ひのえん!

Merle

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1-8. 小晴、兄に馬乗りイラマされる。仕返しにシックスナインする。

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「あっ……ちょ、お、お兄……」

 兄の手でベッドに押し倒された小晴は、不安げに視線を惑わせる。喉からは、三十センチも離れていない兄の耳にしか届かないようなか細い声しか出てこない。

「お、にい……? な、んか……か、顔、怖い……よ?」

 妹を見下ろす大晴の目はぎょろりと見開かれ、血走っていた。ずっと無言なのに、鼻息がふーっふーっと煩く鳴っている。大晴はあからさまなほどに発情しきっていた。

「小晴、ヤるから」

 ようやく口を開いたと思ったら、出てきたのは一方的な宣言だった。小晴は怯えがと引いて、ジト目で兄を見上げ返す。

「お兄、それマジで言ってんの?」
「……」
「ヤるって、あれでしょ。あたしのまんこに、お兄のちんこ勃起したの入れるやつ……ホンバン? ハメる? とかって言うのでしょ? お兄、知らないの? それって家族でやっちゃ駄目なんだよー」

 言葉の後半に連れて早口になっていったのは、小晴が兄の無知をせせら笑っているというのに、その大晴あにが全く笑いもしないどころか、怒りもしなかったからだ。

「ね、お兄、聞いてる? ね、聞いて。駄目なんだよ……? ね……お兄、ちょ、ねぇ……」

 小晴の顔から一気に余裕が失せた。釣り目気味に笑っていた目尻が情けなく下がって、唇もぱくぱくと何か言葉を発しようとしては失敗するのを繰り返すようになる。
 小晴はそれでもどうにか、兄を止めんと説得の言葉を紡ぐ。

「や、やぁ……ほんと、ね? ま、待とう? 落ち着くの待とう? そしたら、お兄も落ち着くから……ね?」

 必死に、待とう待とうと繰り返す小晴だが、大晴にその言葉は全く届いていない。いや、届いているのに響いていないのだ。
 大晴は左手を小晴の右肩に置いたまま、右手だけを外して、下方にずらしていく。その右手が向かう先をすぐに察した小晴の顔が、さっと青くなる。

「まま待って待って待って! 分かった分かった分かったから! てっ……手でする! してあげるから!」

 だが残念。大晴の手は止まらない。大きな右手が小晴の腰から股間へと撫でていく。

「手じゃ駄目なの!? っ……じゃあ、口! お口なら使っていいから!」
「……!」

 股間に触れんとしていた大晴の手が、ぴたりと止まった。そこに希望を見出した小晴、畳みかける!

「お口? お兄、お口がいいんだね? いいよ! お兄のちんぽ、しゃぶってあげる。ほら、んぁーっ!」

 がばっと大口を開けて、歯磨きを欠かしたことのない綺麗な歯列と、ピンク色のビロード張りみたいな舌を大晴に見せつける。

「……まあ、小晴がそこまで言うなら」

 ようやく言葉を発した大晴の顔は、照れ隠しと興奮でホカホカに火照って赤らみ汗ばんでいて――要するにとてもキモい顔になっていた。
 怯えと焦りを浮かべていた小晴の表情はまたしても、すんと色落ちして能面になる。

「お兄……マジキモい……」
「うっ、うっさい! 今更そんなこと言っても駄目だからな! するからな!」
「べつに、やっぱ駄目とか言ってないでしょ。ほら、いましてあげるから」

 そう言いながら、小晴は覆いかぶさっている兄の下から仰向けのまま、お尻で這うようにして抜け出そうとする。きっと、座るかうつ伏せになるかしてフェラしようとしたのだろう。だけど、とっくに我慢の限界を振り切っていた大晴は、その僅かな時間さえ待つことができなかった。

「小晴ぅ!」

 大晴の右手は、まだ仰向けでいる小晴の後頭部をぐいっと抱え込んだ。そして尻の位置を小晴の胸元までずいっとずらして馬乗りの体勢になると、首だけ起き上がる格好になった小晴の唇に、いきり立った男根ちんぽを押し付け――押し込んだ。

