉を綴る。
「どうしますか?これだけ捜しても無いとなると、見つけるのは難しい気がしますが……」
男がそう語る。
「……そうだな。見つかる可能性は低いだろう……。とりあえず、拓海さんにそう報告しよう……」
宮部がどうするべきか少し考えるそぶりを見せたが、諦めたのかそう言葉を綴る。
そして、男たちはその場を去っていった。
その後ろを紅蓮と槙が尾行していることに気付かずに……。
「おい!今日も沖の方まで行ってみようぜ!!」
「おう!行くか!」
ダイバーの格好をした二人組の男がそう言って、海に飛び込む。
そして、海の中を優雅に二人でダイビングを楽しんでいる時だった。
海の底の方まで潜った際に一つの大きな袋を見つけた。その大きな袋からはみ出ているものを見てダイバーの男たちが愕然とする。それは、海の中でユラユラと揺れていた。
「……現れないですね」
公園で翼が現れるのを待っている奏がどこか残念そうにそう言葉を綴る。
「今日は来ないのかもしれないな……」
透がそう呟く。
もう長い時間その場にいるが、翼は現れない。
「奏、紅蓮たちと合流してそろそろ引き上げよう」
透がそう言って紅蓮に連絡をする。
「もしもし、紅蓮か?そろそろ合流しようと思うんだが…………何?!」
透が紅蓮の言葉に声を上げる。
その時、奏が公園に入ってきた一人の人物を見て声を発した。
「あ……あの人……!!」
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