こんなゲーム実況が観たい。

Merle

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●その4. ロリ爆乳二人がTPSでネット対戦

4-2.

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「まずは、えー……視界確保!」

 このマップはコンテナ埠頭を模していて、マップ右半分に大きな倉庫が三つ――ちょうど漢数字の「三」の形に並んでいて、マップ左半分には無数のコンテナが整然と並んでいた。コンテナ群は一段のところと二段重ねのところがあって、一段の高低差であれば、アバターがくっついた状態でジャンプすることで攀じ登れるようになっていた。
 千黒の開始地点はコンテナ群の一角で、ちょうど一段積みのコンテナが目の前にあったので、千黒はとりあえず攀じ登った。
 一段積みのコンテナを上って、隣の二段積みになっているコンテナ上にも上ったところで――ぱちゅんっ!

「えぇ……」

 キルカメラが表示されて、千黒の死に様と、彼女を殺した相手の映像が再生される。それによると、千黒は倉庫屋上スタートだった狙撃兵にヘッドショットされたのだった。

「まー……見晴らしのいいとこに獲物が出てきたら、撃っちゃうよねー」

 鈴の乾いた笑いが空々しく響けども、ゲームはまだ始まったばかりだ。

「――あれ? これ、死んでも復活できんの?」

 ゲーム画面は出撃準備画面に戻っているけれど、そこに『再出撃まで後五秒』と出ている。

「えーとね、この対戦はスコア戦ってルールなんだけどー、ほら、頭にスコアの数字が出てっしょ」

 コンテナ埠頭に再出撃した千黒アバターの頭上には『50』という数字が出ている。

「あれ? この数字、さっきは100じゃなかった?」
「うむ。でもさっきキルされたから、半分取られて50んなったわけ」
「おー……じゃ、この数字……スコア? これが試合終了のとき一番大きければ良いん?」
「そ、そ。そゆことー」

 千黒は鈴と会話しながら、今度はひとまず隅っこに逃げようとする。なお、再出撃のポイントもランダム決定なのだけど、またコンテナ迷路の中に出ていた。

「とりま落ち着けるとこ行きてーんけどー……落ち着けるとこ、どこ?」
「知んねーしー」
「だよねー……あっ!」
「あっ、あっ!」

 コンテナの壁に囲まれた通路をうろうろしていたら、いきなり銃撃を食らった。先ほどの狙撃と違って即死はしなかったけれど、どこから撃たれたのか分からなくて右往左往しながら適当に銃を撃っているうちに、バババッ、ダダダッ、と追加の銃撃を浴びてお陀仏した。
 キルカメラが作動して、コンテナ上から突撃銃で嬲られたのだと教えてくれた。

「また死んだ……」
「ちんだー」

 また準備画面に戻って、カウント終了後に再出撃。今度は中央倉庫の裏手というマップ右端に出た。

「今度は一人くらいキルしてーなー」
「ちーちゃん、がんばー」

 倉庫にはコンテナ群に向いた表口の他に、マップ右端側にも裏口が開いている。千黒アバターが再出撃したところから中央倉庫の裏口までは、すぐそこだった。

「倉庫の中も入れるん――だ……はぁ?」
「えぇ……?」

 開けっ放しの裏口からこっそり顔を覗かせるようにして屋内へ入ろうとした千黒アバターは、その最初の一歩目を踏み出したところで――ばぁん、と吹っ飛ばされて死んだ。
 キルカメラに映ったのは、裏口の屋内側にそっと設置されていた指向性散弾地雷クレイモアくんが炸裂するシーンと、それを設置したのだろうアバターがどこか遠くで屈伸している姿だった。

「……鈴」
「なに?」
「あーし、ちょい心折れた。代わって」
「うち、操作よく知んないよ? ってか、こーゆーのって途中でプレイヤーチェンジしていいもんなん?」
「いーよいーよ。どーせ、あーし、ほっとんど動いてねーしー」
「おぅ、やさぐれてーる……しょーがないにゃあ」