「んぼぉッ!? ……ごっ、んごぉ……ッ……♥」

 小晴は突然のことに目を白黒させる。兄の勃起ちんぽで塞がれた唇の隙間からは、そのちんぽに押し出されるようにして濁った呻き声が飛び出す。そして大晴も恍惚の顔で喘ぐ。喘ぎながら腰を振る。

「あぁ……小晴、うぅ……あっ、あっ! 小晴の口の中、あぁ、温かい……ぬるぬるっ、気持ちいいっ! あ、あぁっ!」
「んっ! んんぅっ、っ……んぉっ、おっ、っ……!」

 大晴が小晴の後頭部を抱えて引き寄せながら腰を振るたび、兄の恥骨が妹の鼻面をぐいぐい叩く。
 最近になって茂り始めていた陰毛は女体化の副作用でつるつるに抜けていたから、小晴が縮れ毛で鼻腔の粘膜をくすぐられてくしゃみするようなことはなかたけれど、股間周りに掻いた汗の匂いが鼻腔内を遡ってくるのを防ぐことはできなかった。
 そしてもちろん、口内を前後にぐぽぐぽとピストン運動しまくっている勃起ちんぽから溢れ出す牡味も、鼻から入ってくる汗臭と渾然一体になって小晴の性感あたまとろとろおばかにしていく。

「んんぅおっ! おっ、おっんご! っ……んおぉ、おっ、おっ♥ おっぼぉ♥」

 ぎゅっぽぎゅっぽと初っ端から激しく出入りする勃起肉棒が、小晴の脳に辛うじて残っていたまともな思考を秒でこそげ落していく。

「おっ、ぉ……っふぉお♥ んぅお、おっ♥ おっ、っ……ッ♥」

 完全フル勃起したことで完全露出した太めの亀頭が、小晴の狭くて小さな喉を容赦なく抉る。だというのに、小晴の唇から涎の飛沫とともに撒き散らされる喘ぎ声はどう聞いても、甘く滴る善がり声だ。
 そのことに気づいた大晴も、小刻みな腰の前後運動を止めぬままに笑いを浮かべる。

「ふっ、っ……小晴、なんだおまえ、喉まんこで感じてるの、か? んっ? どうなんだっ、おいっ……ふっ、っ!」

 大晴は腰の使い方をちょっと変えて、喉奥に亀頭を押し付けたまま、竿をぐいんぐいんと上下に振り子運動させて、梃子てこの原理で喉奥抉じ開けファックへと段階を進めていく。
 初めてのイラマチオでも意外に甘い声音でんごぉんごぉ呻いてみせた小晴だったが、さすがにいきなりの喉まんこIスポット重点責めはちょっとレベルが高すぎたようだ。

「――っごぉえッ!!」

 思いっきり餌付いて、涙と鼻水と涎をまとめてどろっと分泌させた小晴だったが、

「うおっ、ぬるぬる凄い! ああっ! 小晴、我慢して――おおぉッ!!」

 大晴はちんぽを引き抜くどころか、唇から溢れるほどの唾液をホットローションにして、いっそう情熱的に腰を前後させ始めた。

「ふっ、っ……っ、うぁ……!」

 鋭い呼気を漏らしながら、腰を大きく前後に使っていく大晴。
 亀頭の先で喉奥を小突くように腰を突き出したら、次は逆に腰を引っ込めて、亀頭の表側で上顎粘膜を奥から手前へと撫で上げる。その勢いでカリ溝を唇の裏側にぶちゅっと押し付けると、溝で掻き出す形になっていた唾液を唇の外へと重吹しぶかせる。

「ふっ、っ、おぉ……小晴っ……小晴ぅ……ッ!!」

 大晴が腰を振るたびに、じょばっじょばっ飛び散る涎で、小晴の顎や喉はびしょ濡れだ。いや、喉奥を責められっぱなしのせいで駄々洩れっぱなしの涙と鼻水のせいで、目元から頬にかけてや鼻先だってぐしょぐしょだ。おでこや耳の周りにも汗が流れるほどに吹き出していて、前髪や後れ毛がべたべたに張り付いてしまっている。

「んおぉ……おっ、お、っご……ぉお……ッ♥」

 どこからどう見ても酷い目に遭っている顔なのに、勃起ちんぽを詰められた小晴の唇から漏れるのは、どこか甘ったるくて媚びた声音だ。つい数十秒前には、亀頭で喉を抉られて嘔吐しそうになっていたというのに、だ。

「うっ……うおぉ!? 小晴、吸いつきが、舌がっ……おぉ! えっ、うわっ……すごっ、お! うおッ!!」

 無遠慮な勃起の往復を受け入れるので精一杯だったはずの小さな口腔は、いまやその小ささを武器にして、大晴の肉棒に反撃していた。
 ぶちゅっと突き出された唇が竿を締め付け、縦に使われる舌が裏筋やカリの一帯を扱きたてる。亀頭で抉られていた喉は、みずから吸いつくようにして亀頭先の鈴口あなを嬲る。

「ちゅっ……っ、んぶっ♥ んっ、んぁ、ふぁ……あぁ♥ あぉっ、おぉ♥」
「お、おぉ……ッ……! 小晴、まさかこんな速攻でイラマに順応……おっふぁ! ちょ、あっ……あッ!!」
「んふゅふゅ♥ っ……っひゅぶ♥ んじゅううぅッ♥♥」

 唇から舌から喉まで使った、口内粘膜の全てでちんぽを抱擁ハグするような吸いつきが、大晴の性欲に止めを刺した。

「あぁ、出る! 出る出るっ……うんん――ッ! ……ッ!!」

 歯を食い縛りながら唸る大晴の腰がびくびくと電気ショックのように震えて、その腰から突き出ている勃起を妹の口腔内でぶるりと爆ぜるように脈打たせて――どっきゅどっきゅ、と重たく脈打つリズムで白濁ミルクをぶちまけた。

「おっ……おぉ……ッ♥」

 大晴は射精の快感に陶酔する。そのせいで右手が緩んで、ずっと抱えていた小晴の後頭部をシーツにどすっと落としてしまう。
 その弾みで、ぶるんっと跳ね上がるように小晴の口から飛び出した肉棒は、まだ出切っていなかった精汁をどっぷどっぷと迸らせて、小晴の顔面にべちゃりべちゃりと着弾させた。

「んんっ……んぉ……んぁー……ぁー……くっさぁ……♥」

 反射的に目を閉じて精液シャワーを浴びた小晴は、鼻筋から顎先にかけて粘りついた精液から匂ってくる雨上がりの草むらみたいな青臭さに、きゅっと眉根と鼻の下を歪めて笑った。
 ――でも、その笑いはすぐに消えて、弛んでいた口角はきっと厳めしく引き締められる。