 千黒からコントローラーを受け取った鈴が、再出撃した千黒アバターを動かす。なお、スコアは現在12だ。

「どーせ鈴もすぐに死ぬ」
「なんでそんなこと言ったーっ!?」

 ……ところが、鈴の操る千黒アバターは意外と長生きした。

「まー、マップちょいちょい確認して、この光ってんのがスコア上位三名トップスリーっしょ? この近くにみんな集まってくわけだからー、そのへんの角とか高いところに、みんな隠れるわけでー……ま、そんな感じ? ――あっ! ほら、角にいたよ。倒した! やったよ、ちー!」

 千黒アバターはコンテナ迷路の曲がり角に向けて、グレネード射出。跳弾で角の向こう側に転がっていった榴弾が爆発すると、ゲーム画面に敵をキルした旨が表示された。

「やったー! うぇーい!」
「ええぇ……」

 コントローラーを放り出しそうな勢いで喜ぶ鈴と対照的に、千黒は不機嫌顔だ。

「なんで鈴はキル取って……あーしは全然だったのに……」
「ちー……」

 どんよりした顔の千黒に、遅ればせながら気づいた鈴。一瞬、はっと息を吞んだけれど……すぐに、にへっと口元が緩んだ。

「ちー、ごっめんねー♡ なんか、うちの才能を見せつけちゃうみたいになっちゃってー♡ いやー、そんなつもりじゃなかったんだけどにゃー♡」
「おのれ……!」

 思わず鈴へ手を伸ばしかけた千黒だったが、鈴の牽制が素早かった。

「おっと、プレイヤーへの直接攻撃はルール違反、だしょ?」
「うぐぎぎっ……!」

 ぎりぎりと歯軋り顔になりながらも、上げかけた手を引っ込めた千黒。でも、真っ赤になって噛み締められていた唇がふいに、にやっと緩んだ。

「え……ちー?」

 千黒が悪巧みを思いついた顔をするのに気づいた鈴が、警戒心を剥き出しにして身体を横に逸らし、ゲームを続けながらも少しでも離れようとする。でも、千黒はとくに距離を詰めたりせず、にこやかに笑いかけた。

「んーん、なんでもなーい。ほら、鈴。試合はまだ終わってねーぞ。がんば、がんばー」
「う、うん……」

 いきなり笑顔になった千黒を思いっきり警戒しつつも、鈴は千黒アバターを操って戦闘を続けた。
 試合時間はもう残り十分を切っていて、全員のマップに現在位置が三十秒おきに強制表示されてしまう上位三名はすでに逃げ切り体勢に入っている。上位三名は自然と寄り集まって、互いに互いをフォローしあうように動いていた。

「談合! ……じゃねーっぽいねー」

 鈴は鉢合わせた相手が、明らかに自分を補足したのに無視して進んでいったのを見て、上位三名以外の低スコアプレイヤーも暗黙裡に結託して上位連中を引きずり降ろそうとしているのだと察したらしかった。

「あー、そか。二位と一位のスコア凄いからー」

 マップ上に表示されるのは位置情報だけでなく、そいつのスコア数もだ。その数字を見れば、下位プレイヤーを山ほど倒しても彼らに届かないだろうというのは簡単に予想がつく。となれば自然と、下位プレイヤー同士は手を組む流れになるわけだ。
 三位プレイヤーはおそらく、一位と二位に与することで三位確保に走ったのだろう。無論、集まってきた下位プレイヤーを返り討ちして自分のスコアを増やしつつ、隙あらば下克上してやろうと狙ってもいるだろうけど。

「おしっ、みんなが撃ち合ってる隙にー……あげっ!?」

 北側倉庫内に立てこもって、表口から突撃してくる下位勢に応戦している上位勢を、裏口から強襲するべく倉庫沿いに道を走っていた千黒アバターは――頭をぴちゅんっされて即死した。

「おぉー、走ってる敵をヘッショ。やるー」
「ちー他人事ひとごと!?」
「や、他人事だし」
「てゆか、共闘中じゃねーん!?」
「下位勢も一枚岩ではないのだよ、ふふふっ」
「ちー、それ誰視点んぅ!?」
「あははっ」