「お兄……言わなかった!」
「……え?」

 射精直後の陶酔に浸っていた大晴は、何のことか分からなくて小首を傾げる。その無意味に可愛げな仕草が、小晴をさらに怒らせた。

「あたし言ったじゃん! イくときはムーンシャイニング……なんだっけ? とにかく、それ言えって!」
「あ……ごめん、完璧に忘れてた」
「んもーぉ!」

 精液べっとり顔で喚いた小晴だったが、次の瞬間には真顔に戻っていた。

「で、お兄。お兄のままだね」
「ん? ……ん!」

 大晴は何を言われているのか分からずに首を傾げかけて、その寸前で気がついて目を見開いた。

「本当だ! 俺、射精したのに男だ!」

 いちいち鏡で確認するまでもなく、大晴の身体はだらしないオタク男子のままだった。

「でも、なんで……あっ、まさか……言わなかったから? 変身ワードを言わければ射精しても変身しないで済むようになった!?」

 そう言って、大晴は答え合わせを求めるように小晴を見る。

「まあ、そうなんじゃないの? それか、短時間に何度も変身できないとかー」
「む、その可能性もあるか……いやでも、女になってた時間も結構長いし、短時間ってほどではないんじゃないか?」
「知んないよ、そんなの。っていうか、あたしは、変身ワードを叫びながらイけ、って命令してたのに……なんでお兄、命令を普通にスルーできちゃうの!?」
「それこそ、知んないよ……あっ、兄妹だからじゃないか? 属性が同じだと効果半減するって、わりとよくある設定だろ」
「それ、ゲームでしょー! ……でも兄妹だから効き目が薄いっていうのは、ありそーだね」
「だろ!」
「じゃあ、そこはそれでいいとしてー……お兄」
「うん?」
「そろそろ退けーっ!」

 大晴はずっと、小晴の胸元に馬乗りしたままだった。

「あ、ごめん」

 慌てて腰を浮かせ、小晴の上から退いた大晴を睨みながら、小晴はようやく自由になった身体を起こして、兄に右手を伸ばす。

「え……こうか?」

 握手する大晴。

「違う! ティッシュ!」
「あ、はい。えっと……これか」
「違う! ウェットティッシュ!」
「ならそう言ってくれ」

 文句を言いながらも、大晴はカバー付きティッシュ箱の隣に置いてあったカバー付きの筒状容器を見つけて、小晴に手渡した。
 小晴はその筒からウェットティッシュを引き出して、色んな汁で汚れている顔を拭いながら、「さて」と気分を改めるように微笑む。

「じゃあ、お兄。もっかい射精しよっか」
「……ん?」
「今度は変身ワードを言いながら射精して、変身できるか確かめるの。それで変身したら、またすぐ男子に戻って、もっかい変身ワードを言いながら射精するの。それで女子になったら、いまのは一定時間内に連続変身できないから変身しなかったんじゃなくて、変身ワードを言わなかったから変身しなかったんだーって分かるでしょ」

 長い。台詞が長い。なので、大晴はすぐに理解できなかった。理解できたときには、小晴に押し倒されていた。

「こは――んがっ!」

 抗議しようとした大晴の口を、小晴の股間がむぎゅりと塞いだ。
 ちなみに小晴の現在装備は、黒いキャミの上に、ミルク色の兎耳フード付きの薄手パーカーだけだ。下半身に身に着けていたミントグリーンのショートパンツは、夏雨に人参プリントショーツを穿かせるときに脱いでしまったきりだ。
 つまり、大晴の上のお口は、小晴の下のお口にキスで塞がれてしまったわけだ。

「むぐぐっ……んんっふぉッ!?」

 大晴が反射的に首を反らして鼻呼吸の経路を確保したところで、今度は股間のものを上のお口で食いつかれた。
 お風呂のように温かくて、食パンのように柔らかで、ラシャ張りよりも滑らかな粘膜が、硬度を失って気怠けだるげに丸くなっていたちんぽを包み込み、そっと締め上げてくる。独立して動く蛞蝓なめくじのような器官したが絡みついてきて、もっと直接的な刺激をちんぽに摩り込ませてくる。

「んおぁ……ぁ……小晴ぅ……う、ぅ……!」
「――ぷっは! お兄、声キモいってー♥」

 たちまち再勃起を果たしたガチガチちんぽを唇から吐き出した小晴は、自分が育てた勃起ちんぽが鼻先で切なげに脈打っている姿をちょっと寄り目になって見つめると、満足げに微笑んで睫毛を揺らす。

「き、キモいって簡単に言うなよ。結構、傷つくんだぞっ」
「えー、でもいまのキモいは、可愛い寄りのキモいだから誉め言葉だよー?」
「えっ、そうなの?」
「――あはっ」

 あっさり信じた兄を鼻で笑うと、小晴は鼻先でひくひく脈打っている亀頭の張り出した鰓肉カリを、寄せた鼻の頭でえいやっと叩いてやった。

「あふっ!」
「あはっ、やっぱお兄キモーい♥ えいえいっ♥」
「あっ、あっ!」

 妹の鼻面で亀頭の背中おもてをぷにっぷにっと弾かれる刺激は、くすぐったさと快感の中間を絶妙に縫ってくる。くすぐったいと気持ち良さと、どちらを感じたらいいのかで悩んだ脳が処理落ちしていく。思考が鈍って、ただとにかく、ちんぽに与えられている刺激にもっと感じ入っていないと――その思考だけで頭がいっぱいになっていく。
 大晴の目の前――というか口元にある小晴の秘所まんこも原因だ。溢れる蜜でふやけたみたいに弛んで開いた割れ目の内側から香ってくるサワークリームみたいな風味が、大晴の味覚した嗅覚はなをちりちりと刺激して、思考あたま性欲ちんぽを直結させていく。

「こはっ……ん!」
「んひゅッ♥」

 大晴は衝動のまま、小晴の秘所に口付けをしていた。それも、ただ唇を押し付けるだけのキスではなく、穴の奥まで目一杯に舌を差し込んでぐりんぐりん回転させるベロチューだ。小晴も堪らず、小さな尻をぴくんっと弾ませて身悶えた。

「んぁ、あぁ……お、にぃ……それ、何してんのぉ!?」
「何って、んんっ……クンニ?」
「くんに? それなにっ……うにゃ! あ、あぁッ♥」
「ん……んっ……」

 さっきは卑怯にも電動歯ブラシという凶器を用いて自分をさんざん嬲ってくれた小晴がいま、舌先ひとつで淫らに尻を揺すって鳴き喘いでいる。その事実がもう堪らなく、大晴を興奮まんぞくさせるのだ。
 だけど小晴も黙っちゃいない。
 鼻の頭に摺り寄ってくるみたいに脈打っている男根の頭に唇をむちゅっと宛がうと、そのまま避妊具スキンを嵌めるように、むちゅむちゅーっと唇を突き出しながら亀頭を口内に頬張り収めてしまう。

「おぁ……!」

 大晴の腰に力が入って、根元の筋肉が締まったことで肉棒がどくっと脈打ち、パンプアップ。ぐわっと傘を広げたカリ鰓が、いっそう濃厚な牡の風味を小晴の口内に分泌させる。

「んぐぅ……ッ♥」

 舌に広がる牡味と、息遣いに乗って鼻腔の奥へと染み入る牡臭に、小晴は口に含んでいる亀頭を思わず吐き出しそうに――なったりはしない。

「ん……っふ♥」

 微小混じりの吐息に続いて、ちゅるるっ、じゅるるるっ、と蕎麦を啜り上げるような濁音。
 小晴は濃くなった牡っ気を厭うどころか、むしろ溢れた牡エキスを根刮ぎ舐め取り、啜り上げようとしているのだ。

「うあぁ! こっ、小晴っ……ちょ、おぉ……亀頭ばっか、ヤバいっ……からぁ……ッ!」

 カリの段差が一番大きなところに唇を引っ掛けて、絡めた舌で亀頭を磨くみたいな、亀頭ばかりを嬲る口淫に、大晴は堪らず容赦を願う。だけど、小晴にその要求を呑む謂れはないのだ。

「んんぅッ♥ ……っふうぅッ♥ んんうぅッ!!」

 じゅぶぼふぉッ――文字にすればそうなるだろう濁った音を響かせて、亀頭をバキューム責めする小晴。
 先ほどの一方的に使われただけのイラマチオを別にすれば、これが人生で初めてのフェラなのに、唇を不細工なほど窄めて歯を立てないようにする作法や、敢えて下品な音を立てるように啜る心遣い、そしてサクランボのへたを結べそうな舌使い――と、まるで百戦錬磨のフェラだった。
 そんな歴戦の風格を漂わせるフェラに、先ほどのイラマでフェラ童貞を捨てたばかりの仮性ちんぽが太刀打ち出来ようはずがあろうか――いや、ない。