 それから再出撃した後も鈴は健闘したけれど、漁夫の利で一人キルした後は「二位じゃ駄目なんでーす!」と一位プレイヤーに吶喊して散ったところで時間切れになった。結果は……最下位どんけつだった。

「まーまー、初めてだしねー」

 ジッパー半開きのパーカーからはみ出しかけの爆乳を両の二の腕でむにゅっと寄せて、しょーがないよねー、と苦笑いする鈴。

「いやいや、そんなことねーよー」

 大げさに頭を振ってみせる千黒。その芝居がかった態度に警戒を覚えたらしい――鈴の眉根が寄っていく。

「ちー?」
「あーしは知ってる。鈴はやればできる子。こんなもんじゃない子。いざとなったら頑張れちゃう子――なのでー、もーいっかい行ってみれー!」
「え? は? いざとなって……え? どゆこと?」

 鈴の疑問を無視して、千黒の指がパチンッと小気味良く鳴った。その瞬間、鈴が着ているパーカーの半開きだったジッパーが、見えない手で一気に引っ張られたかのようにジィッと良い音をさせて全開まで下げられた。
 鈴はやはりノーブラだった。でもショーツは穿いていた。カメラに見せるつもりはなかったのか、地味で安そうな綿パンだった。

「うにゃあ! にゃにをーっ!?」
「はい、どーん」

 顔を朱くして叫ぶ鈴を気にせず、千黒はさらに指をパッチン。その瞬間、鈴の股間からショーツが消えて、代わりにピンク色をした前張りのようなもの……ニップレスの股間版みたいなものになっていた。穿くのではなく貼り付ける感じの下着で、IバックとかCストリングとか呼ばれるやつだ。

「んにゃッ!? なんじゃーこりゃーッ!!」

 編集を入れて履き替えたのだろうに、鈴はとても自然な驚きっぷりだ。ブラボーである。
 がばっと隣を振り向いた鈴に、睨みつけられた千黒はにっこり微笑み返す。

「はい、それは名付けて【かゆかゆショーツ】でーす♡」
「は? ……えっ! か……かゆ、かゆ……って」
「そ♡ この前のニップレスのショーツ版。刺激するか設定した条件でクリが痒くなるの♡」
「は……はあぁ!? 馬鹿ぁッ!? ちー馬鹿ぁッ!?」
「はーい、馬鹿って言うほうが馬鹿なんですー♡ はっはー♡」

 対戦への再エントリーは既に済ませてしまっていて、開戦までのカウントダウンもあと少しだ。

「ほら、鈴。もう始まっぞー」
「その前に条件言って!」
「ん? あー、クリちゃんカユカユになる条件ね。ぱっと決めたやつだから、超シンプル――キルで止まって、デッドで動く」
「え? ……え? ん、んんー? それ、キルされたら、誰かキルするまでずーっと痒み汁、出っぱなしってこと?」

 こてんと首を傾げた鈴は、まさかねーははー、と笑いながら隣の相棒千黒を見る。千黒も笑顔で相棒に振り向き、こっくり頷いた。

「そゆことー♡」
「……そ」
「あれ? ギャオつくかと思ったんけど……」

 千黒が訝るのも無理はない。彼女の理不尽な宣告に、鈴は泣きも喚きもせずに笑みを深めたのだから。
 そして不意を突くように、鈴は指を鳴らす(鳴らなかった)。

「あっ」

 声を上げたのは千黒だ。彼女の穿いていた短パンが消えて、鈴に付けられたのと同じCストリングショーツ着用の股間が露わになった。

「いや、こんなん穿いてねー! っつか、今日ノーパンだったし!」
「んっふー♡ お揃いねー、ちーちゃーん♡」

 鈴がにやぁっと粘つく笑みを浮かべたことで、千黒も理解する。そして顔色を失くしていく。

「鈴……まさか!」
「ん♡ 条件は同じにしたから、いちれんたくしょーよー♡」
「鈴んんぅッ!!」

 千黒の叫びが合図だったかのように、ちょうど試合開始となった。
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