「あっ、あ、あぁ! ちょっ、ほんと! 待って……っ、ううぅ……ッ!!」

 大晴はあっという間に追い詰められて、眼前のまんこにクンニして反撃するような余裕もなくなっていた。いま口を開けていたら、込み上げる射精欲というかを堪えていられなくなる。
 ついさっきイラマで口射ごっくんから顔射ぶっかけまで果たしたばかりだというのに、ちんぽの欲望は底なしだった。
 というか、射精したことで敏感になっている分、先ほどよりもずっと敏感ヤバい。あと、竿は手を添えて支えるだけで亀頭だけをひたすら嬲られる感覚は、いつもの竿を扱くオナニーでは味わうことのない未知の官能を呼び起こしてくる。
 竿を扱くオナニーの快感は「射精したい」という欲求を呼び起こすのに、亀頭を責められる快感によって催される欲求は「出ちゃう!」なのだ。故に、排泄欲なのだ。

「ん――ぁ! お兄、イくときは変身ワードだよ!」
「分かってるから……ッ……っふあ……!」

 小晴が念押しのために亀頭から唇を離した途端、尿意にも近い快感から解放された亀頭は安堵しつつも、みずから刺激を求めるように熱を孕んで、じくじくと疼く。与えられていたものが急になくなった反動がそうさせるのか、肉棒の根元から急速に込み上げてきた排泄欲の塊を抑え切れなくなる。

「あっ……んむっ、ムーンシャイニぃメークァああぷ――ッ!!」

 咄嗟に叫んだ変身ワードらしきものを追いかけるように勃起竿を駆け上った白濁汁が、びゅわあぁっと噴水のように迸った。

「んにゃああッ!? ……ってか、お兄また呪文違うしーッ!!」

 小晴は予想外の顔射を、きつく閉じた瞼や額、前髪に鼻筋だとかで受け止めながら、どうしても言わずにおけないツッコミを叫ぶのだった。

「でも、変身したぞ」
「ほんとーだ!」

 小晴が目を閉じているうちに、大晴は夏雨に変身していた。たったいま小晴に顔射を決めた肉棒がなくなっていて、代わりに小晴がお尻を跨らせていた大晴の胸板に大きな丸いクッションが膨れ上がっていた。
 付け加えるなら、「でも変身したぞ」と言った声も、飴掛けしたように艶めく甘い女声になっていた。
 そんな夏雨にかけられるのは、小晴の冷めた声音だ。

「……っていうか、お兄。なんで変身してんの?」
「え? それは呪文……変身ワードを唱えながら射精した、から?」
「変身ワード違ってた! それなのに変身してんの、駄目じゃん!」
「えっ、違ってたか? ……というか、元はなんだっけ?」
「覚えてないし! もっ全然まったく駄目じゃーん!」
「仕方ないだろ。いまもう射精するってときに、咄嗟に出てこないって、あんな適当ワードとか!」
「お兄が決めたのに!」
「そうだったか?」
「そうだよ! もーっ、次はちゃんとやってよね!」
「はいはい……ん? 次? まだやるのか?」
「当たり前でしょ。時間ギリギリまで検証けんしょーするんだからねっ」
「いや、そんなに射精できないから……」
「いちいち口答えすなーっ! あたしが出せってたら出すのーっ!」

 ぽんぽん軽妙に続いた会話のラリーは、小晴のスマッシュで終わりになった。すなわち、小晴の電動歯ブラシが今一度、夏雨の秘所を襲ったのだった。

「ふきゃああぁッ♥♥」

 熱い水飴の糸を引かせるような甘い悲鳴が、夏雨の口から響き渡った。


 結局、夕飯を食べに出かけるまでの間に、大晴はさらに何度かの射精と絶頂を繰り返した。その結果として得られた結論は、「たぶん何か変身ワードっぽいことを唱えながら射精、もしくは絶頂すると異性化する。唱えなければ異性化しない……って感じじゃないかなぁ」というものだった。
 断定できるほどの検証回数はこなせなかったけれど、ひとまずこの結論でいいよね、ということにすることにした大晴と小晴だった。
 なお、昼ご飯を食べるのも忘れてに励んだ二人は、進級祝いの焼肉食べ放題を最後までペースを落とすことなく文字通りに食べ放題して、両親と店員を呆気に取らせたのだった。
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